沖縄周辺の地震について
- 2023/05/11
- 09:00
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。連休中の5月5日に能登半島でM6.5、震度6弱の地震が発生しました。能登地震については、その後も震度5強を含む余震が70回(5/9現在)もあり、その活動が活発になっています。また5月1日には、沖縄本島近海を震源とするM6.2の地震がありました。沖縄は地震よりも台風の影響が強いですが、近年、地震も増加してきました。今回は沖縄周辺の地震について取り上げたいと思います。1.5...
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
連休中の5月5日に能登半島でM6.5、震度6弱の地震が発生しました。能登地震については、その後も震度5強を含む余震が70回(5/9現在)もあり、その活動が活発になっています。
また5月1日には、沖縄本島近海を震源とするM6.2の地震がありました。沖縄は地震よりも台風の影響が強いですが、近年、地震も増加してきました。今回は沖縄周辺の地震について取り上げたいと思います。
1.5月1日の地震について
九州をご神事で周っていた比嘉夫妻が、4月末に神からの啓示により、急遽、沖縄に帰り、沖縄本島、先島諸島及び久米島を祈り、儀式を行いました。この時、急遽伝えられた啓示は、「この後の5月のゴールデンウィーク時期、先島諸島から沖縄本島周辺までの霧島火山帯・沖縄トラフに沿って、マグニチュード7から8クラス、震度にしては7クラス、10m以上の津波が発生する巨大地震が起こり、ちょうど観光時期と重なることからも、大きな人命被害を伴う災害が起きる」というものでした。
それを回避するための御神事の結果が、沖縄本島近海を震源とするM6.2の地震でした。この地震の1時間前にはM5.2の地震、M6.2の後にはM5.0、M5.4の地震を含む4回の余震がありました。これらの地震や先島諸島周辺に於ける地震の群発は、伝えられていた大きな地震の啓示が「小難になった現われである」と神から伝えられました。今回は難を逃れることが出来ましたが、まだ油断できない状況が続いているとゆうことなので、該当地域にお住まいの方は注意していただきたいと思います。
2.最近の地震の傾向
沖縄の東側、太平洋側にはフィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込んで出来た琉球海溝があり、北は南海トラフ、南は台湾へ繋がっています。そして九州の阿蘇山を北端とした霧島火山帯が、琉球海溝とほぼ並行して伸びて来ています。また沖縄の西側、東シナ海側には沖縄トラフがあり、北は九州の別府・島原地溝帯、南は台湾まで繋がっています。このようなエリアですが、今回のM6.2の地震のように、震源地が海域で陸地から離れているため、結果として震度が小さくなった場合が多いようです。
以前、比嘉良丸氏から伺った話ですが、本土へ御神事で上がるようになって、横浜辺りのホテルに宿泊していた際に地震があって揺れを感じ、「これが地震というものか」と思われたそうです。それだけ沖縄の人にとっては、地震よりも台風の方が身近にある自然災害のようです。しかし近年、大きな地震が増えた印象があったので、その状況について調べてみました。(出典:YAHOO! 天気・災害 地震情報)
(1) 沖縄本島近海
「沖縄本島近海」という震源地名は、本島の東側、西側の両側で発生した震源が混在しています。
2023年(5月まで) 17回 M6クラス1回 M5クラス5回
2022年 24回 M5クラス2回
2021年 25回 M5クラス以上の発生はなし
2020年 33回 M5クラス2回
2019年 31回 M5クラス3回 規模は小さいが7/22に4回の地震発生
2018年 24回 M5クラス6回 すべて9/15~9/22まで
2017年 30回 M5クラス1回
2016年 35回 M5クラス2回 うち1回は震度5弱を観測
2015年 33回 M5クラス1回
2014年 25回 M5クラス3回
2013年 33回 M5クラス3回
2012年 25回 M5クラス2回
2011年 25回 M5クラス2回
2010年 43回 2/27にM7.2、震度5弱の地震が発生し、3/2までにM5クラス6回
2009年 29回 M5クラス2回
2008年 28回 M6クラス1回 震度5弱を観測 M5クラス3回
2007年 31回 M5クラス3回
2006年 13回 M5クラス以上の発生はなし
2005年 16回 M5クラス以上の発生はなし
2004年 (3月~12月) 19回 M6クラス1回 M5クラス3回
このように並べてみると、2007年から1年間の有感地震の発生回数が倍以上になり、現在まで年平均30回で前後しています。ただ、2010年はM7.2の地震が発生した影響のためか地震回数が43回と突出しており、今年は既に半分以上の17回を記録しています。マグニチュード5クラスも年2, 3回と特に変化は認められませんが、2018年は9/15~9/22の一週間の間に6回と、一時的に活動が活発になりました。また今年はM5クラスが既に5回も発生しており、かなり地震活動が活発になっているようです。
(2) 沖縄本島北西沖
沖縄本島北西沖の震源地名は、沖縄本島の北西にある久米島の西側辺りの海域になります。この周辺を震源とする地震は、2021年までは年間を通して2, 3回の地震しか起こりませんでした。ところが2022年はいきなり活動が活発になり、年間の発生回数が80回、M5クラス以上の地震が25回も発生しました。特に2月は12回(M5クラス4回)、3月は17回(M5クラス6回)、4月は16回(M5クラス2回)と、かなりの地震が発生しました。その後、地震の回数は減少してきましたが、9月18日だけでM5.0、M5.4、M6.1、M5.5と4回も大きめな揺れがありました。いずれの地震も震源地が海域で陸地から離れており、震度も1や2と小さく、地震の影響は全くありませんでした。今年に入ってからの地震は、2月と3月に1回ずつだけで、昨年の活動は一時的なものだったようです。
3.過去の地震
沖縄県の過去の地震は、石垣島や宮古島周辺が震源となった地震が多いようです。亡くなられた方も数名出た地震もありましたが、やはり最大の地震は1771年(明和8年)4月24日に発生した八重山地震(明和の大津波)です。
八重山地震は、推定マグニチュード7.4の地震が石垣島付近で発生し、宮古・八重山諸島を大津波が襲いました。当時の記録によると、約500キロ離れている沖縄本島でも、地震の揺れを感じたという記録が残されています。地震による被害は僅かでしたが、この地震が引き起こした津波により、先島諸島が大きな被害を受けました。
津波は石垣島の南部や東部では高さ約30mにも達し、宮古・八重山諸島全体で死者12,000人、家屋流出2,000軒の被害が生じました。これほどの津波が発生した原因については、海底で地すべりが起きたという説がありますが、その地点は現在でも特定されておらず、石垣島と多良間島の中間に位置する正断層の活動により、地震及び津波が発生したと考える研究者もいます。石垣島や宮古島にはこの時の津波で運ばれた岩が「津波石」と呼ばれており、現在も島の各地に存在しています。
(タイトルをクリックすると各サイトに移動します)
■八重山地震津波の遡上高・被害
■沖縄の津波石
■明和の大津波~巨大な岩を動かす津波の力! 石垣島地方気象台
■沖縄の被害地震
連休中の5月5日に能登半島でM6.5、震度6弱の地震が発生しました。能登地震については、その後も震度5強を含む余震が70回(5/9現在)もあり、その活動が活発になっています。
また5月1日には、沖縄本島近海を震源とするM6.2の地震がありました。沖縄は地震よりも台風の影響が強いですが、近年、地震も増加してきました。今回は沖縄周辺の地震について取り上げたいと思います。
1.5月1日の地震について
九州をご神事で周っていた比嘉夫妻が、4月末に神からの啓示により、急遽、沖縄に帰り、沖縄本島、先島諸島及び久米島を祈り、儀式を行いました。この時、急遽伝えられた啓示は、「この後の5月のゴールデンウィーク時期、先島諸島から沖縄本島周辺までの霧島火山帯・沖縄トラフに沿って、マグニチュード7から8クラス、震度にしては7クラス、10m以上の津波が発生する巨大地震が起こり、ちょうど観光時期と重なることからも、大きな人命被害を伴う災害が起きる」というものでした。
それを回避するための御神事の結果が、沖縄本島近海を震源とするM6.2の地震でした。この地震の1時間前にはM5.2の地震、M6.2の後にはM5.0、M5.4の地震を含む4回の余震がありました。これらの地震や先島諸島周辺に於ける地震の群発は、伝えられていた大きな地震の啓示が「小難になった現われである」と神から伝えられました。今回は難を逃れることが出来ましたが、まだ油断できない状況が続いているとゆうことなので、該当地域にお住まいの方は注意していただきたいと思います。
2.最近の地震の傾向
沖縄の東側、太平洋側にはフィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込んで出来た琉球海溝があり、北は南海トラフ、南は台湾へ繋がっています。そして九州の阿蘇山を北端とした霧島火山帯が、琉球海溝とほぼ並行して伸びて来ています。また沖縄の西側、東シナ海側には沖縄トラフがあり、北は九州の別府・島原地溝帯、南は台湾まで繋がっています。このようなエリアですが、今回のM6.2の地震のように、震源地が海域で陸地から離れているため、結果として震度が小さくなった場合が多いようです。
以前、比嘉良丸氏から伺った話ですが、本土へ御神事で上がるようになって、横浜辺りのホテルに宿泊していた際に地震があって揺れを感じ、「これが地震というものか」と思われたそうです。それだけ沖縄の人にとっては、地震よりも台風の方が身近にある自然災害のようです。しかし近年、大きな地震が増えた印象があったので、その状況について調べてみました。(出典:YAHOO! 天気・災害 地震情報)
(1) 沖縄本島近海
「沖縄本島近海」という震源地名は、本島の東側、西側の両側で発生した震源が混在しています。
2023年(5月まで) 17回 M6クラス1回 M5クラス5回
2022年 24回 M5クラス2回
2021年 25回 M5クラス以上の発生はなし
2020年 33回 M5クラス2回
2019年 31回 M5クラス3回 規模は小さいが7/22に4回の地震発生
2018年 24回 M5クラス6回 すべて9/15~9/22まで
2017年 30回 M5クラス1回
2016年 35回 M5クラス2回 うち1回は震度5弱を観測
2015年 33回 M5クラス1回
2014年 25回 M5クラス3回
2013年 33回 M5クラス3回
2012年 25回 M5クラス2回
2011年 25回 M5クラス2回
2010年 43回 2/27にM7.2、震度5弱の地震が発生し、3/2までにM5クラス6回
2009年 29回 M5クラス2回
2008年 28回 M6クラス1回 震度5弱を観測 M5クラス3回
2007年 31回 M5クラス3回
2006年 13回 M5クラス以上の発生はなし
2005年 16回 M5クラス以上の発生はなし
2004年 (3月~12月) 19回 M6クラス1回 M5クラス3回
このように並べてみると、2007年から1年間の有感地震の発生回数が倍以上になり、現在まで年平均30回で前後しています。ただ、2010年はM7.2の地震が発生した影響のためか地震回数が43回と突出しており、今年は既に半分以上の17回を記録しています。マグニチュード5クラスも年2, 3回と特に変化は認められませんが、2018年は9/15~9/22の一週間の間に6回と、一時的に活動が活発になりました。また今年はM5クラスが既に5回も発生しており、かなり地震活動が活発になっているようです。
(2) 沖縄本島北西沖
沖縄本島北西沖の震源地名は、沖縄本島の北西にある久米島の西側辺りの海域になります。この周辺を震源とする地震は、2021年までは年間を通して2, 3回の地震しか起こりませんでした。ところが2022年はいきなり活動が活発になり、年間の発生回数が80回、M5クラス以上の地震が25回も発生しました。特に2月は12回(M5クラス4回)、3月は17回(M5クラス6回)、4月は16回(M5クラス2回)と、かなりの地震が発生しました。その後、地震の回数は減少してきましたが、9月18日だけでM5.0、M5.4、M6.1、M5.5と4回も大きめな揺れがありました。いずれの地震も震源地が海域で陸地から離れており、震度も1や2と小さく、地震の影響は全くありませんでした。今年に入ってからの地震は、2月と3月に1回ずつだけで、昨年の活動は一時的なものだったようです。
3.過去の地震
沖縄県の過去の地震は、石垣島や宮古島周辺が震源となった地震が多いようです。亡くなられた方も数名出た地震もありましたが、やはり最大の地震は1771年(明和8年)4月24日に発生した八重山地震(明和の大津波)です。
八重山地震は、推定マグニチュード7.4の地震が石垣島付近で発生し、宮古・八重山諸島を大津波が襲いました。当時の記録によると、約500キロ離れている沖縄本島でも、地震の揺れを感じたという記録が残されています。地震による被害は僅かでしたが、この地震が引き起こした津波により、先島諸島が大きな被害を受けました。
津波は石垣島の南部や東部では高さ約30mにも達し、宮古・八重山諸島全体で死者12,000人、家屋流出2,000軒の被害が生じました。これほどの津波が発生した原因については、海底で地すべりが起きたという説がありますが、その地点は現在でも特定されておらず、石垣島と多良間島の中間に位置する正断層の活動により、地震及び津波が発生したと考える研究者もいます。石垣島や宮古島にはこの時の津波で運ばれた岩が「津波石」と呼ばれており、現在も島の各地に存在しています。
(タイトルをクリックすると各サイトに移動します)
■八重山地震津波の遡上高・被害
■沖縄の津波石
■明和の大津波~巨大な岩を動かす津波の力! 石垣島地方気象台
■沖縄の被害地震
直下型地震について
- 2023/04/01
- 09:00
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。東日本大震災から12年の歳月が経過しました。この地震では1万5千人以上の方が亡くなり、未だに行方不明の方が2千名以上いらっしゃいます。この地震で犠牲になられた方は、そのほとんどが津波によるものでした。一方、2月に発生したトルコ・シリア大地震では、5万人以上の方が犠牲になりました。その原因は建物の崩壊によるものでした。元々シリアでは内戦による攻撃を受けて建...
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
東日本大震災から12年の歳月が経過しました。この地震では1万5千人以上の方が亡くなり、未だに行方不明の方が2千名以上いらっしゃいます。この地震で犠牲になられた方は、そのほとんどが津波によるものでした。
一方、2月に発生したトルコ・シリア大地震では、5万人以上の方が犠牲になりました。その原因は建物の崩壊によるものでした。元々シリアでは内戦による攻撃を受けて建物が弱くなっていたり、違法建築による建物の脆弱性もあり、一律に日本の建築物との比較はできませんが、これが内陸直下型地震の怖さです。
今回はこの直下型地震の、まずは過去に起きた地震について取り上げたいと思います。
1.濃尾地震
1891年(明治24年)10月28日午前6時37分、本巣郡根尾谷(現在の本巣市根尾)を震源として発生したこの地震は、M8.0の世界でも最大級、日本で最大の内陸直下型地震でした。震源断層付近と濃尾平野北西部の震度は、現在の震度7に相当する激しい揺れでした。
地震が及んだ範囲は西は九州全土、東は東北地方にまで達しました。中でも激震地域は岐阜県の美濃地方を中心に、愛知県尾張地方、滋賀県東部、福井県南部に及びました。死者は全国で7,273人、全壊・焼失家屋は142,000戸という大きな被害が生じました。この時にできた根尾谷断層は、地表面に現れたものだけで全長80kmに及びました。
この地震は、大陸プレートの内部に溜まったゆがみが一挙に放出されて岩盤が崩れる内陸直下型地震の典型ですが、根尾谷の水鳥では、最大で垂直に6mのズレが生じました。阪神・淡路大震災での垂直のズレは50cmだったので、その規模の大きさが想像できます。根尾の山々は、この地震により崩落したり、山肌が一瞬のうちに剥ぎ取られて木が1本もなくなった所も多くありました。さらに崩壊した土砂が根尾川を塞ぎ、湖ができた所もありました。また深い谷に沿って延びる道路もあちこちで寸断され、その谷に架かる橋も落下しました。
もっとも悲惨な被害を受けたのが、震源地の南に隣接し、人口の集中していた岐阜・大垣をはじめとする都市や、その周辺の町村でした。これらの地域は地盤の弱い沖積平野上にあり、家屋の多くが倒壊し、火災も発生して多数の死傷者が出ました。被害が最も大きかったのは岐阜市で、全戸数の62%に当たる3,742戸が倒壊(全・半壊)しました。ちょうど朝食時にあたり、家の中にいた人も多く、229人の圧死者がでました。またあちこちから出火し、全戸数の35%に当たる2,113戸が焼失するなど、被害が一層大きくなりました。岐阜市周辺の本巣郡、山県郡、羽栗郡(現在の羽島郡と羽島市の一部)、中島郡(羽島市)、各務郡(各務原市)でも多くの死傷者や家屋の被害が出ました。中でも震源に近い本巣郡北方町では全壊家屋が82%、山県郡高富村では99%を超えました。
根尾谷地震断層観察館 | 本巣市 (motosu.lg.jp)
2.兵庫県南部地震 (阪神・淡路大震災)
1995年(平成7年)1月17日午前5時46分、淡路島の野島断層(六甲・淡路島断層帯の一部)付近を震源として、M7.4の地震が発生しました。この地震により神戸と洲本で震度6を観測したほか、豊岡、彦根、京都で震度5を観測するなど、東北から九州にかけての広い範囲で揺れが観測されました。また発生直後に行った被害状況調査の結果、神戸市と淡路島の一部地域に震度7が適用されました。
この地震は、日本で初めて近代の大都市の直下を震源とする大地震になり、また1948年(昭和23年)に発生した福井地震を契機として新設された震度7(激震)が、初めて適用された地震でもありました。6,400名を超える方が犠牲になり、その多くは自宅で就寝中の圧死でした。また火災が多く発生して、全体で7,000棟近い建物が焼失しましたが、神戸市長田区では木造家屋が密集していた地域を中心に甚大な被害が発生しました。
1Fが駐車場になっているピロティ形式の建物の被害か多かったほか、古いビルではパンケーキクラッシュ(倒壊した階層が平たく押し潰される)が多数起こり、低層ビル1階部分の崩壊、建物が土台から切り離されて倒壊するなど、今まで日本では見られなかったような被害が多くありました。
道路の被害も数多くありましたが、阪神高速道路3号神戸線では東灘区で全長635mにわたり高架橋が横倒しになるという、衝撃的な光景は忘れられません。脱線した電車の車両も数多く、JR新長田駅では駅自体が全壊、六甲道駅や鷹取駅でも駅舎が半壊しました。地震の発生が早朝だったため自宅で被害に遭った方が多かったですが、もし朝の通勤時間帯や日中の勤務時間帯に発生していたら、建物や道路、交通機関にはもっと数多くの人がおり、とんでもない数の犠牲者が発生したかもしれません。
阪神・淡路大震災の概要|阪神・淡路大震災 特集サイト - NHK
淡路島・西海岸|震災の経験と教訓を伝える博物館|北淡震災記念公園 野島断層保存館【公式】 (nojima-danso.co.jp)
人と防災未来センター (dri.ne.jp)
将来、必ず発生すると言われている地震に南海トラフを震源とする地震があります。南海トラフ地震は海溝型ですが、その発生前には内陸直下型地震が多く発生するパターンがあります。そのため阪神・淡路大震災を受けて、南海トラフ地震の発生サイクルが始まったと考える地震学者も多く存在します。
3.熊本地震
2016年4月14日午後9時26分頃、熊本県熊本地方を震源とするM6.5の地震が発生し、熊本県益城町で震度7が観測されました。マグニチュードに対して震度が大きかったのは、震源の深さが11kmと浅かったためです。震度7が観測されたのは、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)、新潟県中越地震、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)以来の4回目で、九州では初めてのことになります。この地震は日奈久断層帯の活動によって引き起こされたものと考えられました。
この地震に対しての余震はその日だけでも、震度6弱が1回、震度5弱が1回、震度4以下が37回と、総回数が40回に上りました。翌日15日は震度6強が1回、震度5弱が1回、震度4以下が110回と、総回数が112回にも上りました。気象庁はこの地震に対して「平成28年(2016)熊本地震」と名称を付けました。
そして最初の地震が発生した28時間後の2016年4月16日午前1時25分ごろ、熊本県熊本地方を震源とする、震源の深さ12km、M7.3の地震が発生しました。この地震では再度熊本県益城町で震度7、そして西原村でも震度7が観測されました。同じ地域で震度7が2回観測されたのは、今回が初めてです。この地震により、14日の地震が「前震」、16日の地震が「本震」になるとの見解が気象庁より発表されました。
震度7の揺れに二度も襲われた益城町では、14日の地震後では瓦が落ち、外壁やブロック塀が崩れていても、まだしっかり建っている家が数多く残っていましたが、倒壊していない家屋を探す方が難しい地区が複数見られるなど、前日とは町の形が完全に変わってしまいました。熊本城は最初の地震で残っていた最上部の瓦がほとんど完全に落ちてしまい、また多くの箇所で築城以来400年壊れることが無かった石垣の崩壊や一部の櫓が崩壊、土台の石垣が崩れ落ちてしまい倒壊寸前になった櫓もありました。熊本城は天守閣は復旧しましたが、完全復旧するのは当初の計画よりも15年遅れて2052年度になる予定です。
熊本地震は布田川断層帯と日奈久断層帯で発生しましたが、ここは断層が連なる「断層帯」が何本もある場所で、国が以前からM7程度を想定していた地域です。複数の地震が影響し合い、大きな地震が立て続けに起きたと考えられ、14日と16日の二つの地震は「前震」「本震」というより、いずれも二つの断層帯の「本震」と考えられるという専門家もいます。
大西市長 熊本城の復旧は当初の計画より15年遅れる見通し |NHK 熊本県のニュース
特集 熊本地震|熊本日日新聞社 (kumanichi.com)
熊本地震震災ミュージアム (kumamotojishin-museum.com)
速報 トルコ大地震
- 2023/02/08
- 10:22
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。トルコでマグニチュード7.8の大地震が発生しました。今回はこの地震について、速報でお伝えします。トルコ時間2月6日未明、日本時間では6日午前10時17分に、マグニチュード7.8の大地震が発生しました。地震学者によると、この地震はトルコでの観測史上、最大規模だったと指摘しています。生存者は、揺れは2分ほど続いたと述べています。震源地はシリア国境に近いトルコ南部のガ...
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
トルコでマグニチュード7.8の大地震が発生しました。今回はこの地震について、速報でお伝えします。
トルコ時間2月6日未明、日本時間では6日午前10時17分に、マグニチュード7.8の大地震が発生しました。地震学者によると、この地震はトルコでの観測史上、最大規模だったと指摘しています。生存者は、揺れは2分ほど続いたと述べています。
震源地はシリア国境に近いトルコ南部のガジアンテプ県で、トルコと隣国シリアの両国で5,000人を超える死者が出ており、負傷者も1万3千人に上るとみられます。この地域は寒さが厳しく雪の降る被災地域もあり、家を失った被災者や救助をめぐる厳しい環境が続いています。世界保健機関(WHO)は、死者がこれまでに報告された人数から、8倍に増える可能性があると警告しています。
トルコ・アナトリア通信によると、特に被害が大きいのはシリア国境に近いトルコ南部・南東部で、ガジアンデブ、シャンルウルファ、ディヤルバクル、アダナなどの各県で、確認されただけで6200棟以上の建物が倒壊しており、崩落した建物の下には多くの住人が取り残されており、犠牲者がさらに増える恐れがあります。1500年以上の歴史を持つ城塞跡「ガジアンテップ城」も倒壊しました。
ガジアンテップ城が地震で損壊 トルコ南部、東ローマ時代の城壁など:朝日新聞デジタル (asahi.com)
トルコのエルドアン大統領は、「3万人以上が死亡した1939年の東部地震以来、最大の災害だ」との見方を示しました。
余震も断続的に続いており、最初の地震の約12時間後、日本時間午後7時24分には、マグニチュード7.5の大地震が発生しています。この地震の資源は深さ10キロと比較的浅く、震源近くの地表が激しい揺れに見舞われ、さらに多くの建物が崩壊しました。
隣国シリアでも建物が倒壊するなど、大きな被害が出ています。シリアはアサド政権と対立する反体制派の支配地域があり、被害はアサド政権側、反体制派側の双方に及んでいます。シリアでの死者は1千人を超えると発表されていますが、これは政権側のみの人数で、反体制派側の地域では政府の支援が一切なく、民間の団体のみの支援のため、今後さらに死傷者が増える可能性があります。
日本と同様に、トルコは世界で最も地震が多い地域の一つです。大小のプレートが複雑にひしめき合う場所に位置する地震大国で、マグニチュード7クラスの地震が繰り返し発生してきました。北部には東西に走る北アナトリア断層、南東部には東アナトリア断層という、大きな横ずれ断層が存在します。今回の地震は、トルコの下にあるアラビアプレートが、北方向にアナトリアプレートをこすりながら動いたもので、東アナトリア断層付近、深さ17.9キロで発生した直下型地震でした。東アナトリア断層ではマグニチュード7を超えるような地震は200年以上起きていなかったため、人々がその危険性を軽視し、地震への不十分な備えも犠牲者が拡大した要因になりました。さらに長期にわたって大地震が起きていなかったことから、巨大なエネルギーが蓄積されていた可能性もあるようです。
マグニチュード7.8の最初の地震の揺れは、キプロスやレバノン、イスラエルでも感じられました。また遠く離れたデンマーク領グリーンランドでも観測されました。地震学者のティーネ・ラーセン氏は、「地震波は、揺れが始まってから約5分後にデンマークのボーンホルム島に到達し、8分後にはグリーンランドの東海岸、さらにグリーンランド全体に伝わった」と述べています。
トルコ南部やシリアでは、レンガ造りで耐震性の低い住宅が多く、被害拡大につながったと見られます。1999年8月17日に北西部コジャエリ県を震源として発生した、マグニチュード7.4の地震では、1万7千人以上の犠牲者が出てしまいました。トルコ政府はこの地震を受けて、すべての新築の建物に最新の耐震基準を満たすよう義務化する法案を2004年に可決しましたが、この法律が順守されているかどうか調査する必要があると述べている研究者もいます。
地震発生から一日が経過しましたが、捜索救助隊派遣などの支援が60ヶ国から寄せられています。トルコやシリアと外交関係が冷え込んでいる国々からも、支援の動きが出ています。日本政府も国際緊急援助隊の現地派遣を表明し、警察や消防、外務省などからなる職員18人が、第1陣として6日夜に日本を出発しました。
自宅を襲った大地震、いつまでも続く激しい揺れ 記者が目の当たりにした惨状 トルコ(CNN.co.jp) - Yahoo!ニュース
トルコ地震、デマ拡散に注意「人工地震」「津波発生」「原発が爆発」(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
トルコでマグニチュード7.8の大地震が発生しました。今回はこの地震について、速報でお伝えします。
トルコ時間2月6日未明、日本時間では6日午前10時17分に、マグニチュード7.8の大地震が発生しました。地震学者によると、この地震はトルコでの観測史上、最大規模だったと指摘しています。生存者は、揺れは2分ほど続いたと述べています。
震源地はシリア国境に近いトルコ南部のガジアンテプ県で、トルコと隣国シリアの両国で5,000人を超える死者が出ており、負傷者も1万3千人に上るとみられます。この地域は寒さが厳しく雪の降る被災地域もあり、家を失った被災者や救助をめぐる厳しい環境が続いています。世界保健機関(WHO)は、死者がこれまでに報告された人数から、8倍に増える可能性があると警告しています。
トルコ・アナトリア通信によると、特に被害が大きいのはシリア国境に近いトルコ南部・南東部で、ガジアンデブ、シャンルウルファ、ディヤルバクル、アダナなどの各県で、確認されただけで6200棟以上の建物が倒壊しており、崩落した建物の下には多くの住人が取り残されており、犠牲者がさらに増える恐れがあります。1500年以上の歴史を持つ城塞跡「ガジアンテップ城」も倒壊しました。
ガジアンテップ城が地震で損壊 トルコ南部、東ローマ時代の城壁など:朝日新聞デジタル (asahi.com)
トルコのエルドアン大統領は、「3万人以上が死亡した1939年の東部地震以来、最大の災害だ」との見方を示しました。
余震も断続的に続いており、最初の地震の約12時間後、日本時間午後7時24分には、マグニチュード7.5の大地震が発生しています。この地震の資源は深さ10キロと比較的浅く、震源近くの地表が激しい揺れに見舞われ、さらに多くの建物が崩壊しました。
隣国シリアでも建物が倒壊するなど、大きな被害が出ています。シリアはアサド政権と対立する反体制派の支配地域があり、被害はアサド政権側、反体制派側の双方に及んでいます。シリアでの死者は1千人を超えると発表されていますが、これは政権側のみの人数で、反体制派側の地域では政府の支援が一切なく、民間の団体のみの支援のため、今後さらに死傷者が増える可能性があります。
日本と同様に、トルコは世界で最も地震が多い地域の一つです。大小のプレートが複雑にひしめき合う場所に位置する地震大国で、マグニチュード7クラスの地震が繰り返し発生してきました。北部には東西に走る北アナトリア断層、南東部には東アナトリア断層という、大きな横ずれ断層が存在します。今回の地震は、トルコの下にあるアラビアプレートが、北方向にアナトリアプレートをこすりながら動いたもので、東アナトリア断層付近、深さ17.9キロで発生した直下型地震でした。東アナトリア断層ではマグニチュード7を超えるような地震は200年以上起きていなかったため、人々がその危険性を軽視し、地震への不十分な備えも犠牲者が拡大した要因になりました。さらに長期にわたって大地震が起きていなかったことから、巨大なエネルギーが蓄積されていた可能性もあるようです。
マグニチュード7.8の最初の地震の揺れは、キプロスやレバノン、イスラエルでも感じられました。また遠く離れたデンマーク領グリーンランドでも観測されました。地震学者のティーネ・ラーセン氏は、「地震波は、揺れが始まってから約5分後にデンマークのボーンホルム島に到達し、8分後にはグリーンランドの東海岸、さらにグリーンランド全体に伝わった」と述べています。
トルコ南部やシリアでは、レンガ造りで耐震性の低い住宅が多く、被害拡大につながったと見られます。1999年8月17日に北西部コジャエリ県を震源として発生した、マグニチュード7.4の地震では、1万7千人以上の犠牲者が出てしまいました。トルコ政府はこの地震を受けて、すべての新築の建物に最新の耐震基準を満たすよう義務化する法案を2004年に可決しましたが、この法律が順守されているかどうか調査する必要があると述べている研究者もいます。
地震発生から一日が経過しましたが、捜索救助隊派遣などの支援が60ヶ国から寄せられています。トルコやシリアと外交関係が冷え込んでいる国々からも、支援の動きが出ています。日本政府も国際緊急援助隊の現地派遣を表明し、警察や消防、外務省などからなる職員18人が、第1陣として6日夜に日本を出発しました。
自宅を襲った大地震、いつまでも続く激しい揺れ 記者が目の当たりにした惨状 トルコ(CNN.co.jp) - Yahoo!ニュース
トルコ地震、デマ拡散に注意「人工地震」「津波発生」「原発が爆発」(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
2022年を振り返る
- 2023/01/17
- 11:26
2023年を迎えました。今年も自然災害のブログをよろしくお願いします。大晦日に山形県鶴岡市で、住宅の裏山の斜面が幅100m、高さ20~30mにわたって崩れ、住宅など10棟の建物が土砂崩れに巻き込まれ、2名の方が犠牲になり、周辺の8世帯22人はホテルなどに避難しています。現場は崖崩れの危険がある「土砂災害警戒区域」に指定されていますが、前の週まで降り続いた大雪が溶けて、大量の水が染み込んだことが原因となった可能性が指...
2023年を迎えました。今年も自然災害のブログをよろしくお願いします。
大晦日に山形県鶴岡市で、住宅の裏山の斜面が幅100m、高さ20~30mにわたって崩れ、住宅など10棟の建物が土砂崩れに巻き込まれ、2名の方が犠牲になり、周辺の8世帯22人はホテルなどに避難しています。現場は崖崩れの危険がある「土砂災害警戒区域」に指定されていますが、前の週まで降り続いた大雪が溶けて、大量の水が染み込んだことが原因となった可能性が指摘されています。今年は例年よりも早い時期に大雪が降ったり、雪が少ない地域が大雪になったりと、かなりの雪が予想されています。まだまだ雪のシーズンは続くので、このような地域にお住まいの方は、雪解けシーズンは崖崩れに注意していただきたいと思います。
2022年は自然災害で締め括られた観がありますが、改めて2022年の自然災害について振り返ってみたいと思います。
1.地震について
2022年は、M5.0以上の地震は98回ありました。そのうちM6.0以上は父島近海で2回、あとは日向灘、与那国島近海、八丈島東方沖、沖縄本島北西沖、三重県南東沖、奄美大島近海が震源でした。M7.0以上の地震は福島県沖と台湾付近を震源とした2回だけでした。震度としては、震度5弱が6回、震度5強が5回、震度6弱が1回、震度6強が1回でした。
マグニチュードが大きいと震度も大きくなりやすいですが、最大のものは3月16日に発生した福島県沖を震源とするM7.2、震度6強の地震だけで、あとは震源が海中のため陸地への影響が小さくなりました。9月18日に台湾付近で発生したM7.2の地震は、台湾では多少の建物の被害が発生しましたが、日本では与那国島で震度1でした。反対に6月26日に熊本地方で発生した地震ですが、マグニチュードは4.7でしたが、震度5弱を観測しました。
このように震源地の場所や深さにより、マグニチュードが大きい地震が必ずしも震度が大きくなるわけでもなく、マグニチュードが小さくても震度が大きくなる場合もあります。特に昨年はその傾向が大きかったように感じます。また各地に震度計が設置されていますが、その場所の地盤により、実際に感じた揺れと異なる場合があります。筆者が住んでいる地域は、どうも地盤が固いところに設置されているようで、体感した揺れより大抵「1」小さい震度が表示されます。反対に地盤が柔らかいのか、「1」大きい震度が出る地域もあるようで、たとえば「震度5強」が記録されても、地元の方は「そこまで大きな揺れではなかった」というケースもありました。
昨年の地震で特筆すべきは、「沖縄本島北西沖」を震源とする地震の多さでした。M5.0以上の地震は21回でしたが、それ以下の地震を含めると80回も揺れていました。2022年前半で59回も揺れ、特に2月12回、3月17回、4月16回と、この3ヶ月がピークでした。最大マグニチュードは6.1でしたが、いずれも震源が陸地から離れていたので、最大震度は3でした。
また震源地は異なりますが、マグニチュード5クラス以上の地震が一日の内に2回、3回と発生したケースが14回もありました。3月17日は福島県沖、石垣島北西沖、沖縄本島北西沖の3回、5月9日は与那国島近海で2回と伊勢湾、6月19日は沖縄本島北西沖で2回と能登半島、特に9月18日は沖縄本島北西沖を震源とする地震がM5.0、M6.1、M5.5と3回あり、更に台湾付近を震源とするM7.2の地震もありました。
それ以外にも、台湾付近、石垣島近海、与那国島近海のM5以上の地震も11回あり、沖縄から台湾までの西側に当たる沖縄トラフの動きが非常に活発化していました。昨年後半は治まってきましたが、今後がどうなるか注視する必要があります。
2.火山噴火
(1) 国内の火山
国内では、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)とレベル3(入山規制)が発令されている火山は、諏訪之瀬島、薩摩硫黄島、桜島、西ノ島、海徳海山、噴火浅根、硫黄島、福徳岡ノ場になります。12月には磐梯山で火山性地震が増加し、状況によってはレベル2を発令、スキー場も閉鎖の可能性がありましたが、幸いにも活発化することなく現在に至っています。
桜島の活動も続いており、2022年は85回の噴火がありました。特に7月24日の噴火では、初めて噴火警戒レベル5(避難)が発令されました。現地で観測を続けている研究者や地元の方々は、「いつもと同じような噴火」と捉えており、避難生活も3日ほどで終了しました。今回は落ち着きましたが、自然の動きはいつ大きく変化するか予想が付きません。噴火に慣れているとしても、やはりイザという時のことは考えておく必要があります。
(2) 海外の噴火
海外では11月末から各地での噴火が続いています。11月27日にハワイ島にあるマウナ・ロア火山が、1984年以来38年ぶりに噴火しました。この火山は海底から9千メートル以上そそり立つ、世界最大の活火山です。山体は溶岩で形成されていて、その体積は富士山50個分以上あります。地上部分だけでも標高は4169mあり、富士山より高い山です。山のスケールが大きく、北アルプスが丸ごと一つの山になったイメージで、今回の噴火はその中心部で溶岩が噴出しているような感じでした。当初は噴火口の中に溶岩が留まっていましたが、その後、噴火口の外へ流れ出し、州道から10キロ離れた地点までゆっくり流れ出しましたが、空港が閉鎖されることもなく、逆に溶岩と記念撮影をする人が殺到して、火山国立公園の駐車場付近では数千台の車で渋滞しました。12月10日には火山活動が低下し、専門家は警戒レベルを「警告」から「監視」に引き下げました。
12月4日にはインドネシアのジャワ島、スメル火山で大規模噴火が発生し、噴煙が高さ15キロまで達しました。スメル火山はジャワ島の最高峰で標高は3,676m、最も活動している火山の一つです。日本でも気象庁が沖縄県の一部に津波が到達する恐れがあると公表しましたが、幸いにも影響はありませんでした。
またグゥテマラのフエゴ火山も、12月10日から11日にかけて噴火しました。火山灰が風に乗り首都に到達したため、空港や幹線道路が一時閉鎖されました。この火山は中米で最も活発な火山の一つで、平均して4~5年ごとに噴火しています。2018年の噴火では火砕流で200人以上が死亡、約200人が行方不明となりましたが、今回の噴火で避難した人はいませんでした。
そして2022年の自然災害で最大の出来事は、1月15日にトンガで発生した、フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山の大噴火です。この噴火により太平洋のほか、インド洋、大西洋など世界各地で潮位変化が観測されました。気象庁は午後7時3分に「若干の海面変動が予想されるが、被害の心配はない」と発表しましたが、午後8時頃から日本の太平洋側で潮位変化が観測され、その後も潮位が上昇し、午後11時過ぎには鹿児島県奄美市で1mを超える津波が観測されました。そのため日付が変わった16日の午前0時15分、各地に津波警報や津波注意報が発令されました。潮位変化はトンガで最大20m、ペルーで2m、カリフォルニア州で1.3m、日本では1.2mの変動が観測されました。日本国内では津波により四国で漁船が転覆するなどの被害が出ましたが、幸いにも人的被害は発生しませんでした。しかしペルーでは、この津波により石油タンカーが座礁し、オイルが漏れ出すという二次災害も発生しました。またこの噴火の際、わずか5分間で2万5500回を超す雷を発生させ、6時間の間に発生した雷は40万回に達したという観測結果が新たに発表されました。
■トンガ火山噴火で記録的な雷発生、6時間で約40万回(CNN.co.jp) - Yahoo!ニュース
2023年に入り、5日にはハワイのキラウエア火山が再び噴火を始めました。2018年5月の噴火では、新しい噴火口がどんどん現われて広がり壊滅した集落もありましたが、幸いにも死者は出ませんでした。4ヶ月にわたり多量の溶岩が流出して、火口内にあった溶岩湖が消失しました。今回の噴火がどのような経過をたどるかはわかりませんが、世界的に火山活動が活発化していることは間違いないようです。また8日にはバヌアツでM7.2、10日にはニューギニア付近でM7.6の地震が発生しました。
気候温暖化の影響により、大雨による災害も多くなってきています。今年は地震や火山噴火なども多くなるかもしれません。いつ、どんな災害が発生するかはわかりませんが、地域により被害の様相も異なります。自分が住んでいる地域がどのような特色があるか、また避難経路も確認して、イザという時には慌てないで命を守る行動をとれるようにしておきましょう。
大晦日に山形県鶴岡市で、住宅の裏山の斜面が幅100m、高さ20~30mにわたって崩れ、住宅など10棟の建物が土砂崩れに巻き込まれ、2名の方が犠牲になり、周辺の8世帯22人はホテルなどに避難しています。現場は崖崩れの危険がある「土砂災害警戒区域」に指定されていますが、前の週まで降り続いた大雪が溶けて、大量の水が染み込んだことが原因となった可能性が指摘されています。今年は例年よりも早い時期に大雪が降ったり、雪が少ない地域が大雪になったりと、かなりの雪が予想されています。まだまだ雪のシーズンは続くので、このような地域にお住まいの方は、雪解けシーズンは崖崩れに注意していただきたいと思います。
2022年は自然災害で締め括られた観がありますが、改めて2022年の自然災害について振り返ってみたいと思います。
1.地震について
2022年は、M5.0以上の地震は98回ありました。そのうちM6.0以上は父島近海で2回、あとは日向灘、与那国島近海、八丈島東方沖、沖縄本島北西沖、三重県南東沖、奄美大島近海が震源でした。M7.0以上の地震は福島県沖と台湾付近を震源とした2回だけでした。震度としては、震度5弱が6回、震度5強が5回、震度6弱が1回、震度6強が1回でした。
マグニチュードが大きいと震度も大きくなりやすいですが、最大のものは3月16日に発生した福島県沖を震源とするM7.2、震度6強の地震だけで、あとは震源が海中のため陸地への影響が小さくなりました。9月18日に台湾付近で発生したM7.2の地震は、台湾では多少の建物の被害が発生しましたが、日本では与那国島で震度1でした。反対に6月26日に熊本地方で発生した地震ですが、マグニチュードは4.7でしたが、震度5弱を観測しました。
このように震源地の場所や深さにより、マグニチュードが大きい地震が必ずしも震度が大きくなるわけでもなく、マグニチュードが小さくても震度が大きくなる場合もあります。特に昨年はその傾向が大きかったように感じます。また各地に震度計が設置されていますが、その場所の地盤により、実際に感じた揺れと異なる場合があります。筆者が住んでいる地域は、どうも地盤が固いところに設置されているようで、体感した揺れより大抵「1」小さい震度が表示されます。反対に地盤が柔らかいのか、「1」大きい震度が出る地域もあるようで、たとえば「震度5強」が記録されても、地元の方は「そこまで大きな揺れではなかった」というケースもありました。
昨年の地震で特筆すべきは、「沖縄本島北西沖」を震源とする地震の多さでした。M5.0以上の地震は21回でしたが、それ以下の地震を含めると80回も揺れていました。2022年前半で59回も揺れ、特に2月12回、3月17回、4月16回と、この3ヶ月がピークでした。最大マグニチュードは6.1でしたが、いずれも震源が陸地から離れていたので、最大震度は3でした。
また震源地は異なりますが、マグニチュード5クラス以上の地震が一日の内に2回、3回と発生したケースが14回もありました。3月17日は福島県沖、石垣島北西沖、沖縄本島北西沖の3回、5月9日は与那国島近海で2回と伊勢湾、6月19日は沖縄本島北西沖で2回と能登半島、特に9月18日は沖縄本島北西沖を震源とする地震がM5.0、M6.1、M5.5と3回あり、更に台湾付近を震源とするM7.2の地震もありました。
それ以外にも、台湾付近、石垣島近海、与那国島近海のM5以上の地震も11回あり、沖縄から台湾までの西側に当たる沖縄トラフの動きが非常に活発化していました。昨年後半は治まってきましたが、今後がどうなるか注視する必要があります。
2.火山噴火
(1) 国内の火山
国内では、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)とレベル3(入山規制)が発令されている火山は、諏訪之瀬島、薩摩硫黄島、桜島、西ノ島、海徳海山、噴火浅根、硫黄島、福徳岡ノ場になります。12月には磐梯山で火山性地震が増加し、状況によってはレベル2を発令、スキー場も閉鎖の可能性がありましたが、幸いにも活発化することなく現在に至っています。
桜島の活動も続いており、2022年は85回の噴火がありました。特に7月24日の噴火では、初めて噴火警戒レベル5(避難)が発令されました。現地で観測を続けている研究者や地元の方々は、「いつもと同じような噴火」と捉えており、避難生活も3日ほどで終了しました。今回は落ち着きましたが、自然の動きはいつ大きく変化するか予想が付きません。噴火に慣れているとしても、やはりイザという時のことは考えておく必要があります。
(2) 海外の噴火
海外では11月末から各地での噴火が続いています。11月27日にハワイ島にあるマウナ・ロア火山が、1984年以来38年ぶりに噴火しました。この火山は海底から9千メートル以上そそり立つ、世界最大の活火山です。山体は溶岩で形成されていて、その体積は富士山50個分以上あります。地上部分だけでも標高は4169mあり、富士山より高い山です。山のスケールが大きく、北アルプスが丸ごと一つの山になったイメージで、今回の噴火はその中心部で溶岩が噴出しているような感じでした。当初は噴火口の中に溶岩が留まっていましたが、その後、噴火口の外へ流れ出し、州道から10キロ離れた地点までゆっくり流れ出しましたが、空港が閉鎖されることもなく、逆に溶岩と記念撮影をする人が殺到して、火山国立公園の駐車場付近では数千台の車で渋滞しました。12月10日には火山活動が低下し、専門家は警戒レベルを「警告」から「監視」に引き下げました。
12月4日にはインドネシアのジャワ島、スメル火山で大規模噴火が発生し、噴煙が高さ15キロまで達しました。スメル火山はジャワ島の最高峰で標高は3,676m、最も活動している火山の一つです。日本でも気象庁が沖縄県の一部に津波が到達する恐れがあると公表しましたが、幸いにも影響はありませんでした。
またグゥテマラのフエゴ火山も、12月10日から11日にかけて噴火しました。火山灰が風に乗り首都に到達したため、空港や幹線道路が一時閉鎖されました。この火山は中米で最も活発な火山の一つで、平均して4~5年ごとに噴火しています。2018年の噴火では火砕流で200人以上が死亡、約200人が行方不明となりましたが、今回の噴火で避難した人はいませんでした。
そして2022年の自然災害で最大の出来事は、1月15日にトンガで発生した、フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山の大噴火です。この噴火により太平洋のほか、インド洋、大西洋など世界各地で潮位変化が観測されました。気象庁は午後7時3分に「若干の海面変動が予想されるが、被害の心配はない」と発表しましたが、午後8時頃から日本の太平洋側で潮位変化が観測され、その後も潮位が上昇し、午後11時過ぎには鹿児島県奄美市で1mを超える津波が観測されました。そのため日付が変わった16日の午前0時15分、各地に津波警報や津波注意報が発令されました。潮位変化はトンガで最大20m、ペルーで2m、カリフォルニア州で1.3m、日本では1.2mの変動が観測されました。日本国内では津波により四国で漁船が転覆するなどの被害が出ましたが、幸いにも人的被害は発生しませんでした。しかしペルーでは、この津波により石油タンカーが座礁し、オイルが漏れ出すという二次災害も発生しました。またこの噴火の際、わずか5分間で2万5500回を超す雷を発生させ、6時間の間に発生した雷は40万回に達したという観測結果が新たに発表されました。
■トンガ火山噴火で記録的な雷発生、6時間で約40万回(CNN.co.jp) - Yahoo!ニュース
2023年に入り、5日にはハワイのキラウエア火山が再び噴火を始めました。2018年5月の噴火では、新しい噴火口がどんどん現われて広がり壊滅した集落もありましたが、幸いにも死者は出ませんでした。4ヶ月にわたり多量の溶岩が流出して、火口内にあった溶岩湖が消失しました。今回の噴火がどのような経過をたどるかはわかりませんが、世界的に火山活動が活発化していることは間違いないようです。また8日にはバヌアツでM7.2、10日にはニューギニア付近でM7.6の地震が発生しました。
気候温暖化の影響により、大雨による災害も多くなってきています。今年は地震や火山噴火なども多くなるかもしれません。いつ、どんな災害が発生するかはわかりませんが、地域により被害の様相も異なります。自分が住んでいる地域がどのような特色があるか、また避難経路も確認して、イザという時には慌てないで命を守る行動をとれるようにしておきましょう。
群衆雪崩について
- 2022/11/10
- 08:35
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。ハロウィンの韓国で悲惨な事故が起きてしまいました。まずは犠牲になられた方のご冥福をお祈りします。この事故は「群衆雪崩」によって、多くの方が亡くなられました。今回はこの群衆雪崩について取り上げたいと思います。群衆雪崩は、多くの人が集まっている時に発生する事故です。密集状態で一人が倒れると、文字通り周囲の人が雪崩を打つように転倒するものです。日本では20...
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。ハロウィンの韓国で悲惨な事故が起きてしまいました。まずは犠牲になられた方のご冥福をお祈りします。
この事故は「群衆雪崩」によって、多くの方が亡くなられました。今回はこの群衆雪崩について取り上げたいと思います。
群衆雪崩は、多くの人が集まっている時に発生する事故です。密集状態で一人が倒れると、文字通り周囲の人が雪崩を打つように転倒するものです。
日本では2001年7月に、兵庫県明石市で開催された花火大会の時に発生しました。この時は会場となった海岸と駅を結ぶ歩道橋で、駅から海岸へ向かおうとする人と、逆に海岸から駅へ向かおうとする人の流れが歩道橋で衝突し、1㎡あたり13~15人が立ち往生する異常な混雑となり、何かのきっかけで集中した人が折り重なって倒れ、11人が死亡、183人が重軽傷を負いました。この時の犠牲者は小学生以下の子供9名と70代の女性2名で、体格的に弱い方が亡くなられました。
しかし今回の韓国での事故の犠牲者は成人ばかりで、それだけ圧迫された力が大きかったと考えられます。圧迫されることにより、呼吸困難になります。特に倒れて下敷きになってしまうと、人の下になった人は数百キロの重みで圧迫されて呼吸困難となり、心肺停止に至ってしまう可能性も高いとみられます。韓国の事故では1人当たりの圧力が220キロにも達し、立ったまま圧迫により亡くなられた方も出てしまいました。
この密集した状態は、満員の通勤電車の中でも経験しています。鉄道会社の取り組みやコロナの影響により、かつてと比べると混雑状況は改善しているようですが、事故などの影響で乗客が過度に集中することがあります。また、駅の階段付近や車両のドア付近など、人がより密集する場所もあります。すし詰め状態の車両でも1㎡あたり13人程度の混み具合で、1人当たりにかかる圧力は50キロ程度です。しかしカーブなどでは、ドア付近は一時的にかなりの圧力がかかることもあります。
大阪工業大学の吉村特任教授によると、「満員電車は最大で5~10人程度に、1人当たり120キロ程度の圧力がかかっている可能性があり、これは呼吸が出来なくなるほどの力です。この状態が長時間続けば、気を失うこともあり得ます。背が低い女性や子供、身体の弱い高齢者は命を落とすリスクも出てきます。またドアが開き、降りる際に転倒でもすれば、群衆雪崩のような現象が発生するリスクもあります」と述べている。過去には、1945年に山手線で母親の背中に背負われていた0歳児が満員電車で圧死、1945年に大阪でも満員電車で12人が意識不明となり、1人が死亡するという事例があります。
群衆事故には、もう一つ「将棋倒し」があります。これは1㎡あたり5人ぐらいなので、群衆雪崩よりも小さい規模です。群衆雪崩はもっと混雑した状況で発生しますが、どのようなきっかけで、どんな場所で発生するのかはよく分かっていません。近年は人の動きを流体に見立て、流体力学の面からコンピューターシミュレーションが行われています。意図的に人の流れを阻害する場所を設置したり、一人が転倒するなどの偶発的な要素で発生する滞留の状況を再現して、これが全体の流れにどのように影響するかをシミュレーションします。
群衆雪崩が甚大な事故に繋がる理由としては、以下のようなことが挙げられます。
・雑踏で発生するため転倒時に自分の身を守る体制をとることが困難
・身動きがとれないほどの混雑であった場合、無理な姿勢での店頭になってしまう
・前方で転倒している人がいることに気付かない群衆は、前への圧力をかけ続ける
・転倒した人の後ろにいる人が、後ろからの圧力で次々と押し倒される
・転倒した複数人の体重が累積して強い圧力で圧迫される
・転倒後に体制を建て直すことが困難であり、長時間無理な姿勢で圧迫を受け続ける
・雑踏で発生するため、救援に時間がかかる
この群衆雪崩は、首都直下地震などの災害が発生した時にも起きる可能性があります。2019年に首都直下地震のドラマがNHKで放送されましたが、この中で「群衆雪崩」により渋谷で多くの人が折り重なって倒れて亡くなっている場面がありました。道を塞がれて戻ろうとする人、先が分からないためにその道へ進もうとする人など、大勢が様々な方向へ逃げ惑い、そこで誰かが転倒したりするとそれをきっかけに将棋倒し、あるいは群衆雪崩が発生してしまいます。
またこのような大災害ではなくても、スタジアムや劇場など収容人員が多くても、出入口が限られるような施設で火災などが発生した際も、人が一斉に出入口に殺到して事故が起こる危険性があります。突然何かの事故や災害に巻き込まれた場合、落ち着いて周囲の状況を確認して、次の行動に移すことが命を救う確率を高めます。まずはパニックに巻き込まれないことが第一です。
■群集雪崩の危険性と対策は|こうち防災いちばん (nhk.or.jp)
■群衆雪崩で立ったまま圧死するメカニズムとは!群衆内での対処法も解説 | 防災新聞 (nishinippon.co.jp)
この事故は「群衆雪崩」によって、多くの方が亡くなられました。今回はこの群衆雪崩について取り上げたいと思います。
群衆雪崩は、多くの人が集まっている時に発生する事故です。密集状態で一人が倒れると、文字通り周囲の人が雪崩を打つように転倒するものです。
日本では2001年7月に、兵庫県明石市で開催された花火大会の時に発生しました。この時は会場となった海岸と駅を結ぶ歩道橋で、駅から海岸へ向かおうとする人と、逆に海岸から駅へ向かおうとする人の流れが歩道橋で衝突し、1㎡あたり13~15人が立ち往生する異常な混雑となり、何かのきっかけで集中した人が折り重なって倒れ、11人が死亡、183人が重軽傷を負いました。この時の犠牲者は小学生以下の子供9名と70代の女性2名で、体格的に弱い方が亡くなられました。
しかし今回の韓国での事故の犠牲者は成人ばかりで、それだけ圧迫された力が大きかったと考えられます。圧迫されることにより、呼吸困難になります。特に倒れて下敷きになってしまうと、人の下になった人は数百キロの重みで圧迫されて呼吸困難となり、心肺停止に至ってしまう可能性も高いとみられます。韓国の事故では1人当たりの圧力が220キロにも達し、立ったまま圧迫により亡くなられた方も出てしまいました。
この密集した状態は、満員の通勤電車の中でも経験しています。鉄道会社の取り組みやコロナの影響により、かつてと比べると混雑状況は改善しているようですが、事故などの影響で乗客が過度に集中することがあります。また、駅の階段付近や車両のドア付近など、人がより密集する場所もあります。すし詰め状態の車両でも1㎡あたり13人程度の混み具合で、1人当たりにかかる圧力は50キロ程度です。しかしカーブなどでは、ドア付近は一時的にかなりの圧力がかかることもあります。
大阪工業大学の吉村特任教授によると、「満員電車は最大で5~10人程度に、1人当たり120キロ程度の圧力がかかっている可能性があり、これは呼吸が出来なくなるほどの力です。この状態が長時間続けば、気を失うこともあり得ます。背が低い女性や子供、身体の弱い高齢者は命を落とすリスクも出てきます。またドアが開き、降りる際に転倒でもすれば、群衆雪崩のような現象が発生するリスクもあります」と述べている。過去には、1945年に山手線で母親の背中に背負われていた0歳児が満員電車で圧死、1945年に大阪でも満員電車で12人が意識不明となり、1人が死亡するという事例があります。
群衆事故には、もう一つ「将棋倒し」があります。これは1㎡あたり5人ぐらいなので、群衆雪崩よりも小さい規模です。群衆雪崩はもっと混雑した状況で発生しますが、どのようなきっかけで、どんな場所で発生するのかはよく分かっていません。近年は人の動きを流体に見立て、流体力学の面からコンピューターシミュレーションが行われています。意図的に人の流れを阻害する場所を設置したり、一人が転倒するなどの偶発的な要素で発生する滞留の状況を再現して、これが全体の流れにどのように影響するかをシミュレーションします。
群衆雪崩が甚大な事故に繋がる理由としては、以下のようなことが挙げられます。
・雑踏で発生するため転倒時に自分の身を守る体制をとることが困難
・身動きがとれないほどの混雑であった場合、無理な姿勢での店頭になってしまう
・前方で転倒している人がいることに気付かない群衆は、前への圧力をかけ続ける
・転倒した人の後ろにいる人が、後ろからの圧力で次々と押し倒される
・転倒した複数人の体重が累積して強い圧力で圧迫される
・転倒後に体制を建て直すことが困難であり、長時間無理な姿勢で圧迫を受け続ける
・雑踏で発生するため、救援に時間がかかる
この群衆雪崩は、首都直下地震などの災害が発生した時にも起きる可能性があります。2019年に首都直下地震のドラマがNHKで放送されましたが、この中で「群衆雪崩」により渋谷で多くの人が折り重なって倒れて亡くなっている場面がありました。道を塞がれて戻ろうとする人、先が分からないためにその道へ進もうとする人など、大勢が様々な方向へ逃げ惑い、そこで誰かが転倒したりするとそれをきっかけに将棋倒し、あるいは群衆雪崩が発生してしまいます。
またこのような大災害ではなくても、スタジアムや劇場など収容人員が多くても、出入口が限られるような施設で火災などが発生した際も、人が一斉に出入口に殺到して事故が起こる危険性があります。突然何かの事故や災害に巻き込まれた場合、落ち着いて周囲の状況を確認して、次の行動に移すことが命を救う確率を高めます。まずはパニックに巻き込まれないことが第一です。
■群集雪崩の危険性と対策は|こうち防災いちばん (nhk.or.jp)
■群衆雪崩で立ったまま圧死するメカニズムとは!群衆内での対処法も解説 | 防災新聞 (nishinippon.co.jp)