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「大避難」について

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。現在、台風13号が関東地方に近付きつつあります。970hPaという大型で8日から9日にかけて関東地方と東北太平洋側にかなり接近し、上陸する恐れもあります。8日夕方までに予想される24時間雨量は、最大で関東甲信100ミリ、東北80ミリ。その後の24時間は、関東甲信400ミリ、東北300ミリとされ、気象庁は土砂災害や河川氾濫への警戒を呼びかけています。7月の西日本豪雨をはじめ、...

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
現在、台風13号が関東地方に近付きつつあります。970hPaという大型で8日から9日にかけて関東地方と東北太平洋側にかなり接近し、上陸する恐れもあります。8日夕方までに予想される24時間雨量は、最大で関東甲信100ミリ、東北80ミリ。その後の24時間は、関東甲信400ミリ、東北300ミリとされ、気象庁は土砂災害や河川氾濫への警戒を呼びかけています。7月の西日本豪雨をはじめ、私達の暮らしを守る堤防などのインフラの強度を上回る災害が発生してきています。このような大災害が現代の都市でひとたび起きると、数十万人規模の人々が一斉に避難を迫られる事態が起こり得ます。これが「大避難」です。しかも最新の科学的分析から、もし現代の都市で大避難を必要とする災害が起きた場合、避難そのものが困難になったり、予期せぬ混乱が起こったりすることがわかってきました。
今回は昨年掲載した「大避難」について、再度、考えてみたいと思います。

1.災害情報について
避難を呼びかける前提には、各種の災害情報があります。近年は技術の進歩に伴い、その情報の質・量ともに豊富になり、更に新たな災害が起こるたびに情報の種類が増加しています。ここでは 気象分野における災害情報を紹介します。

(1) 天候関係
 注意報:大雨、洪水、強風、風雪、大雪、波浪、高潮、暴風、雷、乾燥、低温、その他
 警 報:大雨(土砂災害、浸水害)、洪水、暴風、暴風雪、洪水、大雪、波浪、高潮
 特別警報:大雨(土砂災害、浸水害)、暴風、暴風雪、洪水、大雪、高潮
特別警報は平成25年8月30日から施行され、「数十年に一度」のような災害に対し、すぐ命を守る行動をとることを呼びかけるものです。
気象庁 特別警報について
  http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/tokubetsu-keiho/index.html

(2) 洪水に関して
洪水には特別警報は導入されていませんが、河川の「洪水予報」が設定されています。水位ごとに「はん濫注意情報」「はん濫警戒情報」「はん濫危険情報」「はん濫発生情報」の4つがあります。
気象庁 指定河川洪水予報
  http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/flood.html

(3) 土砂災害警戒情報
大雨警報(土砂災害)が発表されている状況で、土砂災害発生の危険度がさらに高まった時に、避難勧告や住民の自主避難の判断を支援するよう、対象となる市町村を特定して都道府県と気象庁が共同で発表します。
気象庁 土砂災害情報
  http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/doshakeikai.html

2.スーパー台風が上陸したら?
(1) 台風の変化
台風は、年間を通して暑い熱帯地方である北緯5度から20度くらいの海上で最も多く発生します。この付近の海は海水の温度も高く雲も多く、台風が渦を巻く力もあるためです。そして太平洋高気圧の風に乗り、台風の進路が決まってきます。台風の勢力が最も強い場所を「最強地点」として抽出すると、日本付近では、本州に上陸したり接近したりする台風の最強地点は平均すると1982年には北緯21度付近、台湾の南側の海上付近でした。それが2012年には台湾にかかるぐらいまで、約150kmも北上している事実が判明しました。そしてこの結果は現在進行形のもので、温暖化が進んだ将来は最強地点が更に北上する傾向が強まる可能性があります。そして最強地点が大きく北へ広がり、日本付近に達することも予想されています。
台風が強くなると大雨も予想されますが、更に心配になるのは高潮のリスクです。高潮とは、湾に向かって台風が進行してきた時に、暴風雨が同じ方向で長時間吹き続けることで生じる「吹き寄せ」と、台風の気圧が低いために海面が持ち上げられる「吸い上げ」が複合して起こる現象です。台風ハイエンでは、2階の天井近くまで水が押し寄せたという証言もあるように、7mの高潮が発生して被害が増大しました。また温暖化が続くと海面の水位自体も上昇します。堤防などハードの整備は進んでいますが、現状の防御レベルを上回るような高潮になる恐れもあります。
国土交通省 高潮発生のメカニズム
https://www.mlit.go.jp/river/pamphlet_jirei/kaigan/kaigandukuri/takashio/1mecha/01-2.htm


(2) スーパー台風上陸からの避難行動
日本ではまだスーパー台風の上陸はありませんが、その危険性が確実に増大してきている現在、もし日本にスーパー台風が上陸したら人々の避難行動はどうなるかのコンピューターシミュレーションを行いました。シミュレーションは台風の発達過程を高精度に表現する研究、高潮の予測の研究、河川の水位変化の研究、人々の避難情報の研究を行っている各研究者の協力の下に行われました。台風は関東に上陸、避難の対象としたのはゼロメートル地帯になる江戸川区・足立区・葛飾区のおよそ180万人です。そのシミュレーション結果は驚くようなものになりました。
①上陸48時間前
台風はまだ本州の1500km以上南の海上に位置し、勢力は940hPa、最大風速50mの「非 常に強い台風」の状態

②上陸24時間前
上陸24時間前の夜、急速に発達した台風の気圧は897hPa、最大風速75m、さらに風速15m以上の風が吹く強風半径は900~1000kmの「超大型」台風になっています。超大型台風接近中のニュースが流れているが、台風の中心部は日本の南800kmに位置し、東京ではまだあまり風も強くありません。この時点で区の外へ自主的に避難する人は7万3000人程度。

③上陸半日前
関東地方は次第に暴風域に入り、交通も乱れ始めることが予想される頃です。台風上陸の8時間半ほど前には3つの区では避難勧告が発令され、およそ23%に当たる56万人が避難を開始する。動き出す車は17万台にもなり、道路の大渋滞、荒川・江戸川・隅田川にかかる橋は動きがとれない状態になる。公共交通機関も混乱が始まる。上陸のおよそ5時間前ごろには風の激しさも増し、電車やバスはほぼ全線で運転見合わせになる。この段階で3区の中にいる人は、避難しようとする人・しない人を含めて162万人。56万5000人が区外を目指しますが、わずか15万人しか脱出が出来ていません。

④上陸3時間前~上陸
この時点では、高層ビルに居住している人は上の階にとどまりますが、浸水の恐れがある区域の人は避難所へ向かいます。3区の避難場所は小学校などが指定されていますが、浸水の危険がない安全な場所は多くはありません。その結果、避難場所へ入ることが出来ず、別の場所を求めて歩き回らざるを得ない人が数多く出て来ますが、強風のために次第に身動きがとれなくなってきます。
そのような中、大雨の影響で水位が高くなっている荒川の水位が高潮の影響で上昇、水が堤防を乗り越える「越流」が始まります。浸水のスピードは速く、およそ2時間で3つの区の大半が浸水し、身動きがとれなくなっている人達に襲いかかります。シミュレーションでは最終的に20万人の人達が、命の危険に晒されている結果になりました。
今回のシミュレーションの避難者数は、江戸川区に居住または区内で働いている人にアンケートを行い、3000人からの回答を基にして算出しました。その内容は、ニュースで「超巨大台風が翌日夜には関東地方に上陸すると予想される」と報道された時に、自宅以外の場所に避難しようと思うかを質問したものです。その結果は「必ず自宅以外に避難する」が4%、「周囲の状況や他の情報に注意を払い、その上で判断する」が34%、「自宅で様子をみる」が36%、「職場などに外出する」が6%、
「普段どおりの生活をする」が19%でした。
自治体が住民に避難を呼びかける基準はいくつかありますが、最大の根拠は河川の水位になります。その基準は区ごとに設けられており、避難の呼びかけの判断も区ごとに行います。3区とも防災計画上は大規模な浸水の恐れがある時は区外への広域避難を呼びかけますが、具体的な避難先は決まっていません。また荒川の氾濫を想定した避難勧告は出されたことがありません。このような状況で56万もの人々が区外への脱出するのは不可能です。そこで必要になってくるのが「広域避難」です。

3.広域避難への取り組み
2015年の鬼怒川決壊の水害を受けて、国土交通省は国が管理する109水系のおよそ400の河川について、最大規模の洪水を考慮した浸水想定を開始しました。またこのシミュレーション結果を受けて、足立区・江戸川区・江東区・葛飾区・墨田区の江東5区が「大規模水害対策協議会」を発足させました。これは大規模水害の恐れがある場合は、共同検討における判断に基づいて区民に対して大規模水害の可能性を伝えるとともに、全ての人を対象に自主的な広域避難の実施を呼びかけることで、早い段階で区民の主体的な避難行動を促します。またさらなる広域避難の実効性を高める為に、大規模水害が発生する概ね一日前に「広域避難勧告」を発表することを目指して、江東5区が連携して広域避難に関する具体化を図っていくものです。
気象災害は「リードタイム」、すなわち雨や風が強くなってから災害が発生するまでに時間があり、避難勧告のタイミングが難しい場合があります。しかし逆に考えれば、地震と異なり突然発生する災害ではないので、避難準備の時間を確保することができます。災害が起きる前から逆算して対策をとるという考え方を「タイムライン」といいます。台風の場合、発生してから上陸するまでの数日間を使うことができ、この間に各自のタイムラインに沿って行動します。しかし行政は、①避難勧告のタイミングをどうするか、②避難先と手段をどうするか、③現実的な対応策を打ちだせるか、という課題に直面しています。
江東5区が具体的に想定した避難の流れは
【災害発生3日前】
5区の職員が集まり検討を開始し、区民に大規模水害の発生や広域避難呼びかける可能性があることを伝える。そしてすべての区民を対象に「自主広域避難の呼びかけ」を行う。

【災害発生1日前】
5区の区長が合同で「広域避難勧告」を発表する。そして公共交通機関を利用した避難を呼びかける。

【災害発生12時間前】
「避難準備情報」を発表。広域避難が難しい要支援者に、ビルの上などに設けた避難所への避難を呼びかける。

【災害発生6時間前】
台風による暴風雨で公共交通機関が止まった場合は広域避難を止め、「避難勧告」を発表して区内にある高層建物の上の階への垂直避難をするように求める。

【災害発生数時間前】
「避難指示」を発表し、速やかに命を守るための行動を求める。
具体的に区外のどこへ避難するのかなど、実効性のある計画になるのはこれからですが、確かな一歩は踏み出しました。

葛飾区 江東5区大規模災害対策協議会の検討結果
  http://www.city.katsushika.lg.jp/kurashi/1000063/1004031/1012226.html
江東区 江東5区大規模水害避難等対応方針
  http://www.city.koto.lg.jp/057101/bosai/bosai-top/topics/topics_0072.html

江戸川区 江東5区大規模災害対策協議会~犠牲者ゼロの実現に向けて~
  https://www.city.edogawa.tokyo.jp/bousai/koto5_daikibo_suigai.html
荒川に面する埼玉県戸田市も、上流側・下流側のどちらで決壊が起きても全市が水に浸かる問題を抱えています。浸水の高さは最大4mにもなり、広域避難が必要になってきます。そこで戸田市に隣接するさいたま市浦和区や南区の高台にある小・中学校に戸田市民も避難できる取り決めがなされました。住民側も具体的な避難場所がわかることにより、安心感を持つことが出来ます。このように少しずつですが、各地で広域避難計画が具体化しつつあります。
戸田市 水害犠牲者ゼロのまちづくり
  http://dsel.ce.gunma-u.ac.jp/toda_ws/cont-30.html

先週日本に襲来した台風12号は、東日本から西日本へ向かうという初めてのコースを辿りました。現在の猛暑を始めとして、今まで経験したことのない気象になってきています。関東地方に台風が来る場合、これまでは次第に勢力が弱まりスピードも速くなった状態が殆どでした。今回の台風13号は勢力が970hPa、スピードも逆に遅くなるという、初めて体験する台風になります。近年は堤防も整備されて災害も減っているため、地域住民も水害に対しては実感がなく、その備えが殆ど行われていない地域もあります。避難訓練も地震を想定した訓練ばかりです。水害の経験がないため「荒川が切れても大丈夫」という意識を持っている住民もいます。今までの概念にとらわれず、台風情報をチェックして、危険になる前に避難するなどの行動をとって命を守っていただきたいと思います。



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全国地震動予測地図について

全国地震動予測地図について いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。6月26日に、2018年版の全国地震動予測地図が発表されました。今回は、この予測地図について取り上げてみたいと思います。地震調査研究推進本部 全国地震動予測地図 2018年版 https://www.jishin.go.jp/evaluation/seismic_hazard_map/shm_report/shm_report_2018/  1.全国地震動予測地図とは全国地震動予測地図は、将来日本で発生...

全国地震動予測地図について

 

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。

626日に、2018年版の全国地震動予測地図が発表されました。今回は、この予測地図について取り上げてみたいと思います。

地震調査研究推進本部 全国地震動予測地図 2018年版

 

https://www.jishin.go.jp/evaluation/seismic_hazard_map/shm_report/shm_report_2018/

 

1.全国地震動予測地図とは

全国地震動予測地図は、将来日本で発生する恐れのある地震による強い揺れを予測し、予測結果を地図として表したもので、国の地震調査研究推進本部により2005年に初めて公表されて以来、毎年評価を改定して結果が公表されています。

全国地震動予測地図は、地震発生の長期的な確率評価と強震動の評価を組み合わせた「確率論的地震動予測地図」と、特定の地震に対して、ある想定されたシナリオに対する強震動評価に基づく「震源断層を特定した地震動予測地図」の2種類の性質の異なる地図から構成されています。

①「確率論的地震動予測地図」

日本及びその周辺で起こり得るすべての地震に対して、その発生場所、発生可能性、規模を確率論的手法によって評価し、さらにそれら地震が発生した時に生じる地震動の強さをバラツキも含めて評価することにより、一定の期間内に、ある地点が、ある大きさ以上の揺れに見舞われる確率を計算することにより作成されています。地点ごとに地震ハザード評価を実施し、地震動の強さ・期間・確率のうち2つを固定して残る1つの値を求めた上で、それらの値を示したものになっています。

「確率論的地震動予測地図」には、いろいろな種類のものがありますが、代表的なものとしては、今後30年以内に各地点が震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を地図として示したものがあります。

②「震源断層を特定した地震動予測地図」

ある特定の断層帯で発生する地震について、その地震が起きた時に断層周辺で生じる揺れの大きさを予測し、地図で示したものです。断層破壊の物理モデルに基づき、複雑な地下構造を考慮した地震波動伝播のシミュレーションを実施することにより、断層近傍域で発生する強い揺れを精度よく予測することが可能となっています。この地図を活用した例として、ある震度以上の揺れにさらされる人口の分布を示すものがあります。

 

2.2018版の特徴

予測地図は、M89級の地震が起きている南海トラフなどのプレート境界や、主要な活断層、プレート内で起きる地震の履歴を反映して作られます。震度6弱は、耐震性の低い木造家屋やブロック塀などの構造物が壊れる目安とされています。

2017年版との違いは、北海道東部の釧路市が22ポイント増の69%、根室市が15ポイント増の78%と大幅に増加しています。これは北海道太平洋側の千島海溝で起きる地震の規模と確率が見直され、M8.8以上の巨大地震が30年以内に発生する確率が740%と推定されたためです。

都道府県庁の所在地では、首都直下地震が懸念される関東南部の千葉市が85%で最も高く、横浜市が82%、水戸市が81%となり、前回版に続いて高確率となっています。東京は48%でしたが、都庁付近の地盤が比較的固いためで、湾岸部などでは80%を超す地域が広がっています。

100150年程度の間隔で起きる南海トラフ地震の震源域周辺では、高知市が75%、静岡市が70%などで、前回版から1ポイント上昇しました。

各地の確率は、防災科学技術研究所のウェブサイトで公開されています。30年以内に震度6弱以上に見舞われる確率が3%以上の「高い」地域は、オレンジや赤で示されています。最も濃い赤は26%以上で、約100年に1度以上の頻度となります。6%は約500年に1度、3%は約1000年に1度の頻度になります。

防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション

  

http://www.j-shis.bosai.go.jp/map/

J-SHIS  Mapの使い方

  

http://www.j-shis.bosai.go.jp/usage

 

3.地震動予測地図を見る時の注意点

●「確率が低いから安全」ではない

日本は世界的にみると地震による大きな揺れに見舞われる危険性が非常に高く、過去200年間に国内で大きな被害を出した地震を調べると、平均して海溝型地震は20年に1回程度、陸域の浅い地震は10年に1回程度起きています。このため、自分の地域で最近地震が起きていないからといって安心はできません。

日本国内で相対的に確率が低い地域でも、1983年日本海中部地震(M7.7)2005年福岡県西方沖地震(M7.0)2007年能登半島沖地震(M6.9)のように、大きな地震が発生し、強い揺れに見舞われて大きな被害が生じました。1995年兵庫県南部地震(M7.3)2016年熊本地震(M7.3)は、確率としては比較的高い所でしたが、直近には大地震が起きていなかった場所で発生しました。

また予測地図の確率は、日本全国を250m四方のメッシュで区切り、算出されています。そのため県庁や市町村庁のある場所の地盤強度により、数値が影響されます。地盤が強い場所では確率が低くなりますが、その周辺地域の地盤は異なる可能性もあります。

●「地震動予測地図」には不確実さが含まれています

予測地図は最新の知見に基づいて作成されていますが、使用できるデータは限りがあるため、結果には不確実さが残ります。地震計が設置されたのは明治以降の100年少々で、近代的観測データがあるのは、地震が起きてきた長い歴史のうちのごく僅かの期間です。また国内には、活断層調査等がまだ十分でない地域があります。このような理由から、現時点では確率が低くても、今後の調査によってこれまで知られていなかった過去の地震や活断層の存在が明らかにされ、確率が上がる可能性があるなど、不確実性が含まれています。

 

4.いま、自分で出来ること

地震発生確率が「高い」「低い」に関係なく、まずは防災を「他人事」ではなく「自分事」にすることが必要です。

今回の大阪地震では、ブロック塀の倒壊や部屋の本棚が倒れることにより犠牲になられた方もおられました。まずは自分の家の中、その周囲、そして自分が住む地域がどのような所かを、この機会に是非確認してみることをお薦めします。

以下に、身近な地域の防災情報を確認できるサイトを紹介します。

 

産業技術総合研究所 活断層データベース

  

https://gbank.gsj.jp/activefault/index_gmap.html

国土地理院 都市圏活断層図

  

http://www.gsi.go.jp/bousaichiri/active_fault.html

国土交通省 ハザードマップポータルサイト

  

https://disaportal.gsi.go.jp/

国土交通省 地点別浸水シミュレーション検索システム

  

http://suiboumap.gsi.go.jp/ShinsuiMap/Map/

防災科学技術研究所 地震ハザードカルテ

  

http://www.j-shis.bosai.go.jp/labs/karte/

政府広報 災害時に命を守る一人一人の防災対策

  

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201108/6.html

内閣府 防災情報のページ 南海トラフ地震対策

   http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/index.html

 

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キラウエア火山の噴火について

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。2018年5月3日午後4時45分(日本時間4日午前11時45分)ころ、ハワイ島にあるキラウエア火山が噴火を始めました。今回はキラウエア火山について取り上げてみたいと思います。1.ハワイ諸島の形成日本からの海外旅行先で人気が高いハワイは、米国最南端の州で、世界で最も隔離された群島になります。このハワイ州はミッドウェイ珊瑚などを含む北西ハワイ諸島と、オアフ島など主要8...


いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
2018年5月3日午後4時45分(日本時間4日午前11時45分)ころ、ハワイ島にあるキラウエア火山が噴火を始めました。今回はキラウエア火山について取り上げてみたいと思います。

1.ハワイ諸島の形成
日本からの海外旅行先で人気が高いハワイは、米国最南端の州で、世界で最も隔離された群島になります。このハワイ州はミッドウェイ珊瑚などを含む北西ハワイ諸島と、オアフ島など主要8島からなるハワイ諸島で構成された、132の島、岩礁、砂洲で形成されています。主要8島は、ハワイ島、カホオラヴェ島、マウイ島、ラナイ島、モロカイ島、オアフ島、カウアイ島、ニイハウ島で、このうちニイハウ島とカホオラヴェ島は一般人の入島が制限されています。
ハワイ諸島は今から500万年前に海底火山で隆起。その後、プレートの移動で北西にずれて、各島が次々に造り出されたと言われています。カウアイ島では長年の浸食による起伏の激しい地形が見られます。そしてハワイは典型的なホットスポットで、マントル深部から物質が供給されており、南東端のハワイ島では現在も活発な火山活動が続いています。
ハワイを載せる太平洋プレートは北西方向へ年間10cm程度の速さで動いているので、ハワイ諸島は北西へ行くほど島の形成が古くなっています。ホノルルのあるオアフ島は、ハワイ島から約350km北西にあり、その年代は約350万年前になります。最も北西にあるカウアイ島より先は、浸食によって削られて海上には姿を現してはいませんが、海山列が連なっています。
そしてこのハワイ諸島周辺では、巨大な海底地滑りが数多く発生したことが1980年代後半の調査で明らかになりました。島の面積よりもずっと広い海底地滑り跡があり、地滑り堆積物で覆われる総面積はハワイ諸島の数倍にも達し、一つの地滑り堆積物の体積は、海上に出ている島の体積の数分の1にも及ぶほどです。
またハワイ諸島は太平洋の真ん中にあるため、太平洋の周囲の沈み込み帯で巨大地震が発生すると、その津波による被害を免れることが出来ません。特に1946年アリューシャン列島で発生したM8.1の地震では、津波により160名の死者、2600万ドルもの被害が発生しました。ハワイ島のヒロでは、津波の高さは10mにも上ったそうです。この津波被害を受けて、アメリカ合衆国は地震警戒システムをつくり、太平洋津波警報センター(Pacific Tsunami Waring Center)と命名しました。日本の気象庁も、南米などの地震に対する津波警報は、ここからの情報を基にしています。

■地球紀行 大陸形成と移動 
   http://www.geocities.jp/t_shimizu2003/earth_histry_3_2_m.html

■ホットスポットで島ができるまで (歯医者さんのブログ)
   http://www.midorino-dc.jp/app/Blogarticleview/index/ArticleId/83


2.キラウエア火山
ハワイ島にあるキラウエア火山は、ハワイ語で「吹き出す」または「多くまき散らす」を意味する盾状火山で、緩やかに傾斜する斜面を持ち、底面積が広く、粘性の低い玄武岩質のマグマを流出させます。
キラウエア火山が形成され始めた時期は30万年から60万年前と推定されており、5万年から1万年前に海上に現われたようです。キラウエア火山の噴火は、20世紀中に45回の噴火が記録されています。1983年から始まった噴火は、幾度かの不活発化の時期を含み現在まで約35年間継続しています。爆発的噴火はまれで、溶岩流の流れはゆっくりしていて比較的安全な火山とされ、ゆっくり流れるマグマをすぐ近くで見学できる人気の観光地になっていました。
しかし2017年に入ってからは、その活動が非常に活発になり、激しい溶岩の噴出が絶え間なく続き、海へマグマが流れ込む状態が恒常化していました。そして今年5月3日からは、今までにない激しい噴火が始まりました。今回のような複数の噴火が起きたのは、1951年以来になるそうです。
地震も頻繁にあり、噴火の前日にM5.0、そして噴火が始まってからはM5.4、M6.9が発生しました。震源はレイラニ・エステーツの南西16kmで、ハワイ島では過去24時間に119回の地震が発生しました。このM6.9の地震は1975年に起きたM7.1の地震以来の規模で、今回もほぼ同じ場所で発生しました。

■HUFFPOST NEWS
   https://www.huffingtonpost.jp/2017/02/07/kilauea_n_14633664.html


3.今後の見通し
3日から始まった噴火ですが、噴火から数時間後、ハワイ州は非常事態宣言を発令し、同時に噴火の影響のある住民に避難命令を出し人的被害はありませんが、これまでに倒壊した建物36棟、住民や観光客およそ2000人が避難を余儀なくされています。現在も活発な活動が続いており、8日現在では南東部のレイラニ地区で新たに2つの火孔が確認され、これまでに14個の火孔から溶岩と火山ガスの流出が続いています。
アメリカ地質調査所(USGS)やハワイ郡民間防衛局によると、レイラニ地区を南北に縦断する幹線道路ハイウェイ130号では、過去24時間で亀裂の幅が4cm広がり、深さは1m近くに達しました。周辺道路はおびただしく湧き上がる噴気によってアスファルトが波打ったように変形しているうえ、路肩に駐車しておくと、いつ車が溶岩流に呑み込まれるかわからない状態になっています。

■YouTube キラウエア火山噴火映像
  https://www.youtube.com/watch?v=nQQ1UaXesEo
  https://www.youtube.com/watch?v=IZZZgO48T98
  https://www.youtube.com/watch?v=z4XmY-m95FQ

山頂のハレマウマウ火口の溶岩湖は先月末からマグマ量が急速に減少し、頭位が220m下がりました。露出した火口壁からは地震のたびに岩石が崩れ落ち、ハワイ火山観測所(HVO)の研究者が警戒を高めています。専門家は「地下水がマグマに接触すると、1924年に起きた強力な爆発に繋がる恐れがある」と危惧しています。1924年5月の噴火では、今回と同じ東リフト地帯で巨大爆発が相次ぎ、噴火の回数は2週間あまりで50回以上にもなりました。この時もハレマウマウ溶岩湖はマグマの急激な流出が進み、マグマが上昇する火道に地下水が流れ込んで水蒸気爆発が発生。その噴煙は上空9,000mに達し、14トンもの巨大な噴石が飛び散り、観光客が死亡した記録が残っています。
USGS(アメリカ地質調査所) 1924年噴火について(英語)
  https://volcanoes.usgs.gov/volcanoes/kilauea/geo_hist_1924_halemaumau.html

9日午前には、ハレマウマウ火口で短い爆発が発生しました。この爆発は火口壁の岩が崩れ落ちた衝撃で引き起こされた可能性が高く、噴火継続時間は短いものでした。この噴火から1時間後に火山学者が溶岩湖を観測した際、底の方で煮えたぎる溶岩が見えたといいます。
この噴火を受けてUSGSとハワイ火山観測所では、今後数週間のうちに爆発的な噴火が起きる可能性があると発表しました。また有害なスモッグや酸性雨が発生する恐れもあるとして、警戒を呼びかけています。
東部の住宅地では地面の亀裂から溶岩が流れ出し、有毒ガスが放出しています。当局は、二酸化硫黄の濃度が危険な水準にあると警告しています。こうした有毒ガスなどが湿気や埃と混じって火山スモッグが発生し、硫酸の水滴によって呼吸器系の問題を生じさせる恐れがあります。
専門家は「現時点で、そうした爆発的な活動が起きるかどうかの確証はない。爆発が起きた時の規模や、爆発的な活動がどれくらい続くのかもわからない。現在の活動は、南東部レイラニ地区に集中しているが、噴火活動が長引くと、他の地域も危険にさらされる可能性がある」と警告しています。

■BBC Nature ハワイ諸島の山体崩壊による超巨大津波説について
  https://matome.naver.jp/odai/2139798174919065501/2144404318037212003





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「三河地震について」

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。2018年4月14日、愛知県西部を震源とする1日3回の有感地震が発生しました。いずれの震源も北緯34.8度、東経137.1度、深さ10kmが2回、北緯34.9度、東経137.3度、深さ40kmが1回と、ほぼ同エリアでの発生になっています。そしてこの場所は1945年1月13日に死者2,300名以上を記録した三河地震(M6.8)の震源地にごく近い場所で発生した地震ということで、今後の動きに注目が集まってい...

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
2018年4月14日、愛知県西部を震源とする1日3回の有感地震が発生しました。いずれの震源も北緯34.8度、東経137.1度、深さ10kmが2回、北緯34.9度、東経137.3度、深さ40kmが1回と、ほぼ同エリアでの発生になっています。
そしてこの場所は1945年1月13日に死者2,300名以上を記録した三河地震(M6.8)の震源地にごく近い場所で発生した地震ということで、今後の動きに注目が集まっています。今回はこの1945年の三河地震について取り上げてみたいと思います。

1.地震の概要
三河地震は1945年1月13日午前3時38分、愛知県東部を震源とするM6.8の内陸直下型の地震として発生しました。岡崎平野南部や現在の安城市、西尾市、幡豆郡吉良町・幡豆町(共に現在は西尾市)、額田郡幸田町、蒲郡市などに局地的な大被害をもたらしました。最大震度は後年の調査により、震度7相当と見積もられています。プレート内活断層が起こした地震で、地表に明瞭な地震断層が出現したり、多数の前震などが確認されています。また震源地が三河湾の海底だったため、三河湾沿岸では最大31cmの小規模な津波も観測されました。
三河地震は、1945年の終戦前後に4年連続で1,000人を超える死者を出した四大地震「1943年 鳥取地震」(昭和18年9月10日)、「1944年 東南海地震」(昭和19年12月7日)、 「1946年 南海地震」(昭和21年12月21日)の一つとしても知られています。
この地震は深溝断層と横須賀断層の活動によって引き起こされましたが、深溝断層は愛知県指定天然記念物に指定されています。西尾市の妙喜寺には、地震の際に出来た10mにも及ぶ地割れ跡が残っています。現在ではこの地震の記録が風化しないようにと地割れ跡の上に上屋を設け保存されており、地震の激しさを示す遺構として残されています。実際に被災し、姉を亡くされた住職は、新聞のインタビューで「若い人に70年前の地震のことを言葉で伝えるのは難しい。生々しい体験をした被災者が亡くなっていく中、子供達に身近な場所で大きな災害があったことを、断層の存在を通して伝えたい」(平成27年1月13日、日本経済新聞『幻の震災語り継ぐ』)と語っており、妙喜寺は「震災を後世に伝えたい」という強い思いが感じられる史跡となっています。
妙喜寺 http://myokiji.com/company.html

2.被害状況
三河地震は震源が浅く、地震の規模がM6.8と比較的大きかったにもかかわらず、戦時中の報道管制によりあまり報道されることもなく、被害報告も僅かしか残されていませんでした。しかし地震被害を報告した当時の帝国議会秘密会の速記録集が発見され、1970年代になって愛知県防災会議が被害実態を把握するための調査にとりかかりました。
震源域の三河地域では昭和東南海地震よりも多くの死者が記録されており、死者1,180人、行方不明者1,126人、負傷者3,866人、家屋の全壊が7,221棟、半壊が16,555棟、その他2万4,311棟とされています。特に現在の西尾市を中心とした幡豆郡と、現在の安城市を中心とした碧海郡の2つの郡に被害が集中しており、死者2,652人に達したという記録もあります。亡くなられた方の死因については、他の内陸直下型の地震と同様に、家屋倒壊による圧死者が多かったと考えられています。就寝中に突然、強烈な地震動に襲われ、逃げる間もなく家が潰れたという状況でした。この地震の37日前に東南海地震があり、その揺れによる家屋の損傷が既に発生していたため、今回の揺れに耐えられなかった家屋が多かったようです。特に戦時中のため、殆どの家では家屋を修理することなくそのまま住み続けていたため、被害の拡大に繋がってしまいました。被害が甚大な地区では、どの家でも死者がでるほどの高い死亡率だったそうです。妙喜寺でも本堂が倒壊し、疎開していた国民学校の生徒と教師に死者が出ています。その他、平坂町(現・西尾市)では堤防が4m沈下して79ヘクタールの水田が海水に没したり、矢作古川周辺では液状化現象も見られました。
三河地震による被害は、20~30km四方の狭い範囲に集中していました。深溝断層が集落の中央をほぼ北から南に走った形原町金平地区では、断層の西側が東側へのし上がるように動きました。そのため全壊及び半壊の家屋は断層の上盤側に当たる西側に集中し、ほとんどすべての家屋が倒壊しました。反対に断層の下盤側となる東側は、地表に現れた断層に接した場所も含めて、倒壊した家屋は一軒もないという、活断層地震特有の被害になっています。

愛知県 歴史地震に学ぶ防災・減災サイト 
http://www.pref.aichi.jp/bousai/densho/index.html
*ブラウザの種類により、一部反映されない場合があります
  
愛知県 防災減災ガイド ダウンロード
http://www.pref.aichi.jp/bousai/densho/pdf.html

3.発光現象
三河地震では、地面が揺れる瞬間、あるいは地震の前触れとして、地面から光が出たという目撃証言が多くあります。これは宏観異常現象といわれ、大きな地震の前触れとして発生、ないしは知覚されると言われている、生物的・地質的・物理的異常現象とされるものです。
近年の岩石実験により、そのメカニズムが解明されてきました。
三河地震で発光現象を目撃した人は、
「地震の後、蛍光灯がぼやけた程度ぐらい辺りが明るくなった」「余震があるたびに明るくなり、明るくなった時ほど強く揺れ、あまり明るくならなかった時は揺れも小さかった」「余震の前後に空が明るくなって、稲光よりももっと白く光った」「地下からモワーッという感じで何とも言えない明かりが出て、夜でも懐中電灯が要らなかった」というような証言が得られています。
地震発光現象は1600年代から文献に登場しており、そのうちの85%が断層上もしくはその周辺で確認されたもののようです。三河地震のように余震のたびに光ったという記録は、数少ないかもしれません。なお1995年の阪神大震災の時にも、発光現象の目撃証言がありました。

4.今後はどうなる?
1945年の三河地震の前後ではどのような地震が起きていたのか、また三河地震はどのような地域に影響を及ぼしていたのでしょうか。
何と言っても特筆すべきなのが、1945年1月13日の三河地震(M6.8)が1944年12月7日の昭和東南海地震(M7.9)と、1946年12月21日の昭和南海地震(M8.0)の間に起きていた地震という点です。位置的にも南海トラフとの関連は決して無視できません。
そして、三河地震以降に起きていた目立った地震としては、まず愛知県西部や三河湾といった震源でM5を超える地震が1週間以内に15回以上起きていた以外では、三河地震の2週間後に新島・神津島近海でM5.3、震度2、また1ヶ月後に青森県東方沖でM7.1という大地震が発生していたことが挙げられます。
今回、2018年4月14日の愛知県西部の震源位置と同地域で過去に起きた事例では、その後に南海トラフ地震と関連の深い場所が揺れていた事例が見られ、今回の地震も切迫しているとされる南海トラフ巨大地震に繋がっていくのではないかとの懸念も持たれています。

現在、愛知県西部を震源とする地震は止まりましたが、南海トラフ地震は必ず発生します。発生するかしないかではなく、いつ発生するかというタイムラインに入っています。イザという時には落ち着いて行動出来るように、日頃から防災意識を高めておきましょう。
もうすぐゴールデンウィークです。この休みを利用して、各地域にある防災館を訪ねて防災体験学習をしてみるのはいかがでしょうか。

そなエリア東京 
http://www.tokyorinkai-koen.jp/sonaarea/

大阪市立阿倍野防災センター 
http://www.abeno-bosai-c.city.osaka.jp/bousai/bsw/d/a/bswda020.aspx

神奈川県総合防災センター
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/zn2/bousaicenter/homepage.html

名古屋大学 減災連携研究センター  
http://www.gensai.nagoya-u.ac.jp/

防災体験無料スポット るるぶ.com
各県の防災センターが検索できます
https://www.rurubu.com/season/special/tada/list.aspx?gc=7&p=2



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鬼界カルデラについて

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。神戸大学と海洋研究開発機構などのチームが、鹿児島県沖の海底火山「鬼界カルデラ」の中央部に、巨大な溶岩ドームがあるのを確認したと発表しました。鬼界カルデラは約7300年前に巨大噴火が起き、火砕流が九州南部を広く覆ったと言われていますが、ドームの溶岩はその後に噴出したもので、今も活動的な状態が続いているといわれ、英科学雑誌「サイエンティフィック・リポーツ」...

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
神戸大学と海洋研究開発機構などのチームが、鹿児島県沖の海底火山「鬼界カルデラ」の中央部に、巨大な溶岩ドームがあるのを確認したと発表しました。鬼界カルデラは約7300年前に巨大噴火が起き、火砕流が九州南部を広く覆ったと言われていますが、ドームの溶岩はその後に噴出したもので、今も活動的な状態が続いているといわれ、英科学雑誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載されました。
今回は改めてこの鬼界カルデラについて書きたいと思います。

1.カルデラとは
「カルデラ」という言葉は、スペイン語の「大釡」という言葉に由来し、火山活動で生じた大きな凹地のことを表し、日本ではその直径が2km以上の大きさのものを「カルデラ」と呼んでいます。大型カルデラは、大量のマグマが一度に噴出したことで地下のマグマ溜りに空洞が生じ、そのためにマグマ溜りの天井部分が崩壊して、直上の地表部分が大規模に陥没するために形成されます。
巨大カルデラを形成する「超巨大噴火」は、数万年から数十万年といったきわめて長い間隔をおいて噴火を繰り返します。アメリカのイエローストーン火山、ニュージーランドのタウポ火山地域、インドネシアのトバ火山など、地球には超大型のカルデラが存在します。
そして日本列島では、北海道の摩周カルデラ、屈斜路カルデラ、支笏カルデラ、洞爺カルデラ、東北の十和田カルデラ、そして九州地域の阿蘇カルデラ、姶良カルデラ、阿多カルデラ、鬼界カルデラと、日本列島の北と南にカルデラが存在しています。
巨大なカルデラが存在するということは、はるか大昔に、そこから数百万立方キロにも及ぶ大量のマグマが噴出して地下空洞が出来たことを意味しており、過去12万年の間に、琵琶湖1.5杯分ものマグマを一気に噴き出した巨大カルデラ噴火が少なくとも10回は発生したことが確認されています。

2.最後の噴火
何回かあったカルデラ噴火のうち、鬼界カルデラは最も直近の7300年前に噴火しました。このカルデラは九州最南端、大隅半島佐多岬のさらに南西50キロに位置している25×15キロの規模の海底カルデラで、最深部は水深500mにも達しています。現在この海域には薩摩硫黄島、新硫黄島、竹島がありますが、ほぼ東西に並んだこれらの火山島は鬼界カルデラの北縁にあたり、カルデラの北縁がかろうじて海面に顔を出している部分です。
7300年前の噴火によって発生した火砕流は、海を渡って50キロ先の鹿児島県南部を埋め尽くしました。火災流は高温の火山ガスと混合一体化しているため地面との摩擦が少なく、100km/時を超えるスピードで一気に遠くまで流れます。ガス成分が多い場合は比重が小さいため、海面上を火砕流が滑走することもあります。この時の噴火では、9500年も前から始まっていた独自に発達した日本最古の縄文定住集落が、火砕流により壊滅してしまいました。また海中に突入した火砕流の一部は大津波を発生させ、その痕跡は長崎県島原半島で確認出来ます。
この噴火で降り積もった火山灰は濃いオレンジ色が特徴の「アカホヤ火山灰」と呼ばれ、南九州では50cmを超える厚さの火山灰で覆われました。そして四国や紀伊半島は厚さ20cmを超える灰白色の火山灰で一面を覆われ、遠く離れた関東地方にも10cm程度の火山灰を降らせました。西日本の森林は枯れ果て、食料の大半を森林に頼っていた西日本の縄文人は飢餓に陥り、その上、有毒な火山灰による呼吸器障害に見舞われ、数週間のうちに多くが死滅しました。そして鬼界カルデラの超巨大噴火後、南九州では900年あまりもの間、豊かな照葉樹林の森は復活せず、人が住めない無人の地となっていたようです。

3.現在の鬼界カルデラ
先月、草津白根山の噴火がありましたが、このような「山体噴火」に対して「カルデラ噴火」は噴火の間隔が非常に長く、前回噴火したのが何万年も前になるため、地質を調べることにより噴火の痕跡がわかるというものです。そのため噴火の確率も1万年に1回となり、もし噴火が発生したら1億人近くが命を落とすと言われても、ピンと来ないのが現実です。火山学者も巨大カルデラの存在はわかっていましたが、あまり研究されてはいませんでした。しかし、2002年に石黒耀・著『死都日本』という小説が出版されてから、カルデラ噴火が注目されるようになり、その研究が開始されました。
2016年10月に神戸大学と海洋研究開発機構などのチームは、鬼界カルデラ内でドーム状に盛り上がっている場所を調べました。音響測深装置で水深約200~300mの海底に向けて船から音波を出し、反射波を観測。その結果、少なくとも5ヶ所で熱く濁った水が海底から湧き出る「熱水プルーム」が確認されました。海底からの高さは最大で約100mに上ります。

2017年3月の第2回調査では、カルデラ内の海底にある直径約10キロ、高さ約600mに及ぶ巨大な溶岩ドームの存在が明らかになりました。体積は320億立方メートル以上で、琵琶湖の水量275億立方メートルをも上回ります。水中ロボットによる調査で、溶岩が急速に冷えて固まった際にできる割れ目が多数あることや、ガスの湧き出しを確認し、未解明だったドームの性質が裏付けられました。
ドームを作る溶岩の量は桜島の2倍以上。岩石を採取して解析した結果、その成分は7300年前の噴出物とは違い、比較的新しいとみられています。その表面では火山ガスや熱水が湧き出ており、チーム代表の巽好幸・神戸大教授は「活動度が高いのは明らか。地下に巨大なマグマだまりが残っている可能性がある」と語っています。
          
サイエンティフィック・リポーツ
Giant rhyolite lava dome formation after 7.3 ka supereruption at Kikai caldera, SW Japan
  http://www.nature.com/articles/s41598-018-21066-w

4.もし巨大カルデラ噴火が起きたら
巨大カルデラ噴火は、途轍もないマグマが一気に噴出します。カルデラは北海道と九州に集中していますが、日本列島全体に大きな影響を及ぼすのは九州にあるカルデラが噴火した場合です。火山灰が偏西風で東へ運ばれ、日本列島全体を覆う可能性があるからです。
まず最初のプリニー式噴火によって、九州中部では場所によっては数メートルもの軽石が降り積もって壊滅的な状況に陥ります。そしてクライマックス噴火が始まると巨大な噴煙柱が崩落して火砕流が発生し、全方位へと広がって行きます。数百℃以上の高温の火砕流は全てのものを呑み込み、そして焼き尽くし、発生後2時間以内に700万人の人々が暮らす領域を覆い尽くしてしまいます。
九州が焼き尽くされた後、中国・四国一帯では大量の火山灰が降り注ぎます。そして降灰域はどんどん東へ広がり、噴火開始の翌日には近畿地方へ達します。大阪では火山灰の厚さは50cmを超え、木造家屋の半数近くは倒壊します。その後、首都圏でも20cm、青森でも10cmもの火山灰が積もり、北海道東部と沖縄を除く全国のライフラインは完全に停止します。
巨大カルデラ噴火の発生による直接的な被害者は、火砕流と降灰合わせて1000万人程度と考えられます。しかし水道は給水不能、発電も不可能、国内ほぼ全ての交通網はストップし、生活不能に陥った人達に対する救援・復旧活動も絶望的になります。救援活動が殆ど不可能な状態では、1億人以上が命を落とすこともあり得ます。

YAHOOニュース 巨大カルデラ噴火 神戸大学教授・巽 好幸
  https://news.yahoo.co.jp/byline/tatsumiyoshiyuki/20170511-00070808/


カルデラ噴火の前兆として、溶岩の流出を伴う噴火が起きた例も確認されていますが、その詳細は判明していません。前兆現象を長年研究してきた鹿児島大学名誉教授の小林哲夫氏(火山地質学)は、「前兆現象は、数百年前に起きることもあれば、1年前に起きることもある。何が引き金になって、どんなタイミングで噴火が起こるのか不明な点が多い。さらなる研究が必要だ」と話しています。
人間の感覚からすれば、数百年という年月でもとんでもなく長いものですが、地球の歴史から見ればほんの一瞬です。いつ起きてもおかしくないと言われ始めたカルデラ噴火に、私達が遭遇することがないことを祈ります。






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