台風10号について

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。しばらくお休みしていた自然災害ブログですが、今月より再開いたします。改めて、よろしくお願い致します。2020年は台風が5月と6月に1個ずつ発生したのち、7月の発生は0個。そして8月になってから7個が連続的に発生しました。特に台風8号、9号は沖縄・九州地域から朝鮮半島へ上陸するという同じようなコースを辿りました。そして9月に入り発生した台風10号は、8号、9号と似たよ...
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。しばらくお休みしていた自然災害ブログですが、今月より再開いたします。改めて、よろしくお願い致します。
2020年は台風が5月と6月に1個ずつ発生したのち、7月の発生は0個。そして8月になってから7個が連続的に発生しました。特に台風8号、9号は沖縄・九州地域から朝鮮半島へ上陸するという同じようなコースを辿りました。そして9月に入り発生した台風10号は、8号、9号と似たようなコースを辿ると共に、今まで日本に上陸した大型台風と並ぶかそれ以上の超大型台風になると予想されました。今回はこの台風10号について取り上げたいと思います。

1.台風10号の経過
台風10号は9月1日に小笠原近海で発生し、6日から7日にかけて沖縄県の大東島地方から奄美地方へ進み、九州地方に接近しました。当初は九州に上陸あるいは付近を通過する際に、920hPaよりも発達することが予想され、鹿児島県に対して台風の特別警報が初めて発令される可能性もありました。
■気象庁 過去の台風資料 中心気圧が低い台風
https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/typhoon/statistics/ranking/air_pressure.html

台風の接近と共に、広く暴風が吹き荒れました。最大瞬間風速は沖縄県南大東島で5日に51.6m、6日に鹿児島県十島村中之島で46.5mを観測。7日には長崎県長崎市野母崎で59.4m、対馬市鰐浦で48.9mと観測史上1位の値を更新しました。
九州では台風接近前から暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で活発な雨雲がかかり、台風本体の雨雲と相まって、4日から7日にかけての雨量は宮崎県美郷町南郷では599.0mmと、9月の平年の1ヶ月分以上の雨が降りました。えびの市で597.0mm、諸塚村で454.5mmなど、宮崎県を中心に大雨となりました。この大雨の影響で、宮崎県椎葉村では土砂崩れが発生して、今もなお4名の方が行方不明になっています。長崎県五島市では1時間に88.0mmの猛烈な雨が降りました。
また台風から比較的離れた地域にも暖かく湿った空気が流れ込み、所々で活発な雨雲がかかりました。和歌山県葛城山では1時間に90.5mmの猛烈な雨が降り、観測史上1位の値を更新しました。
九州接近時の暴風域(風速25m以上)は直径500kmと大きく、気圧配置の影響で東側に偏る形となり、風の強い領域が九州全体を覆いながら通過したため、最大で65万戸が停電しました。台風上陸時の暴風域は、関西空港が浸水した2018年9月の台風21号では直径約290km、千葉県で大規模停電が発生した昨年9月の台風15号では約180km、そして東日本を中心に100人以上の犠牲者を出した昨年10月の台風19号では約590kmで、今回の台風はこれに匹敵する大きさでした。
台風10号は7日午後には中国大陸に向かって北上し、8日午前には温帯低気圧に変わりました。九州・山口・沖縄の9県で最大約180万人に避難指示が発令され、一時は約20万人が避難所に身を寄せました。

2.被害が小さかった理由
(1) 勢力が弱まった
当初は日本接近時に920hPaより発達し、特別警報級の勢力で接近・上陸すると言われていました。予想される最大瞬間風速は、沖縄と奄美で住宅が倒壊しかねない70m、九州南部で65mなどと予想されました。場合によっては風速80mもあり得るとされていましたが、幸いにもそこまで発達しませんでした。その原因は、その前に通過した台風9号がほぼ同じコースだったので、海水がかき混ぜられて海面水温が下がったため、当初の予想より発達しなかったことが要因の一つとして考えられます。
しかし、現在の日本列島周辺は海水温度が高く、台風が日本に近付いても勢力が衰えることはなく、反対に発達することもあり得ます。今回は幸いにも勢力が弱まりましたが、今後、更に強い台風の襲来も考えられます。また太平洋高気圧の張り出しが弱くなってくるため、本州直撃のコースで台風が襲来する可能性もあります。

(2) 危機意識の高さ
日本接近の5日前から気象庁と国土交通省が合同で記者会見を行い、台風に対する備えと避難準備、自分や家族、大切な人の命を守るための行動について連日呼びかけました。それに伴い各テレビ番組でも台風についての話題が取り上げられ、昨年の台風15号、19号、一昨年の台風21号の映像が放送され、台風の風雨の激しさを繰り返し見る機会になりました。また風速80mでの実験映像も流され、その風速の激しさに身の危険を感じた方も多かったと思います。
■Qポスト 台風実験映像
https://9post.tv/292933?=extlink

特に7月の熊本県では球磨川の氾濫(令和2年7月豪雨)で甚大な被害が発生し、今回の台風でも大河川が氾濫する危険性が考えられたため、事前に避難行動をとられた方が多くいらっしゃいました。鹿児島県の離島では、4日の時点で自衛隊のヘリコプターで鹿児島市内に避難したり、避難所や自分でホテルを予約して避難所代わりにしたりと、これまでにない避難になりました。また鉄道も計画運休、商店やコンビニ各社も計画店休を実施したので、避難行動の決断により繋がったのだと思われます。
今回も多くの屋根が飛ばされたり、電信柱の倒壊、外壁の損壊等の被害が発生しましたが、避難所から戻った方々からは、後片付けをしながら、「もし自宅にいたらケガをしていただろうから、避難していてよかった」という言葉が多く聞かれました。ケガをしない、命を守るということが第一になるので、今後も事前避難行動が進むことが望まれます。

■気象庁 防災気象情報などの入手方法
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/ame_chuui/ame_chuui_p9.html

■気象庁 防災気象情報とその効果的な利用
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/ame_chuui/ame_chuui_p9.html

3.避難所の今後の課題
過去最強クラスと予想された台風10号に備えて、九州では一時、約20万人が避難所に身を寄せました。新型コロナウイルス感染症対策のため、定員を減らした避難所で満員となるケースが相次ぎ、避難先を変更したり、定員を超えて受け入れる事態も発生しました。
国は4月以降、新型コロナ対策で「3密」を避ければ収容人員が大幅に減るため、避難所の増設やホテル、旅館の活用などを自治体に求めました。福岡県久留米市は今回、収容人員を減らすなどした分、避難所数を50ヶ所から63ヶ所に増やし、検温などを担当する職員も2倍以上にしました。避難所には6日以降、昨年9月の台風17号の20倍近くにあたる約5000人が訪れ、1ヶ所を増設したり、近隣の避難所に誘導したりしましたが、14ヶ所で満員になりました。鹿児島市や奄美市でも、満員となる避難所が続出しました。最大5000人が避難した鹿児島市では、13ヶ所の避難所が満員になりましたが、強風の中での移動は危険と判断して定員を超えて受け入れました。
今回は台風による避難なので、事前に移動することが可能でしたが、大地震による避難の場合は、果たしてどうなるでしょうか。津波や火災からやっとの思いで避難所に到着し、ホッと出来るかと思ったら、満員なので拒否されてしまう・・・こんな状況も出てくるかもしれません。大都市では人の数も膨大になるため、コロナ以前から避難所が足りないことが問題になっていました。将来、必ず発生する首都直下型地震や南海トラフ地震の際に、スムーズな避難行動がとれることを願ってやみません。

■大分朝日放送 台風10号避難所運営に課題も
https://news.yahoo.co.jp/articles/947f20e3cf2fc9a6d4126d37c23f45949c25b336

■南日本新聞 台風10号島外避難の教訓生かせ
https://news.yahoo.co.jp/articles/f7d95da06e750c0fbb4c3c7290c8dc14db37b38c

■日本経済新聞社 台風10号、避難所で定員超え相次ぐ 3密対策に悩み
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63507900W0A900C2PE8000/


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新型コロナウイルス肺炎について その2

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。昨年12月に発生した新型コロナウイルス肺炎が、日本をはじめとして全世界に拡大しています。今回もこの肺炎について取り上げたいと思います。1.現在の状況日本時間3月1日午後10時現在、WHOが発表した世界各国・地域での感染状況は、中国本土での感染者数が7万9,824人(死亡2,870人)、韓国3,736人(20)、イタリア1,128人(29)、イラン978人(54)、クルーズ船705人(6)、シンガポー...
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
昨年12月に発生した新型コロナウイルス肺炎が、日本をはじめとして全世界に拡大しています。今回もこの肺炎について取り上げたいと思います。

1.現在の状況
日本時間3月1日午後10時現在、WHOが発表した世界各国・地域での感染状況は、中国本土での感染者数が7万9,824人(死亡2,870人)、韓国3,736人(20)、イタリア1,128人(29)、イラン978人(54)、クルーズ船705人(6)、シンガポール106人、フランス100人(2)、香港96人(2)、アメリカ62人(1)、ドイツ57人、スペイン46人、クウェート45人、タイ42人(1)、台湾40人(1)、バーレーン38人、マレーシア25人、オーストラリア24人(1)、イギリス23人(1)、アラブ首長国連邦19人、ベトナム16人、カナダ14人、イラク・スウェーデンが各13人、スイス・マカオが各10人、レバノン7人、クロアチア・オランダ・ノルウェー・オマーンが各6人、オーストリア・イスラエル・ロシアが各5人、ギリシャ・メキシコ・パキスタンが各4人、フィリピンが3人(1)、フィンランド・インド・ルーマニアが各3人、デンマーク・ジョージアが各2人、エクアドル・アフガニスタン・アルジェリア・アゼルバイジャン・ベラルーシ・ベルギー・ブラジル・カンボジア・エジプト・エストニア・アイスランド・アイルランド・リトアニア・モナコ・ネパール・ニュージーランド・北マケドニア・ナイジェリア・カタール・スリランカが各1人と、感染者が合計8万7,506人、死者2,994人と南極以外の全大陸で感染者が出ています。特に韓国、イタリア、イランで患者数が激増しています。それ以外のヨーロッパ各国でも次第に患者が増加してきており、全世界(中国以外)では一日に700人を超える患者数の増加が起きています。

■コロナウイルス集計値
https://multimedia.scmp.com/widgets/china/wuhanvirus/#

これを受けて当初はパンデミックの可能性を否定していたWHOも、遂に新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的流行(パンデミック)を認定しました。それ以前は感染状況を「高い」としていましたが、「非常に高い」という引き上げを行った理由として、欧米各国での感染拡大があり、事実上の非常事態として世界各国に対策の強化を促しています。
日本では3月1日現在、感染者が242人(チャーター帰国便、クルーズ船は含まず)、死者が5人となっており、特に北海道では70名を超える感染者が出ています。そして東京都26人、愛知県28人、神奈川県18人、和歌山県11人と続き、全国18都道府県で患者が出ています。ただし、これはPCR検査で陽性が確認された人数です。医師から検査要請が保健所に出されても拒否されるという事例が数多くあり、実際にはもっと多くの患者が存在している可能性がかなり高いです。
日本で最初に感染が確認されたのが、中国人団体ツアー客のバス運転手さんでした。そしてツアーガイドも感染と、感染元がはっきりしていました。また神奈川県のタクシー運転手さんは屋形船での新年会で感染。この屋形船も中国からの団体客が利用しており、船や従業員から新年会に出席した方々が感染。その方達から同僚が感染と、感染元を辿ることが出来ました。しかし、和歌山県の医師、その同僚や家族、入院患者などの感染経路は確認できましたが、最初の患者である医師がどこで感染したのかがわかりません。また愛知県でも1人から28人が次々と感染しましたが、その感染経路は確認されても、最初の感染者がどこで感染したかがわかっていません。そして29日には29人目の方が確認されましたが、この方と既に感染が確認された28人との接触は確認されておらず、感染ルートが不明になっています。
このように現在は感染爆発の直前ともいわれています。この2週間が感染の収束に向かうか爆発するかの分かれ目ということで、いきなり3月2日から全国の公立小・中・高校の休校要請が出されました。これを受けて、学校現場を始めとして各地では大混乱が起きています。来月予定されている裁判員裁判も、延期が決定しました。またディズニーランドやUSJなどの大型施設、スカイツリー、博物館や劇場などの各施設も3月中旬まで休業を打ち出しました。今後、更に様々な施設が営業時間の短縮や臨時休業を打ち出してくると思われます。

2.特徴について
この新型コロナウイルス肺炎は、当初の症状が風邪と変わらないため、症状がある程度進まないと確定診断が出来ません。ただ風邪と異なり鼻水が出ない場合もあるようです。クルーズ船の乗客の中には、全く症状がなくて検査したら陽性だったという人も多いようでした。
そして感染が広がる原因の一つが、無症状でも感染させる力があることです。体調不良を感じれば自分で気を付けることも出来ますが、何も症状がなければ通常の活動をしてしまいます。そして知らないうちにウイルスをまき散らす結果になってしまいます。
もう一つ怖いのが、肺炎がいきなり悪化することです。普通の風邪でも高齢者は肺炎になる場合がありますが、最初は片方の肺だけが炎症を起こします。もう片方は健全なので、この時点では呼吸は出来ますが、そのまま悪化していくと炎症が両肺になり、自発呼吸が困難になってしまいます。今回の新型肺炎は、いきなり両肺に炎症が発生するようで、当初、容体が安定していた方が急変してしまいます。この急変は発症してから2週目ぐらいに起きるようで、ここが回復に向かうか悪化するかの分かれ目のようです。
WHOによると、重症化率は全体の13.8%程度で、呼吸器不全や多臓器不全のような命に関わる重篤な症状の患者は、全体の6.1%だったとのことです。年代が高いほど重症化率は高くなり、80歳以上の感染者の致死率は21.9%となっていました。また、合併症状があると重症化率はもっと高くなる傾向が見られ、循環器の病気がある人は全体の13.2%、糖尿病が9.2%、高血圧が8.4%、慢性の呼吸器の病気が8.0%、がんが7.6%となっています。
反対に40代以下の若い人だと致死率は1%にもいきませんが、20代の方が容体急変を起こす事例も出ています。これはサイトカインストーム(免疫暴走)と呼ばれるもので、若い方は免疫力が強いため、自分の免疫が正常な細胞まで攻撃してしまい、多臓器不全を誘発することにより重篤化するものです。
一方、病状が回復して検査結果も陰性になり退院された方が、再度、陽性になるケースも14~17%の確率で出ています。肺の中で新型コロナウイルスが休眠状態になり、症状が最小限に抑えられて検査結果が陰性になりますが、再発後は症状がより重くなり、命の危険性が高まるようです。ほかにも新型コロナウイルスが治療後に薬物耐性を獲得しているという話もあり、楽観することは出来ないと思われます。

3.感染から自分を守るためには
ウイルスに感染しないためには、基本はうがい、マスク、手洗いになります。そしてバランスの良い食事、睡眠をとり、自己免疫力を高めておくことが大切です。
今回の新型ウイルスは、飛沫感染と接触感染によって感染します。WHOは新型コロナウイルスの予防にマスクはあまり効果がないとしていますが、マスクをすることにより、他者の咳やくしゃみによって生じる飛沫の吸い込みを防ぎます。飛沫感染は限定的とも言われますが、密閉された空間に感染した人と長時間いると感染リスクが高まります。そして最も感染のリスクが高いのは、ドアノブや手すり、トイレなどに付着していたウイルスに触れて、その手を目・鼻・口の粘膜に付着させることで感染してしまうことです。とにかく自分の顔に触らないようにしましょう。

■厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A (一般向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html

■東北医科薬科大学病院感染制御部 感染予防ハンドブック (PDF)
http://www.hosp.tohoku-mpu.ac.jp/manager/wp-content/uploads/2020/02/新型コロナウイルス感染症_市民向けハンドブック_20200225.pdf

■農林水産省 緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイド (PDF)
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/pdf/gaido_160511_1.pdf

■農林水産省 新型インフルエンザに備えた家庭用食料品備蓄ガイド (PDF)
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/pdf/gaido.pdf



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新型コロナウイルス肺炎について

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。2020年は年が新しくなった途端に、1月3日には米軍によるイランのソレイマニ司令官の暗殺、8日にはそれに対するアメリカへの報復攻撃という、戦争へのきな臭い流れで始まりました。幸いにもイラン・アメリカ両国とも全面戦争は望んではおらず、米軍の実質的な被害もなかったため、報復の連鎖で戦争が拡大するという最悪な状況は当面は回避されたように見えます。しかし、イラン...
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
2020年は年が新しくなった途端に、1月3日には米軍によるイランのソレイマニ司令官の暗殺、8日にはそれに対するアメリカへの報復攻撃という、戦争へのきな臭い流れで始まりました。幸いにもイラン・アメリカ両国とも全面戦争は望んではおらず、米軍の実質的な被害もなかったため、報復の連鎖で戦争が拡大するという最悪な状況は当面は回避されたように見えます。しかし、イランの民間航空機が誤って撃墜され、180名近い人命が失われるという悲劇が起きてしまいました。
そして現在は中国・武漢から発生した新型肺炎が、世界中に影響を及ぼし始めています。今回はこの肺炎について取り上げたいと思います。

1. 現在までの流れ
1月30日現在、肺炎の死者は中国本土で170人を超えました。感染者は7700人以上、このうち重症者は1200人を超えています。感染の疑いがある人は9200人近く、感染者との濃厚接触が確認されて医学的な監察下にある人は6万人近くにのぼっています。新型肺炎は中国全土31省・自治区・管轄区に感染が拡大しています。中国本土では2002~2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)では5327人の感染者が出ましたが、今回の新型肺炎はこれを上回っています。
中国国外での感染者は、日本を含む世界の19の国と地域に拡大しています。国外の感染者は、これまでは中国からの観光客が滞在先の国で発症したり、中国へ出張した人が帰国後に発症した事例のみでした。しかし、1月28日には、中国の団体客を乗せていたバスの運転手やツアーガイドが発症するという、二次感染(ヒトヒト感染)が原因と考えられる事例が起きてしまいました。
この新型肺炎の患者が武漢市で初めて確認されたのは、昨年12月8日のようでした。その後も原因不明の肺炎の症例が増えているという中国メディアの報道が確認できます。これが新型コロナウイルスの肺炎かどうかは確認できませんが、少なくとも12月8日には「原因不明の肺炎」症例が確認されていました。
その後、ネット上では12月30日に「原因不明の肺炎に関する緊急通知」という武漢市衛生当局が出したとされる文書が出回ったとあり、更に各医療機関に宛てた「武漢市の海鮮市場で原因不明の肺炎患者が相次いでいるので、同様の患者数を報告してほしい」旨の緊急通知があったようです。この2日後の1月1日にウイルス発生源と指摘された海鮮市場の休業が発表されました。しかし最初の確認から閉鎖まで3週間近くかかってしまい、中国国内でも情報公開と対応の遅れが指摘されています。3月に開催される全人代の前に地方政府ごとの大会があり、その無事開催のために情報を隠匿していたようで、中央政府に対しては「原因不明の肺炎患者が発生したが、感染拡大は完全にコントロール出来ている」という嘘の報告がなされていたようです。
武漢市で発生している新型肺炎の原因が新型コロナウイルスによるものと中国メディアが報道したのが1月9日で、最初に確認された症例から1ヶ月が経過しています。ちょうど旧正月の国民大移動が始まった頃にあたります。習近平国家主席が初めて指示を出したのが1月20日。そして中国の専門家チームが「ヒトヒト感染」が起こっていることを明らかにしました。これを境に中国メディアが肺炎のニュースを大きく取り上げるようになり、市民の警戒レベルが一気に高まりました。23日には武漢の空港や駅が閉鎖され、27日には海外への団体旅行が禁止されました。
武漢をはじめとする13都市では移動制限が発令され、人の行き来が出来なくなっています。当初は通行可能だった大型幹線道路も、許可のある車しか通行できなくなっているようです。武漢市に隣接するエリアでは、道路に障害物を置き、武漢市民が自分達の地域に入らないようにという騒ぎも始まっています。しかし既に各地へ移動した人もかなりの数に上り、今後、新型肺炎を発症する人が爆発的に増加する可能性が高くなっています。
■厚生労働省 感染症情報
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

2. どこから発生したか
今回の感染源は、最初に患者が発生した武漢市にある海鮮市場が発生源と言われています。しかしウイルス研究の専門家は、シーフード市場で最も感染性の高い疾患は、口から入るA型肝炎及び腸炎ビブリオの感染症で、一般的に肺炎ウイルスが水産物市場から出てくることを想像するのは難しいと述べています。
この海鮮市場では魚介類のほかにも実際には鳥獣や犬の肉の店があり、通りには動物の内臓などが散らばっており、衛生状態はかなり悪いようです。コロナウイルスは「人畜共通ウイルス」とされており、ヒトに感染する前に宿主となっていた動物とヒトとの接触から始まったとも思われています。
最近までの遺伝暗号の解析によると、この新型ウイルスは中国にいる2種類のコウモリが持つコロナウイルスと関連していることが判明しています。そのため当初はコウモリがウイルスの起源だと考えられましたが、更にウイルスのタンパク質コードの分析を進めたところ、今回の新型ウイルスに最も近いのは「ヘビ」だったそうです。武漢の市場では食用としてのヘビも販売されていたので、ここからヒトへ感染していった可能性も考えられています。
また武漢市には、SARSとエボラ出血熱を研究する武漢国立生物安全研究所が存在しています。2015年に建設されたこの研究所は、バイオセーフティレベル4の基準を満たすように設計された国内初の研究所で、最も危険な病原体を扱う研究所です。2017年には米国のバイオセーフティ専門家が、この施設からウイルスが漏洩する可能性を警告していました。米ワシントンタイム紙や英デイリーメール紙は、この研究所から何らかの細菌か生物兵器が漏れたと報道しています。約32km離れた場所に海鮮市場があり、この研究所から漏れたウイルスが突然変異を起こし、市場での動物と人間の接触を通じて感染したと考える科学者もいます。

3. ウイルスから身を守るには
今回の新型コロナウイルスは、発症していない人からも感染するケースが出ています。潜伏期間は1~14日と幅があり、症状がなければ職場などいろいろと行動範囲も広くなり、知らないうちにウイルスをばら撒いているかもしれません。
ウイルスに感染しないためには、基本的には季節性インフルエンザの予防と同様の方法しかありません。身の回りを清潔に保ち、十分な睡眠とバランスの取れた食事や基礎的な体力をつける、規則正しい生活を送ることが基本になります。そして外出時のマスク着用、なるべく人の集まる場所へは行かない、帰宅時のうがい、手洗いという基本的なものになります。特にいろいろな箇所を触った手でそのまま顔を触ったりすると、眼の粘膜から感染する危険性もあります。

・正しいマスクの着用方法
  www.medicom-japan.com/special/mask.html
・正しい手の洗い方
  http://www.medicom-japan.com/special/hand-washing.html
・正しい手指消毒の方法
  http://www.medicom-japan.com/special/hand-hygiene.html
・マスクの正しいつけ方とうがいの仕方
  https://www.s-re.jp/magazine/health/30/

この新型肺炎がどこまで拡大するかはまだわかりません。亡くなられた方は高齢者や、糖尿病や高血圧、肝硬変などの基礎疾患を抱えていた方など、免疫力が低く、もともと健康状態が悪くなっていた方が重症化しやすいようです。
まずは自分の体調を整えて、風邪や季節性インフルエンザにも罹患しないように、しっかりと防御をして、日々の生活を送っていきたいと思います。


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台風19号について その1

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。甚大な被害を残した台風19号から、1ヶ月が経過しました。復旧にはまだ程遠い地域が数多くあり、避難所での生活も続いています。今回はこの台風について取り上げたいと思います。1.台風の経過① かつてない勢力の強さ中心気圧が955hPa、強風域の半径が600kmにも及ぶ大型の台風19号が、静岡県の伊豆半島に10月12日午後7時前に上陸しました。気象庁は上陸3日前の9日に異例の早さ...

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
甚大な被害を残した台風19号から、1ヶ月が経過しました。復旧にはまだ程遠い地域が数多くあり、避難所での生活も
続いています。今回はこの台風について取り上げたいと思います。

1.台風の経過
① かつてない勢力の強さ
中心気圧が955hPa、強風域の半径が600kmにも及ぶ大型の台風19号が、静岡県の伊豆半島に10月12日午後7時前に上陸しました。気象庁は上陸3日前の9日に異例の早さで記者会見を開いて警戒を呼びかけ、12日以降は静岡、山梨、長野、
神奈川、東京、埼玉、群馬、栃木、茨城、福島、宮城、岩手、新潟の13都県に数十年に一度レベルの大雨に対して発令される「大雨特別警報」を発表しました。
台風19号は、24時間で勢力が強まる「急速強化」が起き、一時は1分間の平均風速が67m以上のスーパー台風並みに成長しました。海面水温が高い海域を移動し、強い勢力と東日本を覆う大きさを維持して上陸しました。
海上の水蒸気をエネルギー源とする台風は、海面水温が27℃より高いと発達しやすくなります。19号が発生した10月6日の
南鳥島近海の太平洋は、海面水温が平年より1度高い30℃で、19号は7日までに中心気圧が77hPaも急降下して915hPaになるなど、極めて強い勢力に発達しました。日本に近付く台風は、近付くと共にその勢力が弱くなってきます。しかし今回は日本近海の海面温度も27~28℃と高かったためその勢力はあまり落ちることがなく、中心気圧935hPaで四国沖に到達しました。
気象庁によると10月10~13日の最大瞬間風速は、東京都江戸川区で秒速43.8m、東京都大田区で秒速43.7mなど、奈良県から岩手県までの14地点で観測史上1位を記録していました。
四国から東北にかけての太平洋側では潮位も上昇し、静岡県の石廊崎と御前崎、清水港、神奈川県小田原市、伊豆諸島の三宅島の5地点で、観測史上1位を記録しました。

② 途轍もない降水量
9月の台風15号は「風」による甚大な被害が発生しましたが、今回の台風19号は記録的な大雨をもたらしました。13都県に発令された大雨特別警報は、昨年の西日本豪雨の際に発表された11府県を上回り、最も多くなりました。
気象庁によると、13日午後3時までの48時間雨量は、神奈川県箱根町で1001ミリ、静岡県伊豆市で760ミリに達しました。
いずれも年間総雨量の3~4割で、箱根の1001ミリは新記録になりました。
24時間雨量も、宮城県丸森町で588ミリ、福島県川内村で441ミリ、岩手県普代村で437ミリ、福島県白河市で371ミリ、
宮城県白石市で357.5ミリを始めとして、18都県102地点で「観測史上1位」を更新しました。また関東や東北の山間部を中心とした94地点で、1ヶ月の降雨量の2倍以上に相当する雨量を記録しました。
■気象庁 特別警報について
  http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/tokubetsu-keiho/index.html


③ 同時多発的な氾濫
記録的な大雨の結果、東日本を中心に河川の氾濫が同時多発的に発生し、流域は大規模な浸水被害に見舞われました。
台風の雲が本州の半分を覆うほどの大きさで、特に北側の部分が発達していたため、日本に上陸する前から広範囲で大雨となり、河川の下流だけではなく上流でも増水したことで、雨のピークを過ぎた後も各地で河川の氾濫が相次ぎました。
中でも堤防が決壊した千曲川では、上流部にある長野県上田市や佐久市などで平年の10月1ヶ月間に降る雨の2倍以上の降水量を観測しました。
国土地理院が航空写真やインターネットで投稿された写真と標高データを組み合わせ、吉田川(宮城)、阿武隈川(福島・宮城)、那珂川(栃木・茨城)、越辺川(埼玉)、千曲川(長野)などの浸水範囲や深さの状況を計算しました。
調べた地点で最も浸水が深かったとみられるのが、水戸市の那珂川やその支流周辺の低地で、ビル3階の床上浸水に相当する約7.2mにもなりました。近くの常磐道・水戸北スマートインターチェンジも水没しました。千曲川の堤防決壊現場付近(長野市)では南北約5キロにわたり浸水。北陸新幹線の車両が水に浸かった「長野新幹線車両センター」の北側が最も深く、約4.3mとみられます。このほか阿武隈川では、福島県桑折町の一部で深さ約5.2mに達したと推計されています。
■国土地理院 浸水推定段彩図(速報)
  https://www.gsi.go.jp/BOUSAI/R1.taihuu19gou.html#11

2.台風による被害
① 死者・行方不明者
11月11日の時点で、13都県で死者91名、行方不明5名の人的被害が出てしまいました。特に宮城県では死者19名と最も多くの犠牲者が出ました。特に今回は、車での避難や移動の途中に死亡した「車中死」が9県で22名に上りました。浸水で車が水没したり、道路の崩落で川に流されたりしたケースもありました。相模原市では親子7人、福島県郡山市では親子3人の車が巻き込まれました。これにより、津波の場合も同様ですが、災害時に車で避難することの危険性が浮き彫りになりました。

② 堤防決壊
国土交通省によると、堤防の決壊は71河川、140ヶ所で発生しました。川の水が溢れる氾濫も、多くの河川で起きました。千曲川や阿武隈川など大きな川やその支流で被害が相次ぎ、浸水した面積は少なくとも17都県の3万4800ヘクタールという広範囲に上りました。これは昨年7月の西日本豪雨の2倍近くに当たります。

③ 土砂災害
20都県で発生した土砂災害は884県に上り、一つの台風被害としては過去最多を更新しました。国土交通省のまとめによると、崖崩れが442件、土石流等が398件、地滑りが44件に上りました。土砂災害による死者は計14人になり、宮城県で5人、群馬県で4人と多くなりました。

④ 鉄道被害
鉄道にも大きな影響が出ました。国土交通省によると、10月13日午前3時半の時点で、83事業者254路線が運転見合わせになっています。北陸新幹線は長野市の車両センターが浸水し、全体の3分の1にあたる10両編成120両が水に浸かりました。
現在は全線復旧しましたが、運転本数は通常ダイヤより約1割少なくなっています。浸水した120両は、車両下部の電気配線の内部に浸水したため修理は難しく、全て廃車にすることが決定し、JR東日本では約118億円もの損失になるようです。また神奈川県の箱根登山鉄道は箱根湯本-強羅間の8.9kmでは、複数箇所で土砂崩れが発生。線路流出や電柱倒壊が相次ぎ、年内の運転再開が困難な状況になっています。長野県の上田電鉄や栃木県の東武佐野線、茨城県の水郡線でも、線路の流出や鉄橋の崩落で一部区間の再開の目途が立っていません。岩手県の三陸鉄道リアス線は線路などに土砂が流入したため、全長163kmのうち、今年3月に東日本大震災以来8年ぶりに運転再開した釜石-宮古間を含む7割が不通になり、復旧の見通しは立っていません。

⑤ 住宅被害
11月11日午後5時現在の読売新聞のまとめによると、全・半壊551棟、一部損壊2431棟、床上浸水2万6439棟、床下浸水3万1372棟と5万7千棟以上が浸水被害に遭いました。避難所には今も約2,400人が身を寄せています。浸水に見舞われた地域は、水が引いた後も不衛生な環境のため、感染症などの健康被害が懸念されています。

⑥ 医療施設等被害
厚生労働省によると、医療施設では222施設が被災。このうち断水が142施設で、ほかにも浸水や停電の被害が出ました。高齢者や障害者の関係施設などでも、浸水などの被害が多数確認されました。病院や特別養護老人ホームでは、患者や入所者らが一時孤立しましたが、幸いにも早い判断で上層階に避難していたので、人的被害はありませんでした。
医療施設以外では、公立図書館だけでも雨漏り57館や浸水13館など、計109館で被害が確認されました。このほか、東京都市大学世田谷キャンパスの図書館では、近くの川から溢れたとみられる水が押し寄せて地下1階が水没。収蔵図書を中心に約8万3000冊が被害を受けました。

⑦ 農林水産被害
台風19号と翌週の台風21号による農林水産被害は、11月11日現在で2,511億円に上りました。過去10年間の風水害では、西日本豪雨の3,409億円に次ぐ金額です。被害は38都道府県と広範囲に及び、5,585ヶ所の農地が流出・浸水したほか、用水路や農道など7,308ヶ所の農業用施設が壊れました。農業用ハウスの損害も15億円に上ります。農家の収穫期が直撃され、果物やコメ、野菜など85億円の農作物が台無しになったほか、リンゴやモモなどの樹木も倒れ、4億円の被害が確認されました。
漁港では施設が壊れ、流木が湾内を埋め尽くして漁業を再開できない地域も多くなっています。水産関係の被害は95億円に及び、林道が崩れるなど林野関係の被害は267億円となっています。

■内閣府 防災情報のページ 台風19号に係る被害状況等について
  http://www.bousai.go.jp/updates/r1typhoon19/index.html

次回は、今回の台風で明らかになって来た問題点を取り上げたいと思います。



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新潟・山形大地震

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。山形県沖を震源とするマグニチュード6.7の地震が発生して、25日で一週間が経過しました。この地震では新潟県村上市で震度6強が観測されました。今回はこの地震について取り上げたいと思います。1.発生状況6月18日22時22分に、山形県沖、深さ10kmを震源とするM6.7(速報値はM6.8)の地震が発生しました。新潟県村上市で震度6強、山形県鶴岡市温梅川で震度6弱、山形県鶴岡市温梅...

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
山形県沖を震源とするマグニチュード6.7の地震が発生して、25日で一週間が経過しました。この地震では新潟県村上市で震度6強が観測されました。今回はこの地震について取り上げたいと思います。

1.発生状況
6月18日22時22分に、山形県沖、深さ10kmを震源とするM6.7(速報値はM6.8)の地震が発生しました。
新潟県村上市で震度6強、山形県鶴岡市温梅川で震度6弱、山形県鶴岡市温梅と道田町で震度5強、新潟県阿賀町、長岡市、柏崎市、山形県酒田市、三川町、大蔵村、秋田県由利本荘市で震度5弱、その他、東日本全域で揺れが観測されました。
余震活動は25日16時までに23回と比較的少なく、地震の規模も震度4が1回のみと、小規模な活動になっています。震源地の内訳としては、微妙な位置の違いで、山形県沖が6回、新潟県下越沖が17回となっています。
地震発生2分後の22時24分には、山形県、新潟県上中下越、佐渡、石川県能登に気象庁から津波注意報が発令されました。新潟で最大波0.1mの津波が観測されましたが、その他の地域では第1波識別不能で、翌19日01時02分に津波注意報を全て解除されました。
幸いにもこの地震による死傷者はなく、負傷者が宮城・秋田・山形・新潟・石川の5県で計36人が負傷し、うち9人が重傷でした。建物被害は最大震度6強を記録した新潟県村上市で、半壊が10棟、一部損壊は362棟にのぼりました。

2.地震の特徴
今回の地震は、北海道沖から新潟県まで続く「日本海東縁ひずみ集中帯」と呼ばれるエリア内で発生しました。
ひずみ集中帯は、東日本をのせた北米プレートと、大陸側のユーラシアプレートの境界に沿っています。北米プレートは東側から押されており、日本海東縁部には東西に圧縮する力が働いて、地震を起こすエネルギーとなる「ひずみ」がたまっています。
このひずみ集中帯では、古くは1833年庄内沖の地震(M7.5)、1964年新潟地震(M7.5)、1983年日本海中部地震 (M7.7)、1993年北海道南西沖地震(M7.8)、2004年新潟県中越地震(M6.8)、2007年新潟県中越沖地震(M6.8)と大地震が相次いでいます。政府の地震調査委員会は、今回の地震は1964年の新潟地震の震源に隣接した場所で起きているという見解をまとめました。
1964年の新潟地震では新潟市内で液状化現象が起き、県営アパートが大きく傾き、そのうち1棟はほぼ横倒しになりました。

◆防災科学技術研究所 1964年新潟地震オープンデータ特設サイト
 http://ecom-plat.jp/19640616-niigata-eq/index.php?gid=10020
またこの地域を震源とする地震は、直後に津波が発生することも特徴的です。日本海中部地震では死者104名、北海道南西沖地震では死者・行方不明者230名を出しました。

青森県防災ホームページ 日本海中部地震
http://www.bousai.pref.aomori.jp/DisasterFireDivision/archivedata/earthquakeoverview/japanseachubu/index.html 

北海道南西沖地震 現地調査写真リポート (山村武彦)
 http://www.bo-sai.co.jp/sub8.html

今回の地震でも、地震発生2分後には津波注意報が発令されました。幸いにも観測された津波は10cmでしたが、過去の地震の記憶がある住民達は、地震直後にすみやかに高台への避難行動をとりました。日頃から家族で話し合ったり、避難通路の確認も行われていました。緊急停止した電車では、津波を心配した乗務員が自らの判断で乗客を高台へ誘導しました。JR東日本新潟支社では乗客の避難誘導訓練を毎年行っており、普段からの実践的な訓練の結果が出たと言えるでしょう。

3.避難に際しての課題
新潟・山形地震では、津波を予測した住民のすみやかな避難行動がありました。その中で、高齢者の避難を住民が手助けするケースが目立ちました。
新潟県村上市のある地区では、支援が必要な高齢者らのかかりつけ医や、避難支援を担当する住民の名前をそれぞれカードにまとめ、住民同士が情報を共有しています。この情報共有により、80歳代の女性を車に乗せて避難所へ向かった住民もおりました。しかし、同じ村上市の別の地域では体制が不十分で、自宅に取り残されて怖い思いをした一人暮らしの車いすの高齢者もおりました。
1995年の阪神淡路大震災の震源地である淡路島の北淡町では、近所付き合いが密接で、家のどこに寝ているかを住民同士が周知している関係でした。そのため倒壊した家屋からの救出もスムーズで、多くの方が住民の手により助け出されました。
地震や風水害を経験した地域では、町内会や集合住宅内で情報交換を行い、一人では避難が難しい高齢者やハンディキャップのある方を把握して、支援する担当者を決めたり、行政と協議を重ねている地域もあります。しかしこのような体制が整っている地域はまだまだ少なく、全く何も為されていない地域が数多くあります。

南海トラフ地震では事前避難地域が策定されました。東西に長い震源域の片側で地震が発生する「半割れ」ケースを想定し、まだ被害が及んでいない残り半分側の沿岸地域の住民にも、後発地震警戒のため1週間の避難を呼びかけるものです。避難場所の確保など課題も多くありますが、高齢者や一人では避難出来ない方々の命を救うことに繋がります。
南海トラフ地震や首都直下型地震は将来必ず発生します。豪雨災害や火山噴火も起きるでしょう。その際に、どのような行動をとるのか。事前に十分に検討して対策を立てておくことにより、命を救うことが出来ます。過去の災害を振り返り、どのような被害があったのか。何がいけなかったのか。何を改善していけばよいのか。過去からの経験を活かしてゆくことにより、更に良い方法があるのかを深く模索して、学びを活かし、知恵を活かし、常に良い状態にしておくことで、イザという時に迷うことなく行動することが出来、自分だけではなく多くの命を救うことが可能になります。



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