新潟・山形大地震

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。山形県沖を震源とするマグニチュード6.7の地震が発生して、25日で一週間が経過しました。この地震では新潟県村上市で震度6強が観測されました。今回はこの地震について取り上げたいと思います。1.発生状況6月18日22時22分に、山形県沖、深さ10kmを震源とするM6.7(速報値はM6.8)の地震が発生しました。新潟県村上市で震度6強、山形県鶴岡市温梅川で震度6弱、山形県鶴岡市温梅...

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
山形県沖を震源とするマグニチュード6.7の地震が発生して、25日で一週間が経過しました。この地震では新潟県村上市で震度6強が観測されました。今回はこの地震について取り上げたいと思います。

1.発生状況
6月18日22時22分に、山形県沖、深さ10kmを震源とするM6.7(速報値はM6.8)の地震が発生しました。
新潟県村上市で震度6強、山形県鶴岡市温梅川で震度6弱、山形県鶴岡市温梅と道田町で震度5強、新潟県阿賀町、長岡市、柏崎市、山形県酒田市、三川町、大蔵村、秋田県由利本荘市で震度5弱、その他、東日本全域で揺れが観測されました。
余震活動は25日16時までに23回と比較的少なく、地震の規模も震度4が1回のみと、小規模な活動になっています。震源地の内訳としては、微妙な位置の違いで、山形県沖が6回、新潟県下越沖が17回となっています。
地震発生2分後の22時24分には、山形県、新潟県上中下越、佐渡、石川県能登に気象庁から津波注意報が発令されました。新潟で最大波0.1mの津波が観測されましたが、その他の地域では第1波識別不能で、翌19日01時02分に津波注意報を全て解除されました。
幸いにもこの地震による死傷者はなく、負傷者が宮城・秋田・山形・新潟・石川の5県で計36人が負傷し、うち9人が重傷でした。建物被害は最大震度6強を記録した新潟県村上市で、半壊が10棟、一部損壊は362棟にのぼりました。

2.地震の特徴
今回の地震は、北海道沖から新潟県まで続く「日本海東縁ひずみ集中帯」と呼ばれるエリア内で発生しました。
ひずみ集中帯は、東日本をのせた北米プレートと、大陸側のユーラシアプレートの境界に沿っています。北米プレートは東側から押されており、日本海東縁部には東西に圧縮する力が働いて、地震を起こすエネルギーとなる「ひずみ」がたまっています。
このひずみ集中帯では、古くは1833年庄内沖の地震(M7.5)、1964年新潟地震(M7.5)、1983年日本海中部地震 (M7.7)、1993年北海道南西沖地震(M7.8)、2004年新潟県中越地震(M6.8)、2007年新潟県中越沖地震(M6.8)と大地震が相次いでいます。政府の地震調査委員会は、今回の地震は1964年の新潟地震の震源に隣接した場所で起きているという見解をまとめました。
1964年の新潟地震では新潟市内で液状化現象が起き、県営アパートが大きく傾き、そのうち1棟はほぼ横倒しになりました。

◆防災科学技術研究所 1964年新潟地震オープンデータ特設サイト
 http://ecom-plat.jp/19640616-niigata-eq/index.php?gid=10020
またこの地域を震源とする地震は、直後に津波が発生することも特徴的です。日本海中部地震では死者104名、北海道南西沖地震では死者・行方不明者230名を出しました。

青森県防災ホームページ 日本海中部地震
http://www.bousai.pref.aomori.jp/DisasterFireDivision/archivedata/earthquakeoverview/japanseachubu/index.html 

北海道南西沖地震 現地調査写真リポート (山村武彦)
 http://www.bo-sai.co.jp/sub8.html

今回の地震でも、地震発生2分後には津波注意報が発令されました。幸いにも観測された津波は10cmでしたが、過去の地震の記憶がある住民達は、地震直後にすみやかに高台への避難行動をとりました。日頃から家族で話し合ったり、避難通路の確認も行われていました。緊急停止した電車では、津波を心配した乗務員が自らの判断で乗客を高台へ誘導しました。JR東日本新潟支社では乗客の避難誘導訓練を毎年行っており、普段からの実践的な訓練の結果が出たと言えるでしょう。

3.避難に際しての課題
新潟・山形地震では、津波を予測した住民のすみやかな避難行動がありました。その中で、高齢者の避難を住民が手助けするケースが目立ちました。
新潟県村上市のある地区では、支援が必要な高齢者らのかかりつけ医や、避難支援を担当する住民の名前をそれぞれカードにまとめ、住民同士が情報を共有しています。この情報共有により、80歳代の女性を車に乗せて避難所へ向かった住民もおりました。しかし、同じ村上市の別の地域では体制が不十分で、自宅に取り残されて怖い思いをした一人暮らしの車いすの高齢者もおりました。
1995年の阪神淡路大震災の震源地である淡路島の北淡町では、近所付き合いが密接で、家のどこに寝ているかを住民同士が周知している関係でした。そのため倒壊した家屋からの救出もスムーズで、多くの方が住民の手により助け出されました。
地震や風水害を経験した地域では、町内会や集合住宅内で情報交換を行い、一人では避難が難しい高齢者やハンディキャップのある方を把握して、支援する担当者を決めたり、行政と協議を重ねている地域もあります。しかしこのような体制が整っている地域はまだまだ少なく、全く何も為されていない地域が数多くあります。

南海トラフ地震では事前避難地域が策定されました。東西に長い震源域の片側で地震が発生する「半割れ」ケースを想定し、まだ被害が及んでいない残り半分側の沿岸地域の住民にも、後発地震警戒のため1週間の避難を呼びかけるものです。避難場所の確保など課題も多くありますが、高齢者や一人では避難出来ない方々の命を救うことに繋がります。
南海トラフ地震や首都直下型地震は将来必ず発生します。豪雨災害や火山噴火も起きるでしょう。その際に、どのような行動をとるのか。事前に十分に検討して対策を立てておくことにより、命を救うことが出来ます。過去の災害を振り返り、どのような被害があったのか。何がいけなかったのか。何を改善していけばよいのか。過去からの経験を活かしてゆくことにより、更に良い方法があるのかを深く模索して、学びを活かし、知恵を活かし、常に良い状態にしておくことで、イザという時に迷うことなく行動することが出来、自分だけではなく多くの命を救うことが可能になります。



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火山噴火に遭遇したら

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。5月19日に箱根山の火山噴火レベが2(火口周辺規制)に引き上げられて、約1ヶ月が経過しました。活動が更に激しくなるのか、それとも落ち着いていくのか、現在のところ今後の見通しがたっていません。箱根山を始めとして日本中の火山がある場所は、国立公園に指定されていたり、豊富な温泉が湧き出る観光地になっています。そこを訪問する観光客の殆どが、火山の麓へ行くという意...

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。

5月19日に箱根山の火山噴火レベが2(火口周辺規制)に引き上げられて、約1ヶ月が経過しました。活動が更に激しくなるのか、それとも落ち着いていくのか、現在のところ今後の見通しがたっていません。
箱根山を始めとして日本中の火山がある場所は、国立公園に指定されていたり、豊富な温泉が湧き出る観光地になっています。そこを訪問する観光客の殆どが、火山の麓へ行くという意識は持っていません。山頂近くまでロープウェイが通っている山もあり、気軽に観光が出来ます。登山を目的とする人とは異なり、このような観光客は何の装備も持っていません。
今回は、そのような観光地に滞在している時に火山噴火に遭遇したら、ということについて考えてみたいと思います。

1.火山噴火にそなえる

(1) 噴火警戒レベル
日本にある110の活火山のうち、火山噴火予知連絡会によって「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」として選定された50火山が、気象庁により24時間体制で監視・観測されています。そのうち、45火山(令和元年5月現在)で噴火警戒レベルが運用されています。
噴火警戒レベルは、火山活動の状況に応じて警戒が必要な範囲と、防災機関や周辺住民が
とるべき対応を、5段階に区分して発表しています。

レベル1:活火山であることに留意
 火山活動は静穏。活動の状態によっては、火口内で火山灰の噴出等が見られる

レベル2:火口周辺警報
 火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生、あるいは発生すると予想される

レベル3:入山規制
 居住地域の近くまで重大な影響を及ぼす噴火が発生、あるいは発生すると予想される

レベル4:避難準備
 居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生すると予想される

レベル5:避難
 居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生、あるいは切迫している状態にある.。

以前はレベル1は「平常」となっていましたが、この「平常」という言葉は安全であるとの誤解を招くことから、2014年9月の御嶽山噴火を受けて現在の「活火山であることに留意」に改められました。

(2) 噴火速報
2015年8月から新たに導入されたもので、50の常時観測火山で噴火が起きた場合に、登山者や周辺住民にすみやかに発表し、命を守るための行動がとれるようにするものです。速報は、気象庁のホームページやテレビ、ラジオ、携帯端末などに配信されます。山中には携帯電話が通じない場所も少なくないため、自治体の防災無線で放送も行います。火口が見えない場所にいる登山者や観光客らに避難を促し、噴石や火砕流などに襲われる危険を減らすのが狙いです。
なお噴火速報は、普段から噴火している火山に、普段と同じ規模の噴火が発生した場合や、噴火の規模が小さく噴火が発生した事実を確認できない場合は発表されません。

◆気象庁 噴火速報を提供する事業者
https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/kaisetsu/funkasokuho/funkasokuho_toha.html

2.火山噴火がもたらす事象
火山噴火が発生すると、人命にかかわる数々の事象が発生します。以下にそれらを紹介します。

(1) 噴石と火山弾
爆発的な噴火によって、小石や大きな岩石が空から降ってきますが、これを噴石といいます。大きな噴石は風の影響を受けずに四方に飛び散ります。建物の上に落下したら屋根を突き破るほどの破壊力があり、人に当たって死傷した例もあります。
火山弾は、噴出したマグマが流動性をもったまま、空中を弾丸のように飛んでくるものです。かなりの高温の状態で飛んでくるので、当たったらひとたまりもありません。
2014年の御嶽山噴火の犠牲者は、この噴石や火山弾が当たり命を落としました。これらから身を守るには、遠くへ逃げるか頑丈な建物に逃げ込むしかありません。

◆防仁学 阿蘇山噴火!「噴石」の脅威に備えるには?
 https://bohjingaku.com/funseki/

(2) 火砕流
火砕流は、マグマの破片や空気、水蒸気、火山ガス、岩石のかけら、火山灰などが一体となって流れてくる現象です。火砕流は500℃を超す、モクモクとした煙のようなものが、地面を這うようにして時速100kmを上回る猛烈な勢いで流れ下っていきます。もし火砕流に巻き込まれたら、そこから逃げ出すことは全く不可能です。そしてこの高温高速の煙の流れは、通過した地域を全て焼失させ壊滅させてしまいます。1991年の雲仙普賢岳で多くの犠牲者が出た原因は、この火砕流でした。

◆NHKアーカイブス 雲仙普賢岳火砕流
 https://www2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009030241_00000


(3) 溶岩流
火口から出た溶岩が、液体のまま斜面を下って流れていくのが溶岩流です。そのスピードは、マグマの粘り気や火山の地形などによって異なりますが、それほど速くはなく、走って逃げることは出来ます。溶岩流はやがて冷えて固まり流れを止めるので、それほど広範囲に流れることはありません。けれども溶岩流は1000℃もの高温で流れるため、溶岩流の進路にある森林や家屋、農地などをことごとく焼き尽くし、溶岩の下に埋もれさせてしまいます。
また溶岩流は山頂だけではなく、山体の地質が脆い線に沿って出来た数珠つなぎの火口や、一連の「割れ目噴火」からも噴出します。日本では伊豆大島や三宅島などで割れ目噴火が発生し、溶岩流が流下しました。

◆ハワイ・キラウエア火山噴火
 https://www.youtube.com/watch?v=GjWTR3ZZotc


(4) 火山ガス
火山の噴火による被害で最も長期的な影響を及ぼすのが火山ガスです。人体に多大な悪影響を及ぼすため、ガスが低濃度になるまで近づくことは不可能で、過去には50年以上も立ち入ることが出来なかった事例もありました。
火山ガスの主成分は水蒸気が95~99.5%を占め、この他に二酸化硫黄、硫化水素、塩素、フッ素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素などを含みます。活動している火山地域は日常的に噴気と呼ばれる火山ガスを排出しています。箱根の大涌谷など「硫黄臭」があるガスは危険を察知しやすいですが、二酸化炭素などの無色無臭の気体は気付くのが困難で、登山中の死亡事故も発生しています。
平成12年(2000年)から活動を始めた三宅島では、多量の火山ガスが放出され、それが集落などの居城地域に流下し続けました。そのため三宅島の住民は噴火が一段落しても、4年半におよぶ長期の避難生活を強いられました。

◆火山ガスと防災 日本火山学会第9回公開講座
 http://www.kazan-g.sakura.ne.jp/J/koukai/02/hirabayashi.html


(5) 火山灰
噴火によって噴出した直径2mm以下の物体を火山灰といいます。空気中で冷え固まったマグマが細かく砕かれたもので、「灰」とありますが実際にはガラス片や鉱物結晶片になり、人体に悪影響を及ぼします。目に入ると角膜剥離や結膜炎を引き起こし、呼吸で吸い込むことにより鼻や喉の炎症を起こしたり、ぜんそくや気管支炎を引き起こす可能性もあります。
火山灰は空中高く舞い上がり、上空の風に乗って広範囲に運ばれて行きます。大量の降灰は農作物に被害を与えるだけではなく、社会インフラに大きな打撃を与えます。降り積もった火山灰の厚さが僅か1mmでも、車や鉄道が運行中止になる可能性があります。また火山灰は精密機器に入り込み故障を引き起こすと考えられ、様々な情報システムにより制御されている現代社会は大混乱を招き、その復旧までには膨大な時間がかかってしまいます。
雨が降ると火山灰はセメントのように固まり、かつ重量が増すため、10cmほどの降灰でも家屋の崩壊を招いてしまいます。濡れた火山灰が付着した送電線は漏電を起こし、停電や火災の発生につながりかねません。

◆Bousai Tech 火山灰の災害対応を行う上で注意するべきこと
 https://bousai-tech.com/saigai/ash/

◆気象庁 降灰予報の説明
 http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/kaisetsu/qvaf/qvaf_guide.html


3.火山噴火に遭遇したら
火山を登山している時や、周辺の観光地にいた時に突然噴火が起きた場合、噴火直後に何よりも大切なのは、噴石など噴出する固形物から身を守ることです。そのためには、すみやかに山小屋や避難小屋など安全な場所に逃げるしかありません。観光客が逃げ込むためのシェルターが設置されている火山もあります。噴火直後には噴石や火山弾が飛んでくることを知っておき、堅固な建物に避難します。間に合わない時は、大きな岩陰に身を隠します。逃げる時には、リュックサックやカバンなどで、ひとまず頭や背中を保護することが重要です。
噴石の放出は、しばしば断続的に起きます。噴石が少なくなったと判断してシェルターなどから出て行動すると、再び放出を始めた噴石に襲われることもあるので、注意することが大切です。
火山灰に対しては、火山灰を吸わないようにタオルやハンカチで口元を覆います。火山灰が目に入ったら、こすらずに持参した水で流します。とにかく呼吸器や目を守ります。
避難の際には、噴煙を浴びないように出来るだけ風上方向へ避難します。また火砕流などが流れる谷筋や窪地は避けて避難します。

火山噴火は地震とは異なり、低周波地震や山体膨張を観測することで、事前に噴火を予測することが比較的可能です。2000年の北海道有珠山の噴火の際には、この山の噴火のクセを熟知した北大有珠山火山観測所の所長により事前に勧告がなされ、大規模な噴火にも関わらず一人の犠牲者も出すことはありませんでした。
しかし個々の火山によって、そのクセは異なります。御嶽山の噴火では、低周波地震が観測された直後に噴火が始まりました。桜島のように観測者が常時いる火山は別として、多くの火山では噴火に至りそうな現象が現われても、どれだけの期間を経て噴火するのか、または収まるのか把握できていません。
登山や温泉地などに観光へ行く際は、現地のお天気情報と共に必ず火山の状況もチェックして、楽しい時間を過ごしていただければと思います。

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箱根山について

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。5月19日に箱根山の噴火警戒レベルが1(活火山であることに留意)からレベル2(火口周辺規制)に引き上げられました。今回はこの箱根山について取り上げたいと思います。1.現在の状況 神奈川県の箱根山では、5月18日から火山性地震が増加しており、大涌谷周辺の火口ではさかんな噴気活動が続いているとして、気象庁は19日2時15分に噴火が発生する恐れがあるとして、噴火警戒レベ...

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
5月19日に箱根山の噴火警戒レベルが1(活火山であることに留意)からレベル2(火口周辺規制)に引き上げられました。今回はこの箱根山について取り上げたいと思います。

1.現在の状況
 神奈川県の箱根山では、5月18日から火山性地震が増加しており、大涌谷周辺の火口ではさかんな噴気活動が続いているとして、気象庁は19日2時15分に噴火が発生する恐れがあるとして、噴火警戒レベルを2に引き上げました。
箱根山では18日午前5時頃から芦ノ湖の西岸と駒ヶ岳付近を震源とする火山性地震が増加しました。5月に入ってから17日まで、一日に発生する地震の回数は0~4回にとどまっていましたが、18日は45回と急増しました。19日午後3時の時点で、すでに48回の地震が観測されています。19日は午前9時前に神奈川県箱根町湯本などで震度1の揺れが観測された地震も起きました。

 地下のマグマや水蒸気の動きを示す火山性微動や低周波地震はまだ観測されていませんが、大涌谷に設置した監視カメラの観測では、火口から勢いよく噴気が噴出しています。また今月3月中旬頃から、仙石原や湯河原などの観測地点の一部で、わずかに山が膨らむ地殻変動が捉えられているようです。
大涌谷の想定火口域の中では、噴火に伴う大きな噴石に警戒すると共に、自治体などの指示に従って危険な地域には立ち入らないよう呼びかけています。

 噴火警戒レベル引き上げに伴い、1km余り手前で夜間通行止めになっていた大涌谷につながる県道が、終日通行止めになりました。また大涌谷周辺を通る箱根ロープウェイは19日から運休になり、代行バスを運行することになりました。
神奈川県の黒岩知事は、「2015年に火山活動が活発化して以降、県は火山観測体制を充実・強化しました。また、箱根町や事業者らと協力して火山避難計画を策定し、実動訓練を実施するなど人的被害ゼロに努めてきました。火口周辺警報の対象地域は、広い箱根のごくごく一部の限られたエリアで、県や町が発表する情報を見た上で、冷静に対応して下さい」と呼びかけています。

■神奈川県HP 防災・消防 箱根火山における地震活動について
 http://www.pref.kanagawa.jp/docs/j8g/owakudani_0519.html

2.2015年の活動
 前回、箱根山の活動が盛んになったのは、2015年4月でした。4月に入り149回の火山性地震が観測され、特に4月1日~25日には9回だった火山性地震が、翌26日から5月3日にかけては142回に急増しました。そのため突発的な水蒸気噴出の恐れがあるとして、箱根町は大涌谷周辺のハイキングコースと大涌谷自然研究路の閉鎖を決めました。5月4日も午後10時までに29回の火山性地震が観測され、わずかな山の膨張を示す地殻変動も見られましたが、その他に大きな変化はなく、この時点では「噴火に結びつくような兆候は確認されない」として、噴火警戒レベルも1のままでした。
しかし5日になると、箱根山を震源とする震度1の地震が3回観測されました。箱根山で体に揺れを感じる「有感地震」が起きたのは2011年3月以来で、火山性地震も一日の観測史上最多となる116回が観測されました。そして高圧ガスやマグマの熱で温められた地表近くの地下水が爆発的に噴き出す「水蒸気爆発」が想定されるとして、5月6日に噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)に引き上げました。

 その後も大涌谷で活発な噴気活動が続き、6月30日には603回もの火山性地震が記録され、ごく小規模な噴火が発生しました。この噴火を受けて噴火警戒レベルが3(入山規制)に引き上げられ、区域内の32棟に避難指示が出されました。噴火が起きた噴気孔とは別に、新たに三つの噴気孔も確認され、大涌谷周辺では4月下旬から最大33cmの隆起がありました。
9月に入り、噴気活動は活発だが火山活動は低下しているとして、噴火警戒レベルが3から2に引き下げられました。立ち入り禁止区域も大涌谷の火口から半径500mに縮小されたため、10月にはロープウェイも一部区域で運行が再開されました。
11月20日には火山活動が以前の状態に戻ったということで、半年ぶりに噴火警戒レベル1に引き下げられました。しかし高濃度の二酸化硫黄ガスが検出される時もあるため、大涌谷周辺の立ち入り禁止区域は維持されました。2014年に発生した御嶽山の噴火で死者・行方不明者が計63人に上ったことを教訓に、「命を守ることが最優先」という基本方針が貫かれたからです。

3.箱根山の活動の歴史
 箱根山は約65万年前から、水蒸気爆発やマグマ噴火を繰り返して来ました。6万年前にはプリニー式噴火に引き続いて、カルデラの陥没を伴うクライマックス噴火が起きて、大火砕流が発生しました。この火砕流の痕跡は、東は現在の横浜市保土ヶ谷区や三浦半島、西は静岡県沼津市を越えて富士宮市でも確認されました。約3000年前の水蒸気爆発では山が崩れ、川が堰き止められて芦ノ湖ができました。
最後の噴火は鎌倉時代の12~13世紀頃で、ここ数百年間は静かでしたが、火山性地震が増えるなど、火山活動が時折高まることがありました。

 6万年前の噴火での火砕流は、箱根から1時間以内に横浜まで到達したと思われます。もし、今、同規模の火砕流が発生したら、500万人近い人が「瞬殺」になってしまいます。箱根山ではこのクラスの大噴火が、過去30万年間に4度も発生しています。この火山の地下で、同じメカニズムでマグマが蓄積して大噴火に至るとすれば、箱根火山は約7万年に一度大噴火を繰り返す「くせ」があると言えます。確率で表すと、今後100年間に大噴火が起きる確率は0.2パーセント。一見低い確率に思えますが、明日起きても不思議ではないことを示しています。さらに壊滅的な被害を考えると、箱根山大噴火の「危険値(=想定死亡者数×年間発生確率)」は100人近くになり、何と毎年のように起きる豪雨災害に匹敵してしまいます。

■気象庁 箱根山 有史以降の火山活動
 http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/315_Hakoneyama/315_history.html

■箱根町HP 箱根火山のおいたち
 http://www.town.hakone.kanagawa.jp/index.cfm/10,1208,46,167,html

 今回の箱根山の火山活動が2015年のような小規模な噴火で済めば、影響を受けるのはごく一部の地域だけです。今後ますます活動が激しくなるのか、それとも収束に向かうのか、現時点ではまだわかりません。周辺地域にお住まいの方や、これから箱根に行かれる方は、最新の情報を確認して身の安全に努めていただければと思います。

■箱根町HP 箱根町周辺の火山・地震活動
 http://www.town.hakone.kanagawa.jp/index.cfm/10,1206,46,166,html

■箱根町HP 大涌谷周辺の観光客等の避難誘導マニュアル PDF
 http://www.town.hakone.kanagawa.jp/index.cfm/10,1204,46,166,html

■箱根町HP 火山防災マップ
 http://www.town.hakone.kanagawa.jp/index.cfm/10,1218,46,167,html





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熊本地震から3年

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。観測史上初めて2回の震度7を記録した熊本地震から3年が経過しました。今回は熊本の現状について取り上げたいと思います。1.経 過2016年4月14日午後9時26分頃、熊本県熊本地方を震源とするM6.5の地震が発生し、熊本県益城町で震度7が観測されました。マグニチュードに対して震度が大きかったのは、震源の深さが11kmと浅かったためです。震度7が観測されたのは、兵庫県南部地...

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
観測史上初めて2回の震度7を記録した熊本地震から3年が経過しました。今回は熊本の現状について取り上げたいと思います。

1.経 過
2016年4月14日午後9時26分頃、熊本県熊本地方を震源とするM6.5の地震が発生し、熊本県益城町で震度7が観測されました。マグニチュードに対して震度が大きかったのは、震源の深さが11kmと浅かったためです。震度7が観測されたのは、兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)、新潟県中越地震、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)以来の4回目で、九州では初めてのことでした。この地震は日奈久断層帯の活動によって引き起こされたもので、この地震に対しての余震はその日だけでも、震度6弱が1回、震度5弱が1回、震度4以下が37回と、総回数が40回に上りました。翌日15日は震度6強が1回、震度5弱が1回、震度4以下が110回と、総回数が112回にも上りました。
そして最初の地震が発生した28時間後の2016年4月16日午前1時25分頃、今度は隣接する布田川断層でM7.3の地震が発生しました。この地震では再度熊本県益城町で震度7、そして西原村でも震度7が観測されました。同じ地域で震度7が2回観測されたのは、今回が初めてです。この地震により、14日の地震が「前震」、16日の地震が「本震」ということが気象庁より発表されました。
震度6弱以上の揺れの地震が3日間で7回も発生し、その後、北東の阿蘇地方から大分県西部、さらに大分県中部の別府-万年山断層周辺へと、別府-島原地溝帯に沿って地震が相次ぎ、震度5弱以上の地震が23回も発生しました。震源近くにある阿蘇中岳では、本震発生後の16日午前8時30分頃に小規模噴火が発生、さらに10月8日には36年ぶりに爆発的噴火が発生しました。現在、阿蘇山では火山ガスの放出量が1日当たり2100トンと多い状態で、4月14日より噴火警戒レベルが2に引き上げられています。16日には小規模な噴火がありましたが、噴火警戒レベル2が維持されています。

2.熊本地震による被害
本年4月12日に消防庁が公表した資料によると、現時点での被害は、死者273人(直接死50人、関連死223人)、重傷者1,203人、軽傷者1,606人、住家全壊8,667棟、半壊34,719棟、一部損壊163,500棟、床上浸水114棟、床下浸水156棟、公共建物被害467棟、その他非住家被害12,918棟、火災15件となっています。全壊家屋数に比べて直接死者数が少ないのは、14日の前震によって住民が避難したため、本震で倒壊した家屋にいた人が少なかったからのようですが、逆に関連死の多さが目立ちます。
熊本県によると仮設住宅や自治体借り上げのみなし仮設の入居者は、ピーク時の4万7800人(2017年5月)と比べて約3割の1万6519人に減少しましたが、今年3月末現在でも7304世帯が残っています。入居期間は原則2年間ですが、「特定非常災害」に指定された熊本地震は、国の同意を得られれば入居期間を延長できます。熊本県は2017年10月に同意を得て約9000世帯に1年間の延長、その後、2度目の延長も決めました。
震度7の揺れに二度も襲われた益城町では、14日の地震後では瓦が落ち、外壁やブロック塀が崩れていても、まだしっかり建っている家が数多く残っていましたが、倒壊していない家屋を探す方が難しい地区が複数見られるなど、前日とは町の形が完全に変わってしまいました。益城町の区画整理事業は宅地を再配置し、道路拡幅や公園整備などを行い、宅地の配置決定まで住宅建設が出来ません。これらの公共事業で自宅再建ができない仮設入居者は249世帯あり、蒲島熊本県知事は3度目の延長を要望しており、当初2020年春に仮設住宅解消を目指した熊本県の方針は困難な状況となりました。
被災者の恒久的な住まいとなる災害公営住宅(復興住宅)は、4市6町2村が70団地計1717戸の整備を計画していますが、3月末までに完成したのは全体の3割程度の25団地計496戸にとどまっています。
避難生活の長期化は、被災者に様々な悪影響を及ぼします。熊本県の調査では、昨年末時点で仮設暮らしの半数近い世帯が資金や家族、心身などに何らかの事情を抱えていました。特に留意すべき点は、孤独死した被災者28人のうち22人がみなし仮設に住んでいたことです。低コストで速やかに入居できる利点がある反面、広範囲に点在しており、被災者同士のつながりを保つことが難しくなっています。自治体では「地域支え合いセンター」を設置して、相談員らが入居者を訪問して相談に乗る見守り活動を行っていますが、あくまでも仮設入居者が対象であり、今後、退去した人への支援をどうするかなど、孤立しがちな被災者を支える活動がまだまだ必要になります。

3.熊本城の被害
熊本城では地震により倒壊・崩落・一部損壊等を含め、櫓や門など重要文化財に指定されている13棟、そして復元建造物20棟のすべてで深刻な被害が出ました。石垣は全体の約3割に当たる約23,600㎡に崩落や膨らみ・緩みなどで修復を必要とする箇所が見受けられます。その他、便益施設等26棟も屋根や壁が破損し、地盤についても約12,345㎡に陥没や地割れが発生するなど、熊本城全体に被害が発生しました。戦後に復元された大天守は、最初の地震で残っていた最上部の瓦がほとんど完全に落ちてしまい、シンボルとなっていたシャチホコも落下してしまいました。
■熊本市ホームページ 熊本城の被害状況 (PDF)
https://www.city.kumamoto.jp/common/UploadFileDsp.aspx?c_id=5&id=17236&sub_id=7&flid=128646

約20年にわたる復旧工事では、被災した場所、建物ごとに解体、測量、調査、耐震設計、復旧工事といった工程を順次進めていきます。国特別史跡の熊本城は、伝統的工法による復旧で文化財的価値を守りつつ、耐震性を高めることが求められます。その中でも困難なのは石垣の工事で、今回の地震により石垣全体の約3割が被害を受けましたが、その個数は推計7~10万個に及ぶと見られ、完全復旧にはまだまだ時間がかかります。
最優先で工事が進む天主閣は、大天守(地上6階、地下1階)の石垣の積み直しが終わり、外観工事が大詰めを迎えています。塗り直した白いしっくいや軽量化した瓦が、真新しい姿を見せています。小天守では石垣を積み直す工事が続いています。内部工事では、様々な揺れを軽減する装置や補助材を設置して耐震化を図り、エレベーターも設けます。2021年春には内部まで入れるようになる見通しです。
熊本市は復旧の過程を公開し、観光につなげるため、10月からの工事用通路を利用した特別公開に続けて、20年春をめどに、平日も利用できる「特別見学通路」を整備します。城彩苑の「熊本城ミュージアムわくわく座」では、映像技術を駆使して“見える復旧”に一役買っています。「被災・復旧プロジェクションマッピング」は、白色の熊本城の立体模型(100分の1)に映像を写し出し、城がどのように崩れたのか音を交えてリアルに再現しています。江戸時代の壮麗な城の姿を楽しめるVR映像も上映しています。また天主閣や飯田丸などの様子を館内のモニターに映し出す「定点ライブカメラ」は、様々なアングルから復旧工事の様子を見学できます。
■熊本城 城彩苑 http://www.sakuranobaba-johsaien.jp/

4.熊本地震復興への歩み
2016年
4月14日  午後9時26分、前震が発生。益城町で震度7を観測
  16日  午前1時25分、本震が発生。益城町や西原村で震度7
5月 6日  熊本県が益城町で仮設住宅の着工を開始
  19日  天皇・皇后両陛下が被災地を訪問
6月 3日  県内初となる仮設住宅が完成し、5日から入居開始
  27日  県が御船町の108世帯を「長期避難世帯」に初認定
8月14日  阿蘇大橋崩落現場で行方不明の大学生が発見され、直接死は計50人に
9月28日  県が熊本地震による被害額は3兆7850億円との試算を公表
11月14日 県が整備した16市町村の仮設住宅4303戸が完成
   18日 西原村の避難所が閉鎖され、ピーク時に18万人以上が利用した避難所はゼロに
2017年
3月28日  益城町の仮設住宅で男性の死亡を確認。初の孤独死
12月16日 熊本城の復旧基本計画素案を熊本市が公表。38年度までの完全復旧を目指す
2018年
1月30日  災害公営住宅(復興住宅)の建設開始
6月10日  初の復興住宅12戸が西原村に完成
11月30日 熊本城大天守の石垣の積み直しが完了
2019年
2月22日  県が、宇土市の長期避難世帯4世帯13人の認定を解除し、計483世帯1232人
      いた長期避難世帯はゼロに

完全復興への道のりはまだ長い熊本ですが、気がかりな点があります。それは防災意識の低下です。熊本県が昨年度実施した県民調査結果によると、災害への備えとして「水・食料等の備蓄」を挙げた回答が、地震のあった2016年度から10ポイント下がりました。
南海トラフ巨大地震、首都直下地震、千島海溝地震など、今後、必ず発生する大地震があります。地震列島の日本では、いつ大規模な揺れに見舞われるかわかりません。該当地域にお住いの方やそれ以外の地域にお住まいの方も、災害に備える準備を心掛けておきましょう。
■日本赤十字社 非常時の持ち出し品・備蓄品
  http://www.tokyo.jrc.or.jp/checklist/


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南海トラフ地震事前避難計画について

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。桜や新元号の話題で盛り上がっていますが、そのニュースにまぎれて、「富士山の大規模噴火が起きた場合に都心に降り積もる火山灰の量について」と「南海トラフ地震事前避難計画について」という二つの重要なニュースがありました。南海トラフ地震については、昨年12月に事前避難計画についての報告書案がとりまとめられましたが、その具体的なガイドラインが公表されました。今...

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
桜や新元号の話題で盛り上がっていますが、そのニュースにまぎれて、「富士山の大規模噴火が起きた場合に都心に降り積もる火山灰の量について」と「南海トラフ地震事前避難計画について」という二つの重要なニュースがありました。
南海トラフ地震については、昨年12月に事前避難計画についての報告書案がとりまとめられましたが、その具体的なガイドラインが公表されました。今回はこのことについて取り上げたいと思います。

1.見直しの内容
南海トラフ地震(南海・東南海・東海地震)は100年から150年周期で繰り返し発生しており、直近の地震は1944年に昭和東南海地震、1946年に昭和南海地震が発生しました。東海地震の想定震源域は1854年の安政東海地震以来動いていませんでした。地震の観測網が整備され研究が進んでくると地震予知が出来ないという見方が強まり、更に前回の南海地震から70年以上が経過し、南海トラフ全域で起こる巨大地震を警戒する必要が出て来ました。見直しでは、新たに南海トラフ沿いの広域で、事前避難などを含めた防災計画を策定することを求めました。
南海トラフ地域の地震は、これまで駿河湾から四国沖にかけて複数の震源が同時に、もしくは32時間後や2年後などの時間差で発生しています。当初は南海トラフのどこかで実際に地震が発生した場合の避難を想定しましたが、前兆となり得る現象が起きた場合、被災していなくても避難を始めるなど、住民や企業がとるべき防災対応が示されました。
前兆現象としては、①巨大地震の想定震源域のうち、東側か西側のどちらかをM8以上の地震が襲う「半割れ」②想定震源域の一部でM7以上の地震が起きる「一部割れ」③想定震源域で断層がずれ動く「ゆっくりすべり」の3つです。
前兆現象が起きた場合「臨時情報」が出されますが、①~③のいずれかに当たると評価された時には、最短2時間以内で2回目の発表が行われます。その上で、
①の場合:直近の2事例(昭和と安政)で東西が連動した地震が起きているので、揺れに襲われていない側でも、地震発生後の避難では津波到達までに逃げ切れない地域の住民と、逃げ切れない可能性のある地域の高齢者や障害者らのあらかじめの避難
②の場合:過去の事例から①ほどの大地震が起きる可能性は高くないため自主避難を基本とし、期間は1週間程度
③の場合:避難を求めず、日常生活の中で警戒レベルを引き上げる
以上の3パターンに分けました。なお企業は①、②とも原則的に事業は継続します。

2.公表されたガイドライン
ガイドラインの基本的な考え方として、現在の科学では地震発生の正確な予測は出来ないため、「地震に備えつつ、通常の社会活動をできるだけ維持することが基本」とした上で、防災計画の方針を示しています。
まず住民の避難については、震源域の半分程度が先行してずれ動いてM8クラスの地震が起き、次の巨大地震に警戒が必要だとされた場合、最初の地震で被害が出ていない地域でも、一部の住民は一週間、事前に避難するとしました。ただし、まだ被災していないため、生活用品は自ら確保する必要があります。
事前避難の対象地域は、地震発生から30分以内に津波で30cm以上浸水する場所のうち、近くに避難ビルなどがなく、すぐに避難できない範囲です。また、避難に時間がかかるお年寄りなど「要配慮者」に限り、事前避難する地域も定めるとしています。

  「南海トラフ地震」の住民避難の流れと取るべき防災対応
【南海トラフでM8以上の地震発生】
        ↓
【発生地域外を対象に「臨時情報」】
        ↓
【政府が避難開始を呼びかけ】
        ↓
【市町村が「避難勧告」】 一週間継続
住民:津波からの避難が不可能な地域は避難
学校:臨時休校など適切な対応
水道・電気・ガス:営業継続
道路:車両走行を抑制
航空・海上:施設の利用制限
鉄道:一部運休など津波の回避措置を実施
病院:入院患者の引き渡しや転院の準備

ガイドラインでは、企業の対応に関しては、事前避難対象地域にある場合は危険を避ける措置を取るとした上で、日頃からの備えを再確認しつつ、出来る限り事業を続けることが望ましいとしました。鉄道などの交通機関は「安全性に留意しつつ、運行するための必要な対応をとる」、学校に対しては「事前避難対象地域では、臨時休校などの適切な対応をとる」というおおまかな考え方を示すにとどまっています。
今後、自治体や学校、企業などは個別に防災計画を検討することになりますが、それぞれの計画を調整の取れた内容にしていくことが課題となります。例えば、バスなど地域の交通機関が普段通り運行しなければ、出勤できなくなる人が増えたり、たとえ病院が診療を続けていても、そこへ行くことが困難になってきます。各分野で計画の足並みが揃わなければ、社会活動が停滞する可能性があります。

3.臨時情報の改善
一昨年より運用が始まった南海トラフの臨時情報は、あくまでも「普段と比べて、相対的に発生可能性が高まった」という不確実性がある情報で、発表されても地震が起きない「空振り」も考えられる一方、防災対応期間が終わった後で巨大地震が発生することもあり得ます。またこの情報が発表されないまま、いきなり巨大地震が発生する可能性もあります。このためガイドラインでは、臨時情報を活用して被害の軽減に繋げることが重要だとしつつも、普段から津波避難施設の整備や建物の耐震化、家具の固定などの備えを進めることが欠かせないとしています。
今回、南海トラフ沿いで異常な現象が観測された場合に発表される情報について、その名称を変えた上で「警戒」や「注意」など防災対応のキーワードを付けて、「南海トラフ地震臨時情報」として発表されることになりました。

<南海トラフ地震臨時情報「調査中」>
南海トラフ沿いでM7クラス以上の地震の発生や、異常な現象が観測された場合、調査を始めたことを示す「調査中」というキーワード付きの情報が発表されます。

<評価検討会>
その後、専門家で構成する評価検討会が巨大地震と関連があるか検討を行い、最短で約2時間後に結果を知らせる情報が発表されます。

<南海トラフ地震臨時情報「巨大地震警戒」>
一つが「巨大地震警戒」というキーワード付きの情報です。震源域の半分程度がずれ動いてM8クラスの地震が起き、次の巨大地震に対して警戒が必要とされた場合に発表されます。国のガイドラインが示した防災対応は「地震が発生した時に津波からの避難が明らかに間に合わない地域の住民は事前に避難する」などです。

<南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」>
もう一つが「巨大地震警注意」というキーワードが付いた情報です。想定震源域やその周辺でM7クラスの地震が発生し、その後の巨大地震に注意が必要とされた場合に発表されます。この場合の防災対応は「日頃からの備えを再確認し、必要に応じて自主的に避難する」です。
また揺れが伴わずにプレートの境目がゆっくりとずれ動く「ゆっくりすべり」が、通常とは異なる場所などで観測された場合も「巨大地震警注意」の情報が発表されます。この場合の防災対応は「避難場所や家具の固定を確かめるなど、日頃からの備えを再確認する」です。


<南海トラフ地震関連開設情報>
これらの情報が発表された後の地震活動や地殻変動などの状況については、「南海トラフ地震関連開設情報」を随時発表するとしています。

「半割れ」発生時の情報提供の流れ
地震発生
 ↓
約30分後  南海トラフ地震臨時情報「調査中」
 ↓
最短2時間後  南海トラフ地震臨時情報「巨大地震警戒」
        → 津波の危険性が高い地域などで1週間の避難開始
 ↓
1週間後  国が「避難解除」を呼びかけ
      → 自宅に戻って警戒を続ける
 ↓
2週間後  国が「通常の生活」を呼びかけ
      → 日常の生活に戻る

今回のガイドラインは中央防災会議の昨年末の報告書を踏まえたもので、自治体は約1年後までに避難計画を策定します。しかし公表されたガイドラインでは「事前避難対象地域では臨時休業などの適切な対応をとる」としていますが、その他の地域について具体的な考え方は示されていません。また避難対象地域の選定や1週間生活出来る避難所の確保など、その課題は多くなっています。

■内閣府 防災情報 南海トラフ地震対策 
http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/index.html

        

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