シリーズ 南海トラフ巨大地震 Ⅰ.東海地震

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。4月1日(金)に三重県南東沖を震源とするM6.1の地震が発生しました。幸いにも震源地が陸から離れていたので、最大震度4の揺れで済みました。この地震が南海トラフ地震や東南海地震の前震ではないか?と騒がれていますが、今の段階では前震かどうかは分かりません。2011年の東北地方太平洋沖地震の時も、2日前の3月9日に三陸沖を震源とするM7.3の地震が発生しました。その2日後の3...
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
4月1日(金)に三重県南東沖を震源とするM6.1の地震が発生しました。幸いにも震源地が陸から離れていたので、最大震度4の揺れで済みました。この地震が南海トラフ地震や東南海地震の前震ではないか?と騒がれていますが、今の段階では前震かどうかは分かりません。2011年の東北地方太平洋沖地震の時も、2日前の3月9日に三陸沖を震源とするM7.3の地震が発生しました。その2日後の3月11日にM9.0の地震が発生したため、M7.3の地震は前震だったということが判明しました。このようにある地震が前震かどうかは、日にちが経過してみないと判断できないという難しさがあります。約1ヶ月以内ぐらいまでに地震が発生すれば、前震だったということになります。
南海トラフ巨大地震は、東海地震・東南海地震・南海地震が単独あるいは連動して将来必ず発生する、津波を伴う大地震です。最近では日向灘を震源とする四連動の可能性も言われています。今回はこのうちの東海地震について説明したいと思います。

1.東海地震とは
フィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込む南海トラフの東側、駿河湾から静岡県の内陸部を震源域として起こる海溝型地震が「東海地震」です。この沈み込みの速度が一定であるため、過去100~150年の周期で発生しています。
東海地震が発生するとM8クラスの巨大地震が想定され、静岡県、山梨県の一部では震度7になる所があります。また静岡県のほぼ全域及び山梨県、愛知県、神奈川県、長野県、岐阜県の一部を含む広い地域では震度6強か6弱、それに隣接する周辺地域では震度5強程度になると予想されます。
また太平洋沿岸の広い地域に津波の来襲が予想され、特に伊豆半島南部、駿河湾から遠州灘、熊野灘沿岸および伊豆諸島の一部では5m~10m、ところによってはそれ以上の大津波になる恐れがあります。相模湾と房総半島では、ところにより3m以上と予想されます。震源から200km以上離れた東京にも大きな被害をもたらし、東京湾内に到達する津波は最大1.4m、満潮時だと2.4mと予測されています。建物全壊約26万棟、死者数9200人、経済的な被害は37兆円を超えると試算されています。
東海地震で大きな被害が予想される市区町村では、揺れの強さ、津波の浸水予測図などの策定がなされています。該当地域にお住まいの方は、是非ご自身の地域を確認してみて下さい。

2.過去に発生した主な地震
歴史上の「東海地震」の名称は、現在の東南海地震の震源域も含まれています。現在は「東海」地震が独立した地震で、「東南海・南海」地震が一つのものとして扱われていますが、地震学的には駿河湾で発生するのが「東海」、愛知県から三重県沖で発生するのが「東南海」、潮岬沖から四国沖で発生するのが「南海」という三つに区分されています。そして東南海地震と南海地震は単独で発生する場合もありますが、東海地震と東南海地震が同時に発生したり、三つが同時に発生することもあるとしています。
・684年11月26日(天武13年) 白鳳地震 (東海・東南海・南海連動?)
・887年8月22日(仁和3年) 仁和地震 (東海・東南海・南海連動?)
・1096年12月11日(嘉保3年) 永長地震 (東海・東南海連動?)
 この地震の2年2ヶ月後に南海地震(康和地震)発生
・1498年9月11日(明応7年) 明応地震 (東海・東南海連動?)
 ほぼ同時期に南海地震も発生したという説もある
・1605年2月3日(慶長9年) 慶長地震 (東海・東南海・南海連動?)
 震源地は南海トラフではないという説もある
・1707年10月28日(宝永4年) 宝永地震 (東海・東南海・南海連動?)
 49日後に富士山噴火
・1854年12月23日(嘉永7年) 安政東海地震 (東海・東南海連動)
 32時間後に安政南海地震が発生

3.東海地震は予知できる?
東海地震は1969年に東京大学教授(当時)の茂木清夫氏が遠州灘での大地震発生の可能性を指摘したのが最初で、1976年に東京大学助手(当時)の石橋克彦氏が「駿河湾地震説」を提唱し、研究が始まりました。1854年の安政東海地震では、紀伊半島潮岬沖から駿河湾までのプレートがずれたのに、1944年の東南海地震の際は紀伊半島から浜名湖まででプレートのずれが止まってしまい、浜名湖から東側の部分のプレートがずれ残りました。このため、その部分だけひずみが蓄積したままになっていると考えられたのです。
東海地震の予知の可能性の根拠は、1944年の東南海地震直前に行われた測量中に発生した通常では考えられない誤差で、これをプレスリップ(前兆すべり)といいます。プレスリップは、プレート境界の強く固着している領域の震源域の一部が地震の発生前に剥がれ、ゆっくりとすべり動き始めるとされる現象です。水準点の掛川市を基準に御前崎では年間4~5mmの沈降を続けていますが、プレスリップが発生すると沈降速度が減少して隆起に転じる可能性があり、それを歪計によって捉えようというものです。気象庁により掛川から御前崎を中心に東海地域各所に体積歪計が設置され、24時間体制の監視が行われています。
そのため東海地震は、日本で唯一直前予知のできる可能性がある地震と言われていますが、必ずプレスリップが発生するのか?発生したとしてその変化を捉えられるのか?捉えられた異常な現象が、本当に東海地震の前兆現象なのか?など、困難な点がまだまだあります。そして直前予知の現象を捉えたとしても、その時点から実際の発生がいつになるのか(例えば何時間後、何日後)というのは、現在の科学技術では不可能です。
もう10年近く前になりますが、二つの歪計が異常な値を記録して騒然となったことがありました。しかし他の歪計には異常は見られず、結局は計器の故障(電源ぎれ)が原因でした。この日が2月26日だったため「地震界の2.26事件」と呼ばれています。

4.地震防災対策強化地域判定会(判定会)
東海地域で異常な現象が捉えられた場合には、それが大規模な地震に結びつく前兆現象と関連するかどうかを緊急に判断するため、地震学研究者6名からなる地震防災対策強化地域判定会(判定会)が開催され、データの検討が行われます。毎年9月1日の防災の日に政府主催で行う防災訓練で、「判定会が招集されました」という文言を聞かれると思います。判定会が開催された場合は「東海地震に関連する情報」の中で、その事実が知らされます。
判定会の検討結果を受け、もうすぐ東海地震が起きそうだと気象庁長官が判断した場合、ただちに気象庁長官はその旨を内閣総理大臣に「地震予知情報」として報告します。そして1978年に制定された「大規模地震対策特別措置法」に基づき、内閣総理大臣が「警戒宣言」を発令します。
なお気象庁では原則毎月1回、定例の判定会を開催しており、「東海地震に関連する調査情報(定例)」として発表されています。

5.警戒宣言
大規模地震対策特別措置法による警戒が必要な地域で、①地震の揺れによる被害は震度6弱以上の地域 ②地震発生後20分以内に高い津波(沿岸部で3m以上、地上で2m以上)が来襲する地域は、地震防災対策強化地域に指定されています。強化地域の市町村は、警戒宣言が発せられると原則として以下のような処置を行います。
・電気、ガス、水道:引き続き供給するが、なるべく使用しないように呼びかける
・その他のライフライン:引き続き供給する
・NTTなどの電話:公衆電話と災害時優先回線以外の電話は、場合により通話規制を行う
・鉄道:強化地域内では最寄りの安全な駅に停車して運行を停止し、強化地域外からの侵入は禁止する
・バスやタクシー:原則として運行停止
・道路:強化地域内への進入を制限し、避難路及び緊急輸送路では交通規制、または制限減速運転(一般道路 20km/h 高速道路40km/h)を行う
・デパートやスーパー:耐震性の確保された店以外は営業を中止する
・病院:外来診療を中止する
・学校:授業を打ち切り閉鎖する。児童・生徒は帰宅させるか保護者に引き渡す

東海地震は予知が可能ということで、1978年に「大規模地震対策特別措置法」(大震法)が制定されました。しかし警戒宣言が発せられると、強化地域内では全ての社会活動や生産活動が停止します。そのため一日で莫大な損失額が発生します。
事前に様々な活動を停止することにより、人的被害や経済被害は軽減できるという試算もありますが、地震はいつ発生するか分かりません。そのまま発生しない可能性もあります。その場合、休業に伴う損失額は国が補償するのか?その辺りの事柄については、解決がなされていません。果たして総理大臣は「警戒宣言」を発する勇気があるでしょうか?
現在では東海地震が単独で発生することはなく、東南海地震や南海地震と連動する可能性が高いと予測されています。そうなると予想される被害はもっと大きくなってしまいます。事前の予知に頼らず、日頃からの防災意識を高めておくことが大切です。


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