命を守るには 自宅編
- 2016/07/11
- 06:42
いつもブログをご覧いただきありがとうございます。
前回はこれから必ず発生する二つの代表的な地震を紹介しました。地震による被害について、政府は様々な予測を行っています。東日本大震災では津波、阪神大震災では建物倒壊による圧死、そして大正関東大震災では火災により多くの犠牲者がでました。M7以上の海溝型地震では津波の発生が予想されますが、地震は発生してみないとその被害の予測がつかないのが現実です。
今回はこのような状況の中で、どの様にしたら命を守ることが出来るかについて考えてみたいと思います。
1.お住まいの地域は?
皆さんがお住まいの地域はどのような所でしょうか?大都市、郊外の住宅地、海岸近く、川沿い、山間部等、人々の居住地は様々です。その地域によって、被害の現われ方も異なってきます。また住宅地も山を切り崩した土地、以前は河川や水田だった土地、埋立地などもあります。東日本大震災では、埼玉県の内陸部で住宅に液状化の被害が発生した一帯がありました。この地域は山を切り崩して盛土をし、住宅地として開発されていました。
また大雨により、水の被害が出やすい地域もあります。九州で続く大雨により崖崩れも発生しています。また家の地盤であるのり面が崩れ、家自体が崩れ落ちてしまいました。ちょっとした雨ですぐに水が溜まる、家の裏側に山があるなど、その状況により備えも変わってきます。
2014年に豪雨による大規模な土砂災害が広島市安佐南区八木で発生しましたが、この地域の昔の名前が「八木蛇落地悪谷」という地名でした。この地名の由来は「その昔、大蛇が暴れて頻繁にこの町を滅ぼしていった」というものですが、もちろん本物の大蛇が現れるのではなく、大雨を大蛇に例えた比喩でした。そして「蛇落地」と呼ばれ蛇が落ちてくるような水害が多かったようです。更に「悪い谷」を加え、昔の人はこの地域が危険であることを伝えていました。
このように、地名はその地域の特質を現しているものもありますが、現在は多くが変更されてしまっています。やはり「浦・津・川・谷・洲・沢・砂・浜・窪(久保)・池」等のような地名がある地域は要注意です。皆さんがお住まいの地域がかつてはどんな場所だったか、一度調べてみてはいかがでしょうか。東日本大震災の後には、図書館で古地図を調べる方が多くなったそうです。
東京・木場駅の近くには「洲崎神社」という神社があり、そこには「波除碑」という碑があります。これは1791年に深川洲崎一体に襲来した高潮によって、付近の家屋がことごとく流されて多数の死者・行方不明者が出た災害を重視して、徳川幕府がこの辺り一帯の土地約18,000㎡を買い上げて空き地とし、これより海側に人が住むことを禁じ波除碑を建てたものです。
東日本大震災では、津波が襲来した境界付近には多くの神社がありました。これは過去、何度も襲来した津波から安全な場所になる目印のため建立されたものでした。またはっきりと「これより下に家を建てるな」と書いた石碑もありました。先人達の言葉を守って石碑より下に家を建設しなかった村では、実際に津波からの被害を受けることがありませんでした。このような神社は東北だけではなく、過去に津波被害を受けた地域には数多くあるようです。
谷川彰英・著 地名に隠された「南海津波」 講談社+α新書
同 地名に隠された「東京津波」 講談社+α新書
国土交通省ハザードマップポータルサイト
http://disaportal.gsi.go.jp/
2.ご自宅は?
皆さんの家は、どのようなスタイルでしょうか?一戸建ての木造や軽量鉄骨、集合住宅も低層マンションから超高層マンションまで様々です。どのような家に住んでいるかでも、防災の視点は異なってきます。
特にマンションの高層階にお住まいの方は「高層難民」になる可能性が高いです。地震が発生するとエレベーターが止まります。すぐに復旧すればいいのですが、もしも停止が数日間に亘った場合、水を貰いに行くのも不可能になります。階段を下りるならまだしも、重いものを持って自分の足で上がるとしたら、何階ぐらいまで上がることができるでしょうか?まずは自分の部屋で籠城できるだけの物資を備えておくことが必要です。東日本大震災以降の新しい高層マンションでは、5階ごとに防災倉庫を設けている物件もあるようです。それ以前の建物でも、住民達で防災訓練などがあった際、話し合ってみることが大切になってきます。
高層の建物には、それ以外にも長周期地震動による影響もあります。揺れが1往復する時間(周期)が2~10秒のもので、大きな被害をもたらす可能性があります。その危険性が認識され始めたのは最近になってからで、以前は超高層ビルの数も少なく、被害も目に見えませんでした。そのため一般的な設計には長周期地震動は考慮されてきませんでした。皆様もニュースでご覧になったと思いますが、東日本大震災の時、多数の高層ビルが非常に大きく揺れる現象が捉えられ、改めて注目されることになりました。
南海トラフ沿いのM8~M9級地震では長周期地震動が発生し、超高層ビルが集中している東京・名古屋・大阪の大都市圏では、10分以上揺れ続けるとされています。特に名古屋や大阪では震源域に近いため、揺れが更に大きくなる可能性があります。ビル自体は倒壊することはないと言われていますが、揺れが長く続くと中にいる人は避難がなかなか出来ず、船酔いのような自律神経の失調が起きる恐れもあります。また揺れ幅が6mに達すると、固定していない家具は部屋の隅から隅へ飛ぶこともあり、負傷の危険も高くなってきます。
気象庁 長周期地震動説明ビデオ
http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/choshuki/choshuki_eq5.html
防災科学技術研究所 長周期地震動に関する振動台実験「リビング編」
https://www.youtube.com/watch?v=Ro-VSxVh63Y
防災科学技術研究所 長周期地震動に関する振動台実験「オフィス編」
https://www.youtube.com/watch?v=VdqfslGAvEI
ビデオをご覧になればお分かりと思いますが、最初は「あれ?」という感じの動きから始まります。そしてどんどん大変な状態に・・・もし、最初の地震で揺れている最中に次の地震が連動で発生し、その地震による長周期地震動が更に加わったら、一体どのような揺れになってしまうのか想像が出来ません。揺れの動きが複雑になるため、それこそビルがポッキリと折れてしまうかもしれません!(映画の中では折れています)
ここまでいってしまったら転倒防止も何もありませんが、次回は少しでも命を守れる確率が高くなる家の中の防災について紹介したいと思います。
前回はこれから必ず発生する二つの代表的な地震を紹介しました。地震による被害について、政府は様々な予測を行っています。東日本大震災では津波、阪神大震災では建物倒壊による圧死、そして大正関東大震災では火災により多くの犠牲者がでました。M7以上の海溝型地震では津波の発生が予想されますが、地震は発生してみないとその被害の予測がつかないのが現実です。
今回はこのような状況の中で、どの様にしたら命を守ることが出来るかについて考えてみたいと思います。
1.お住まいの地域は?
皆さんがお住まいの地域はどのような所でしょうか?大都市、郊外の住宅地、海岸近く、川沿い、山間部等、人々の居住地は様々です。その地域によって、被害の現われ方も異なってきます。また住宅地も山を切り崩した土地、以前は河川や水田だった土地、埋立地などもあります。東日本大震災では、埼玉県の内陸部で住宅に液状化の被害が発生した一帯がありました。この地域は山を切り崩して盛土をし、住宅地として開発されていました。
また大雨により、水の被害が出やすい地域もあります。九州で続く大雨により崖崩れも発生しています。また家の地盤であるのり面が崩れ、家自体が崩れ落ちてしまいました。ちょっとした雨ですぐに水が溜まる、家の裏側に山があるなど、その状況により備えも変わってきます。
2014年に豪雨による大規模な土砂災害が広島市安佐南区八木で発生しましたが、この地域の昔の名前が「八木蛇落地悪谷」という地名でした。この地名の由来は「その昔、大蛇が暴れて頻繁にこの町を滅ぼしていった」というものですが、もちろん本物の大蛇が現れるのではなく、大雨を大蛇に例えた比喩でした。そして「蛇落地」と呼ばれ蛇が落ちてくるような水害が多かったようです。更に「悪い谷」を加え、昔の人はこの地域が危険であることを伝えていました。
このように、地名はその地域の特質を現しているものもありますが、現在は多くが変更されてしまっています。やはり「浦・津・川・谷・洲・沢・砂・浜・窪(久保)・池」等のような地名がある地域は要注意です。皆さんがお住まいの地域がかつてはどんな場所だったか、一度調べてみてはいかがでしょうか。東日本大震災の後には、図書館で古地図を調べる方が多くなったそうです。
東京・木場駅の近くには「洲崎神社」という神社があり、そこには「波除碑」という碑があります。これは1791年に深川洲崎一体に襲来した高潮によって、付近の家屋がことごとく流されて多数の死者・行方不明者が出た災害を重視して、徳川幕府がこの辺り一帯の土地約18,000㎡を買い上げて空き地とし、これより海側に人が住むことを禁じ波除碑を建てたものです。
東日本大震災では、津波が襲来した境界付近には多くの神社がありました。これは過去、何度も襲来した津波から安全な場所になる目印のため建立されたものでした。またはっきりと「これより下に家を建てるな」と書いた石碑もありました。先人達の言葉を守って石碑より下に家を建設しなかった村では、実際に津波からの被害を受けることがありませんでした。このような神社は東北だけではなく、過去に津波被害を受けた地域には数多くあるようです。
谷川彰英・著 地名に隠された「南海津波」 講談社+α新書
同 地名に隠された「東京津波」 講談社+α新書
国土交通省ハザードマップポータルサイト
http://disaportal.gsi.go.jp/
2.ご自宅は?
皆さんの家は、どのようなスタイルでしょうか?一戸建ての木造や軽量鉄骨、集合住宅も低層マンションから超高層マンションまで様々です。どのような家に住んでいるかでも、防災の視点は異なってきます。
特にマンションの高層階にお住まいの方は「高層難民」になる可能性が高いです。地震が発生するとエレベーターが止まります。すぐに復旧すればいいのですが、もしも停止が数日間に亘った場合、水を貰いに行くのも不可能になります。階段を下りるならまだしも、重いものを持って自分の足で上がるとしたら、何階ぐらいまで上がることができるでしょうか?まずは自分の部屋で籠城できるだけの物資を備えておくことが必要です。東日本大震災以降の新しい高層マンションでは、5階ごとに防災倉庫を設けている物件もあるようです。それ以前の建物でも、住民達で防災訓練などがあった際、話し合ってみることが大切になってきます。
高層の建物には、それ以外にも長周期地震動による影響もあります。揺れが1往復する時間(周期)が2~10秒のもので、大きな被害をもたらす可能性があります。その危険性が認識され始めたのは最近になってからで、以前は超高層ビルの数も少なく、被害も目に見えませんでした。そのため一般的な設計には長周期地震動は考慮されてきませんでした。皆様もニュースでご覧になったと思いますが、東日本大震災の時、多数の高層ビルが非常に大きく揺れる現象が捉えられ、改めて注目されることになりました。
南海トラフ沿いのM8~M9級地震では長周期地震動が発生し、超高層ビルが集中している東京・名古屋・大阪の大都市圏では、10分以上揺れ続けるとされています。特に名古屋や大阪では震源域に近いため、揺れが更に大きくなる可能性があります。ビル自体は倒壊することはないと言われていますが、揺れが長く続くと中にいる人は避難がなかなか出来ず、船酔いのような自律神経の失調が起きる恐れもあります。また揺れ幅が6mに達すると、固定していない家具は部屋の隅から隅へ飛ぶこともあり、負傷の危険も高くなってきます。
気象庁 長周期地震動説明ビデオ
http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/choshuki/choshuki_eq5.html
防災科学技術研究所 長周期地震動に関する振動台実験「リビング編」
https://www.youtube.com/watch?v=Ro-VSxVh63Y
防災科学技術研究所 長周期地震動に関する振動台実験「オフィス編」
https://www.youtube.com/watch?v=VdqfslGAvEI
ビデオをご覧になればお分かりと思いますが、最初は「あれ?」という感じの動きから始まります。そしてどんどん大変な状態に・・・もし、最初の地震で揺れている最中に次の地震が連動で発生し、その地震による長周期地震動が更に加わったら、一体どのような揺れになってしまうのか想像が出来ません。揺れの動きが複雑になるため、それこそビルがポッキリと折れてしまうかもしれません!(映画の中では折れています)
ここまでいってしまったら転倒防止も何もありませんが、次回は少しでも命を守れる確率が高くなる家の中の防災について紹介したいと思います。