新型コロナウイルス肺炎について
- 2020/01/30
- 15:21
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
2020年は年が新しくなった途端に、1月3日には米軍によるイランのソレイマニ司令官の暗殺、8日にはそれに対するアメリカへの報復攻撃という、戦争へのきな臭い流れで始まりました。幸いにもイラン・アメリカ両国とも全面戦争は望んではおらず、米軍の実質的な被害もなかったため、報復の連鎖で戦争が拡大するという最悪な状況は当面は回避されたように見えます。しかし、イランの民間航空機が誤って撃墜され、180名近い人命が失われるという悲劇が起きてしまいました。
そして現在は中国・武漢から発生した新型肺炎が、世界中に影響を及ぼし始めています。今回はこの肺炎について取り上げたいと思います。
1. 現在までの流れ
1月30日現在、肺炎の死者は中国本土で170人を超えました。感染者は7700人以上、このうち重症者は1200人を超えています。感染の疑いがある人は9200人近く、感染者との濃厚接触が確認されて医学的な監察下にある人は6万人近くにのぼっています。新型肺炎は中国全土31省・自治区・管轄区に感染が拡大しています。中国本土では2002~2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)では5327人の感染者が出ましたが、今回の新型肺炎はこれを上回っています。
中国国外での感染者は、日本を含む世界の19の国と地域に拡大しています。国外の感染者は、これまでは中国からの観光客が滞在先の国で発症したり、中国へ出張した人が帰国後に発症した事例のみでした。しかし、1月28日には、中国の団体客を乗せていたバスの運転手やツアーガイドが発症するという、二次感染(ヒトヒト感染)が原因と考えられる事例が起きてしまいました。
この新型肺炎の患者が武漢市で初めて確認されたのは、昨年12月8日のようでした。その後も原因不明の肺炎の症例が増えているという中国メディアの報道が確認できます。これが新型コロナウイルスの肺炎かどうかは確認できませんが、少なくとも12月8日には「原因不明の肺炎」症例が確認されていました。
その後、ネット上では12月30日に「原因不明の肺炎に関する緊急通知」という武漢市衛生当局が出したとされる文書が出回ったとあり、更に各医療機関に宛てた「武漢市の海鮮市場で原因不明の肺炎患者が相次いでいるので、同様の患者数を報告してほしい」旨の緊急通知があったようです。この2日後の1月1日にウイルス発生源と指摘された海鮮市場の休業が発表されました。しかし最初の確認から閉鎖まで3週間近くかかってしまい、中国国内でも情報公開と対応の遅れが指摘されています。3月に開催される全人代の前に地方政府ごとの大会があり、その無事開催のために情報を隠匿していたようで、中央政府に対しては「原因不明の肺炎患者が発生したが、感染拡大は完全にコントロール出来ている」という嘘の報告がなされていたようです。
武漢市で発生している新型肺炎の原因が新型コロナウイルスによるものと中国メディアが報道したのが1月9日で、最初に確認された症例から1ヶ月が経過しています。ちょうど旧正月の国民大移動が始まった頃にあたります。習近平国家主席が初めて指示を出したのが1月20日。そして中国の専門家チームが「ヒトヒト感染」が起こっていることを明らかにしました。これを境に中国メディアが肺炎のニュースを大きく取り上げるようになり、市民の警戒レベルが一気に高まりました。23日には武漢の空港や駅が閉鎖され、27日には海外への団体旅行が禁止されました。
武漢をはじめとする13都市では移動制限が発令され、人の行き来が出来なくなっています。当初は通行可能だった大型幹線道路も、許可のある車しか通行できなくなっているようです。武漢市に隣接するエリアでは、道路に障害物を置き、武漢市民が自分達の地域に入らないようにという騒ぎも始まっています。しかし既に各地へ移動した人もかなりの数に上り、今後、新型肺炎を発症する人が爆発的に増加する可能性が高くなっています。
■厚生労働省 感染症情報
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
2. どこから発生したか
今回の感染源は、最初に患者が発生した武漢市にある海鮮市場が発生源と言われています。しかしウイルス研究の専門家は、シーフード市場で最も感染性の高い疾患は、口から入るA型肝炎及び腸炎ビブリオの感染症で、一般的に肺炎ウイルスが水産物市場から出てくることを想像するのは難しいと述べています。
この海鮮市場では魚介類のほかにも実際には鳥獣や犬の肉の店があり、通りには動物の内臓などが散らばっており、衛生状態はかなり悪いようです。コロナウイルスは「人畜共通ウイルス」とされており、ヒトに感染する前に宿主となっていた動物とヒトとの接触から始まったとも思われています。
最近までの遺伝暗号の解析によると、この新型ウイルスは中国にいる2種類のコウモリが持つコロナウイルスと関連していることが判明しています。そのため当初はコウモリがウイルスの起源だと考えられましたが、更にウイルスのタンパク質コードの分析を進めたところ、今回の新型ウイルスに最も近いのは「ヘビ」だったそうです。武漢の市場では食用としてのヘビも販売されていたので、ここからヒトへ感染していった可能性も考えられています。
また武漢市には、SARSとエボラ出血熱を研究する武漢国立生物安全研究所が存在しています。2015年に建設されたこの研究所は、バイオセーフティレベル4の基準を満たすように設計された国内初の研究所で、最も危険な病原体を扱う研究所です。2017年には米国のバイオセーフティ専門家が、この施設からウイルスが漏洩する可能性を警告していました。米ワシントンタイム紙や英デイリーメール紙は、この研究所から何らかの細菌か生物兵器が漏れたと報道しています。約32km離れた場所に海鮮市場があり、この研究所から漏れたウイルスが突然変異を起こし、市場での動物と人間の接触を通じて感染したと考える科学者もいます。
3. ウイルスから身を守るには
今回の新型コロナウイルスは、発症していない人からも感染するケースが出ています。潜伏期間は1~14日と幅があり、症状がなければ職場などいろいろと行動範囲も広くなり、知らないうちにウイルスをばら撒いているかもしれません。
ウイルスに感染しないためには、基本的には季節性インフルエンザの予防と同様の方法しかありません。身の回りを清潔に保ち、十分な睡眠とバランスの取れた食事や基礎的な体力をつける、規則正しい生活を送ることが基本になります。そして外出時のマスク着用、なるべく人の集まる場所へは行かない、帰宅時のうがい、手洗いという基本的なものになります。特にいろいろな箇所を触った手でそのまま顔を触ったりすると、眼の粘膜から感染する危険性もあります。
・正しいマスクの着用方法
www.medicom-japan.com/special/mask.html
・正しい手の洗い方
http://www.medicom-japan.com/special/hand-washing.html
・正しい手指消毒の方法
http://www.medicom-japan.com/special/hand-hygiene.html
・マスクの正しいつけ方とうがいの仕方
https://www.s-re.jp/magazine/health/30/
この新型肺炎がどこまで拡大するかはまだわかりません。亡くなられた方は高齢者や、糖尿病や高血圧、肝硬変などの基礎疾患を抱えていた方など、免疫力が低く、もともと健康状態が悪くなっていた方が重症化しやすいようです。
まずは自分の体調を整えて、風邪や季節性インフルエンザにも罹患しないように、しっかりと防御をして、日々の生活を送っていきたいと思います。
2020年は年が新しくなった途端に、1月3日には米軍によるイランのソレイマニ司令官の暗殺、8日にはそれに対するアメリカへの報復攻撃という、戦争へのきな臭い流れで始まりました。幸いにもイラン・アメリカ両国とも全面戦争は望んではおらず、米軍の実質的な被害もなかったため、報復の連鎖で戦争が拡大するという最悪な状況は当面は回避されたように見えます。しかし、イランの民間航空機が誤って撃墜され、180名近い人命が失われるという悲劇が起きてしまいました。
そして現在は中国・武漢から発生した新型肺炎が、世界中に影響を及ぼし始めています。今回はこの肺炎について取り上げたいと思います。
1. 現在までの流れ
1月30日現在、肺炎の死者は中国本土で170人を超えました。感染者は7700人以上、このうち重症者は1200人を超えています。感染の疑いがある人は9200人近く、感染者との濃厚接触が確認されて医学的な監察下にある人は6万人近くにのぼっています。新型肺炎は中国全土31省・自治区・管轄区に感染が拡大しています。中国本土では2002~2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)では5327人の感染者が出ましたが、今回の新型肺炎はこれを上回っています。
中国国外での感染者は、日本を含む世界の19の国と地域に拡大しています。国外の感染者は、これまでは中国からの観光客が滞在先の国で発症したり、中国へ出張した人が帰国後に発症した事例のみでした。しかし、1月28日には、中国の団体客を乗せていたバスの運転手やツアーガイドが発症するという、二次感染(ヒトヒト感染)が原因と考えられる事例が起きてしまいました。
この新型肺炎の患者が武漢市で初めて確認されたのは、昨年12月8日のようでした。その後も原因不明の肺炎の症例が増えているという中国メディアの報道が確認できます。これが新型コロナウイルスの肺炎かどうかは確認できませんが、少なくとも12月8日には「原因不明の肺炎」症例が確認されていました。
その後、ネット上では12月30日に「原因不明の肺炎に関する緊急通知」という武漢市衛生当局が出したとされる文書が出回ったとあり、更に各医療機関に宛てた「武漢市の海鮮市場で原因不明の肺炎患者が相次いでいるので、同様の患者数を報告してほしい」旨の緊急通知があったようです。この2日後の1月1日にウイルス発生源と指摘された海鮮市場の休業が発表されました。しかし最初の確認から閉鎖まで3週間近くかかってしまい、中国国内でも情報公開と対応の遅れが指摘されています。3月に開催される全人代の前に地方政府ごとの大会があり、その無事開催のために情報を隠匿していたようで、中央政府に対しては「原因不明の肺炎患者が発生したが、感染拡大は完全にコントロール出来ている」という嘘の報告がなされていたようです。
武漢市で発生している新型肺炎の原因が新型コロナウイルスによるものと中国メディアが報道したのが1月9日で、最初に確認された症例から1ヶ月が経過しています。ちょうど旧正月の国民大移動が始まった頃にあたります。習近平国家主席が初めて指示を出したのが1月20日。そして中国の専門家チームが「ヒトヒト感染」が起こっていることを明らかにしました。これを境に中国メディアが肺炎のニュースを大きく取り上げるようになり、市民の警戒レベルが一気に高まりました。23日には武漢の空港や駅が閉鎖され、27日には海外への団体旅行が禁止されました。
武漢をはじめとする13都市では移動制限が発令され、人の行き来が出来なくなっています。当初は通行可能だった大型幹線道路も、許可のある車しか通行できなくなっているようです。武漢市に隣接するエリアでは、道路に障害物を置き、武漢市民が自分達の地域に入らないようにという騒ぎも始まっています。しかし既に各地へ移動した人もかなりの数に上り、今後、新型肺炎を発症する人が爆発的に増加する可能性が高くなっています。
■厚生労働省 感染症情報
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
2. どこから発生したか
今回の感染源は、最初に患者が発生した武漢市にある海鮮市場が発生源と言われています。しかしウイルス研究の専門家は、シーフード市場で最も感染性の高い疾患は、口から入るA型肝炎及び腸炎ビブリオの感染症で、一般的に肺炎ウイルスが水産物市場から出てくることを想像するのは難しいと述べています。
この海鮮市場では魚介類のほかにも実際には鳥獣や犬の肉の店があり、通りには動物の内臓などが散らばっており、衛生状態はかなり悪いようです。コロナウイルスは「人畜共通ウイルス」とされており、ヒトに感染する前に宿主となっていた動物とヒトとの接触から始まったとも思われています。
最近までの遺伝暗号の解析によると、この新型ウイルスは中国にいる2種類のコウモリが持つコロナウイルスと関連していることが判明しています。そのため当初はコウモリがウイルスの起源だと考えられましたが、更にウイルスのタンパク質コードの分析を進めたところ、今回の新型ウイルスに最も近いのは「ヘビ」だったそうです。武漢の市場では食用としてのヘビも販売されていたので、ここからヒトへ感染していった可能性も考えられています。
また武漢市には、SARSとエボラ出血熱を研究する武漢国立生物安全研究所が存在しています。2015年に建設されたこの研究所は、バイオセーフティレベル4の基準を満たすように設計された国内初の研究所で、最も危険な病原体を扱う研究所です。2017年には米国のバイオセーフティ専門家が、この施設からウイルスが漏洩する可能性を警告していました。米ワシントンタイム紙や英デイリーメール紙は、この研究所から何らかの細菌か生物兵器が漏れたと報道しています。約32km離れた場所に海鮮市場があり、この研究所から漏れたウイルスが突然変異を起こし、市場での動物と人間の接触を通じて感染したと考える科学者もいます。
3. ウイルスから身を守るには
今回の新型コロナウイルスは、発症していない人からも感染するケースが出ています。潜伏期間は1~14日と幅があり、症状がなければ職場などいろいろと行動範囲も広くなり、知らないうちにウイルスをばら撒いているかもしれません。
ウイルスに感染しないためには、基本的には季節性インフルエンザの予防と同様の方法しかありません。身の回りを清潔に保ち、十分な睡眠とバランスの取れた食事や基礎的な体力をつける、規則正しい生活を送ることが基本になります。そして外出時のマスク着用、なるべく人の集まる場所へは行かない、帰宅時のうがい、手洗いという基本的なものになります。特にいろいろな箇所を触った手でそのまま顔を触ったりすると、眼の粘膜から感染する危険性もあります。
・正しいマスクの着用方法
www.medicom-japan.com/special/mask.html
・正しい手の洗い方
http://www.medicom-japan.com/special/hand-washing.html
・正しい手指消毒の方法
http://www.medicom-japan.com/special/hand-hygiene.html
・マスクの正しいつけ方とうがいの仕方
https://www.s-re.jp/magazine/health/30/
この新型肺炎がどこまで拡大するかはまだわかりません。亡くなられた方は高齢者や、糖尿病や高血圧、肝硬変などの基礎疾患を抱えていた方など、免疫力が低く、もともと健康状態が悪くなっていた方が重症化しやすいようです。
まずは自分の体調を整えて、風邪や季節性インフルエンザにも罹患しないように、しっかりと防御をして、日々の生活を送っていきたいと思います。