「噴火津波について」

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。2019年を迎えたばかりの3日に、熊本県でM5.1、最大震度6弱の地震が発生しました。震度6弱が観測された和水町では一部塀の破損があったようですが、幸いにも大きな被害はなかったようです。マグニチュードに対して震度が大きかったのは、和水町周辺の地表付近に軟らかい地盤が存在し、その地盤の影響で揺れが増幅されたようです。年末の12月22日には、インドネシアのスンダ海峡...

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
2019年を迎えたばかりの3日に、熊本県でM5.1、最大震度6弱の地震が発生しました。震度6弱が観測された和水町では一部塀の破損があったようですが、幸いにも大きな被害はなかったようです。マグニチュードに対して震度が大きかったのは、和水町周辺の地表付近に軟らかい地盤が存在し、その地盤の影響で揺れが増幅されたようです。
年末の12月22日には、インドネシアのスンダ海峡で火山噴火による津波が発生し、500人以上の死者・行方不明者を出してしまいました。今回はこの噴火津波について取り上げたいと思います。

1.概 要
2018年12月22日午後9時半(日本時間22日午後11時半)頃、インドネシア西部のスマトラ島とジャワ島の間のスンダ海峡で津波が発生しました。特にジャワ島西部の海岸沿いで、甚大な被害が発生しました。この津波の原因は、スンダ海峡にあるアナク・クラカタウ山の火山活動により山体が崩壊し、海に流れ込んだ土砂により津波が発生したと考えられています。噴火後、20分ほどで津波が襲来し、死者429人、負傷者1,485人、行方不明154人、1万6000人以上が家を失うという被害が出てしまいました。津波の高さは3~4mで、標高13m付近まで遡上した場所もあったようです。
インドネシアでは2004年12月26日のスマトラ大地震以降、2005年、2009年、2010年にも津波を伴う大地震がありました。2018年7月以降も中部ロンボク島では地震が断続的に発生し、564人が死亡しました。9月28日には中部スラウェシ島で起きた地震と津波で、2101人の死亡が確認されました。これらの災害が続き、インドネシアの人々は津波の知識も持ち、「地震が起きたら津波が来る」と避難行動もとっていました。しかし、今回は地震の揺れもなく、いきなり津波が襲来したためより被害が拡大してしまいました。
■津波にのまれるライブ会場
動画サイトへ→ https://www.youtube.com/watch?v=RUaYf9uXTYs

アナク・クラカタウ山は2018年6月以降、ほぼ毎日のように噴火が観測されていました。現地の人々にとっては、噴煙を吐く火山島は日々の生活の景色の一部になっており、小さな噴火のたびに避難することは不可能でした。
アナク・クラカタウ火山島の位置にはもともとクラカタウ島という火山島が存在していましたが、1883年8月の噴火で大部分が消失しました。この時の噴火では
・最高で高さ41mの巨大な津波が発生して3万人以上が死亡
・噴出した高熱の火山灰で数千人が死亡
・噴火音は数千キロ離れた場所でも聞こえたという
・爆発後の1年で、世界の平均気温は摂氏1度以上低下した
このような激しい噴火でクラカタウ島はほとんど消滅し、その後、1927年の噴火によりアナク・クラカタウ島が誕生しました。
今回の噴火により、アナク・クラカタウ山の標高は噴火前の338mから1/3の110mになってしまいました。現地調査を行った研究者は「短い周期で次々と押し寄せた今回の津波は、地震による津波より瞬間的な破壊力が強かった」と指摘しています。22日の噴火後も、斜面から岩や火山灰などの崩落が続き、噴火活動も依然として活発なため、新たな津波の可能性もありインドネシア政府は警戒を呼びかけています。
国土地理院 「だいち2号」による画像
動画サイトへ→http://www.gsi.go.jp/cais/topic181225-index.html


2.日本でもあった噴火津波
今回の噴火による津波発生は、日本でも過去に多くの発生事例があります。その代表的な事例を紹介します。

(1) 北海道駒ヶ岳
1640年(寛永17年)7月31日、大規模噴火が発生して南側と東側の山体が一部崩落し、岩屑なだれが大沼と内浦湾になだれ込み津波が発生、沿岸で700余名が溺死しました。古文書の記録によると、津波の遡上高は最大8.5mあったようです。また山体崩壊と同時に火砕流も発生しました。山体崩壊後、8月2日まで軽石・火山灰を激しく噴出し、降灰、火砕流が発生、その活動は8月下旬まで続きました。

(2) 北海道渡島(おしま)大島
北海道南端の渡島半島の西側沖合約60kmに位置する渡島大島が、1741年(寛保元年)8月27日に大噴火を起こしました。山体崩壊から約10分後に半島西側の江差から松前にかけて、約15分後に奥尻島全域や、せたな町などを大津波が襲った記録が残っています。この津波による死者は1,467人で、最大の被災地は江差と松前の中間に位置する上ノ国町の石崎地区でした。50軒ほどあった家屋が全戸流失し、住民一人が生き残った以外は全て溺死したと伝えられています。この地区は海を隔てた渡島大島に面していたわけではなく、島との間には石崎川と、更に海側には砦が建つ高い丘陵がありました。しかし津波はこの丘陵を右から左へ乗り越え、建物を破壊したのです。丘陵の高さは海抜19.4mありましたが、渡島大島の噴火による津波は、この高さの丘陵を乗り越えるほど巨大なものでした。この津波の原因は、噴火による大規模な山体崩壊という説と、低周波地震によるものという説があります。
■北海道新聞 火山噴火が原因の津波
動画サイトへ→https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181230-00010000-doshin-hok.view-000

(3) 雲仙普賢岳
雲仙普賢岳は今から223年前、1791年~1792年にかけて噴火活動が活発化し、その最末期の1792年5月21日(寛政4年4月朔日)の夜、M6.4の地震が発生し、島原城下町の西側にそびえる眉山が大規模な山体崩壊を起こしました。崩壊した岩石や土砂が流れ、島原城下町南部と付近の農村を埋め尽くしただけでなく、有明海に流入して大津波を発生させました。この大津波は島原半島の沿岸や有明海対岸の熊本や天草の沿岸を襲い、さらに熊本の海岸で反射した津波は再び島原に返り被害を拡大させました。津波の遡上高は熊本側で15~20mとされ、三角町大田尾では22.5mに達しました。島原半島側では布津大崎鼻で57m以上との記録もあります。この災害による死者は島原側で5000人、肥後側で1万人にも達しました。この時の災害は「島原大変肥後迷惑」と呼ばれ、日本最悪の火山災害でした。
雲仙普賢岳は最近でも1990年から噴火が始まり、翌1991年6月3日に大火砕流が発生し、報道関係者や火山学者、消防団員など43名の死者、9名の行方不明者を出しました。
■国土交通省 九州地方整備局 雲仙復興事務所
動画サイトへ→http://www.qsr.mlit.go.jp/unzen/sabo/omake/02taihenki.html

2013年11月から始まった西ノ島の噴火では、もし山体崩壊が生じると、父島に1mを超す津波が来る可能性を示すシミュレーション結果が出ています。1896年の明治三陸津波は地震による津波でしたが、揺れ自体はかすかな揺れだったため、ほとんど警戒されていなかったところに巨大津波が押し寄せ、2万人を超える犠牲者が出てしまいました。
津波を発生させる要因は多様です。沿岸部などに残る過去の津波の痕跡を調べて、各地での発生メカニズムを検討することも、津波対策の充実になります。また津波の早期感知も大切になります。各地の沿岸や沖合などに設置した潮位計や波浪計、海底津波計が異変を捉えることが出来れば津波警報を出すことはできますが、今回のインドネシアのように火山噴火による山体崩壊の予測は不可能と言えるでしょう。まず基本となるのは迅速な避難です。





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南海トラフ地震の避難計画について

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。南海トラフ地震は、M8~M9クラスの地震が30年以内に70~80%の確率で発生すると言われていますが、国の中央防災会議が前兆地震での避難計画についての報告書案をまとめました。今回はこのことについて取り上げたいと思います。1.これまでの経緯南海トラフ地震(南海・東南海・東海地震)は、これまでにも100年から150年周期で繰り返し発生してきました。直近の地震は1944年に昭...

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
南海トラフ地震は、M8~M9クラスの地震が30年以内に70~80%の確率で発生すると言われていますが、国の中央防災会議が前兆地震での避難計画についての報告書案をまとめました。今回はこのことについて取り上げたいと思います。

1.これまでの経緯
南海トラフ地震(南海・東南海・東海地震)は、これまでにも100年から150年周期で繰り返し発生してきました。直近の地震は1944年に昭和東南海地震、1946年に昭和南海地震が発生しており、東海地震の想定震源域は1854年の安政東海地震以来動いていませんでした。そのため将来必ず発生する東海地震を予知する目的で、24時間体制の観測体制が敷かれ、1978年には「大規模地震対策特別措置法(大震法)」が施行され、研究が続けられてきました。
もし異常な現象が捉えられた場合は、それが大規模な地震に結びつく前兆現象と関連するかどうかを緊急に判断するため、地震学研究者6名からなる地震防災対策強化地域判定会が開催され、データの検討が行われます。その結果、もうすぐ東海地震が起きそうだと気象庁長官が判断した場合、ただちにその旨を内閣総理大臣に「地震予知情報」として報告し、大震法に基づき「警戒宣言」を発令することになっていました。毎年9月1日の防災訓練では、この手順が行われているのをニュースで目にしていると思います。
東海地震だけではなく、南海・東南海・東海を含めた「南海トラフ地震」という考え方になったのは、2011年3月11日に発生した東日本大震災がきっかけです。この時は岩手県から茨城県までの南北500キロが震源域になり、広範囲で地震が連動するのを目の当たりにしました。東海地震が特別視されてきたのは、①震源が陸域に近く、地下の異常を捉えやすい ②1944~46年の南海トラフの地震の際に断層が動かず、ひずみがたまっている、などと考えられてきたためです。
しかし、この40年間で観測網が整備され研究が進むと、「地震予知は出来ない」との見方が逆に強まりました。予知が出来なければ警戒宣言は出せず、大震法の前提自体が崩れます。更に前回の南海地震から70年以上が経過し、東海地震単独ではなく、南海トラフ全域で起こる巨大地震を警戒する必要が出て来ました。これまで東海地震が単独で発生したことはなく、大震法見直しや広域での防災対策を求める声が高まり、2016年9月より新たな防災体制の議論が始まりました。

2.見直しの内容
見直しでは、大震法に基づく計画に代わり新たに南海トラフ沿いの広域で、事前避難などを含めた防災計画を策定することを求めました。
まず避難を開始する前提として「予兆」を捉えた場合ではなく、南海トラフのどこかで実際に地震が発生した場合を想定しました。南海トラフの地震は、これまで駿河湾から四国沖にかけて複数の震源が同時に、もしくは32時間後や2年後などの時間差で発生しています。このため、南海トラフの東側で大地震が起きてからの3日間程度は、「大規模地震の発生が特段に高い」として、被害がなかった西側沿岸部の住民も避難することを提案しました。4日目以降や、巨大地震よりも一回り小さい「前震」らしい地震が発生した場合は、高齢者や自力避難が困難な人は一週間ほど安全な場所に避難するとしました。
そして南海トラフの地震について、「臨時」と「定例」の2種類の情報が新たに発表されることになりました。臨時情報は、①南海トラフ沿いでM7以上の地震が発生するなどして、大規模地震と関連するか調査を開始・継続 ②大規模地震の可能性が高まった ③大規模地震の可能性が高くなくなった、場合にそれぞれ気象庁が発信します。

3.避難計画報告書案
当初は南海トラフのどこかで実際に地震が発生した場合の避難を想定しましたが、前兆となり得る現象が起きた場合、被災していなくても避難を始めるなど、住民や企業がとるべき防災対応が示されました。国は今後、対応をより具体化させた指針を作成し、自治体や企業には指針に基づく防災計画の策定を求めます。
前兆現象としては、①巨大地震の想定震源域のうち、東側か西側のどちらかをM8以上の地震が襲う「半割れ」②想定震源域の一部でM7以上の地震が起きる「一部割れ」③想定震源域で断層がずれ動く「ゆっくりすべり」の3つです。
前兆現象が起きた場合「臨時情報」が出されますが、①~③のいずれかに当たると評価された時には、最短2時間以内で2回目の発表が行われます。その上で、
①の場合:直近の2事例(昭和と安政)で東西が連動した地震が起きているので、揺れに襲われていない側でも、地震発生後の避難では津波到達までに逃げ切れない地域の住民と、逃げ切れない可能性のある地域の高齢者や障害者らのあらかじめの避難
②の場合:過去の事例から①ほど大地震が起きる可能性は高くないため自主避難を基本とし、期間は一週間程度
③の場合:避難を求めず、日常生活の中で警戒レベルを引き上げる
以上の3パターンに分けました。
企業は①、②とも原則的に事業は継続します。内閣府は年明け以降、自治体や企業が防災計画を策定するための指針作りを開始します。

4.事前避難の課題点
臨時情報が発表された際に、社会が混乱に陥る可能性があります。住民の不安や動揺を抑え、冷静な避難行動に結びつけるには、詳細な指針や防災計画の策定が不可欠ですが、まだまだその動きは始まったばかりです。
南海トラフ巨大地震は連動して動いているのも事実ですが、ほぼ同時に発生したり25時間後に発生した場合もあれば、直近の昭和南海地震と昭和東南海地震の時は2年間の間隔がありました。そのため一週間の避難も空振りに終わることもあり得ます。
そしてどこで一週間の避難生活を行うのか、その環境整備も求められます。特に高齢者や病人など、医療や介護が必要とされる方々もいらっしゃいます。その方々を収容できるだけのスペースがあるのか、避難期間中の体調管理はできるのか等、様々な問題が存在します。

内閣府は今年3月、巨大地震が発生時に3m以上の津波などが想定される29都道府県707市町村を対象にアンケート調査を行い、699市町村が回答。臨時情報発表後の避難勧告や避難指示などの発令について、165自治体(23.6%)が「検討の必要なし」と回答しました。その理由としては「予測の確度が高くない」「情報の内容がよくわからない」などが挙がりました。「検討の必要あり」は498自治体(71.2%)でしたが、避難勧告などを「既に検討している」としたのは36自治体で、全体の僅か5.2%でした。一方、「避難所を開設し、地震が発生しなかった場合の補助制度を整備してほしい」といった要望もありました。
「事前避難」と言うのは簡単ですが、実際に避難場所を開設し、そしてそこで住民達が生活するための食事を始めとする必需品も膨大な量、そして経費もかかります。検討を考えている自治体も、現実的な問題に直面し、前に進めないというのが実情だと思います。
南海トラフ巨大地震は必ず発生します。それが連動ではなく単発だとしても、必ず発生します。そして該当地域以外に居住する人々も、ひとたび大地震が発生すると、その後、数年~十数年の影響が及びます。行政を当てにするのではなく、私達一人一人が防災意識を高め、身の安全について考えていく必要があるのではないでしょうか。


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「大避難」について

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。現在、台風13号が関東地方に近付きつつあります。970hPaという大型で8日から9日にかけて関東地方と東北太平洋側にかなり接近し、上陸する恐れもあります。8日夕方までに予想される24時間雨量は、最大で関東甲信100ミリ、東北80ミリ。その後の24時間は、関東甲信400ミリ、東北300ミリとされ、気象庁は土砂災害や河川氾濫への警戒を呼びかけています。7月の西日本豪雨をはじめ、...

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
現在、台風13号が関東地方に近付きつつあります。970hPaという大型で8日から9日にかけて関東地方と東北太平洋側にかなり接近し、上陸する恐れもあります。8日夕方までに予想される24時間雨量は、最大で関東甲信100ミリ、東北80ミリ。その後の24時間は、関東甲信400ミリ、東北300ミリとされ、気象庁は土砂災害や河川氾濫への警戒を呼びかけています。7月の西日本豪雨をはじめ、私達の暮らしを守る堤防などのインフラの強度を上回る災害が発生してきています。このような大災害が現代の都市でひとたび起きると、数十万人規模の人々が一斉に避難を迫られる事態が起こり得ます。これが「大避難」です。しかも最新の科学的分析から、もし現代の都市で大避難を必要とする災害が起きた場合、避難そのものが困難になったり、予期せぬ混乱が起こったりすることがわかってきました。
今回は昨年掲載した「大避難」について、再度、考えてみたいと思います。

1.災害情報について
避難を呼びかける前提には、各種の災害情報があります。近年は技術の進歩に伴い、その情報の質・量ともに豊富になり、更に新たな災害が起こるたびに情報の種類が増加しています。ここでは 気象分野における災害情報を紹介します。

(1) 天候関係
 注意報:大雨、洪水、強風、風雪、大雪、波浪、高潮、暴風、雷、乾燥、低温、その他
 警 報:大雨(土砂災害、浸水害)、洪水、暴風、暴風雪、洪水、大雪、波浪、高潮
 特別警報:大雨(土砂災害、浸水害)、暴風、暴風雪、洪水、大雪、高潮
特別警報は平成25年8月30日から施行され、「数十年に一度」のような災害に対し、すぐ命を守る行動をとることを呼びかけるものです。
気象庁 特別警報について
  http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/tokubetsu-keiho/index.html

(2) 洪水に関して
洪水には特別警報は導入されていませんが、河川の「洪水予報」が設定されています。水位ごとに「はん濫注意情報」「はん濫警戒情報」「はん濫危険情報」「はん濫発生情報」の4つがあります。
気象庁 指定河川洪水予報
  http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/flood.html

(3) 土砂災害警戒情報
大雨警報(土砂災害)が発表されている状況で、土砂災害発生の危険度がさらに高まった時に、避難勧告や住民の自主避難の判断を支援するよう、対象となる市町村を特定して都道府県と気象庁が共同で発表します。
気象庁 土砂災害情報
  http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/doshakeikai.html

2.スーパー台風が上陸したら?
(1) 台風の変化
台風は、年間を通して暑い熱帯地方である北緯5度から20度くらいの海上で最も多く発生します。この付近の海は海水の温度も高く雲も多く、台風が渦を巻く力もあるためです。そして太平洋高気圧の風に乗り、台風の進路が決まってきます。台風の勢力が最も強い場所を「最強地点」として抽出すると、日本付近では、本州に上陸したり接近したりする台風の最強地点は平均すると1982年には北緯21度付近、台湾の南側の海上付近でした。それが2012年には台湾にかかるぐらいまで、約150kmも北上している事実が判明しました。そしてこの結果は現在進行形のもので、温暖化が進んだ将来は最強地点が更に北上する傾向が強まる可能性があります。そして最強地点が大きく北へ広がり、日本付近に達することも予想されています。
台風が強くなると大雨も予想されますが、更に心配になるのは高潮のリスクです。高潮とは、湾に向かって台風が進行してきた時に、暴風雨が同じ方向で長時間吹き続けることで生じる「吹き寄せ」と、台風の気圧が低いために海面が持ち上げられる「吸い上げ」が複合して起こる現象です。台風ハイエンでは、2階の天井近くまで水が押し寄せたという証言もあるように、7mの高潮が発生して被害が増大しました。また温暖化が続くと海面の水位自体も上昇します。堤防などハードの整備は進んでいますが、現状の防御レベルを上回るような高潮になる恐れもあります。
国土交通省 高潮発生のメカニズム
https://www.mlit.go.jp/river/pamphlet_jirei/kaigan/kaigandukuri/takashio/1mecha/01-2.htm


(2) スーパー台風上陸からの避難行動
日本ではまだスーパー台風の上陸はありませんが、その危険性が確実に増大してきている現在、もし日本にスーパー台風が上陸したら人々の避難行動はどうなるかのコンピューターシミュレーションを行いました。シミュレーションは台風の発達過程を高精度に表現する研究、高潮の予測の研究、河川の水位変化の研究、人々の避難情報の研究を行っている各研究者の協力の下に行われました。台風は関東に上陸、避難の対象としたのはゼロメートル地帯になる江戸川区・足立区・葛飾区のおよそ180万人です。そのシミュレーション結果は驚くようなものになりました。
①上陸48時間前
台風はまだ本州の1500km以上南の海上に位置し、勢力は940hPa、最大風速50mの「非 常に強い台風」の状態

②上陸24時間前
上陸24時間前の夜、急速に発達した台風の気圧は897hPa、最大風速75m、さらに風速15m以上の風が吹く強風半径は900~1000kmの「超大型」台風になっています。超大型台風接近中のニュースが流れているが、台風の中心部は日本の南800kmに位置し、東京ではまだあまり風も強くありません。この時点で区の外へ自主的に避難する人は7万3000人程度。

③上陸半日前
関東地方は次第に暴風域に入り、交通も乱れ始めることが予想される頃です。台風上陸の8時間半ほど前には3つの区では避難勧告が発令され、およそ23%に当たる56万人が避難を開始する。動き出す車は17万台にもなり、道路の大渋滞、荒川・江戸川・隅田川にかかる橋は動きがとれない状態になる。公共交通機関も混乱が始まる。上陸のおよそ5時間前ごろには風の激しさも増し、電車やバスはほぼ全線で運転見合わせになる。この段階で3区の中にいる人は、避難しようとする人・しない人を含めて162万人。56万5000人が区外を目指しますが、わずか15万人しか脱出が出来ていません。

④上陸3時間前~上陸
この時点では、高層ビルに居住している人は上の階にとどまりますが、浸水の恐れがある区域の人は避難所へ向かいます。3区の避難場所は小学校などが指定されていますが、浸水の危険がない安全な場所は多くはありません。その結果、避難場所へ入ることが出来ず、別の場所を求めて歩き回らざるを得ない人が数多く出て来ますが、強風のために次第に身動きがとれなくなってきます。
そのような中、大雨の影響で水位が高くなっている荒川の水位が高潮の影響で上昇、水が堤防を乗り越える「越流」が始まります。浸水のスピードは速く、およそ2時間で3つの区の大半が浸水し、身動きがとれなくなっている人達に襲いかかります。シミュレーションでは最終的に20万人の人達が、命の危険に晒されている結果になりました。
今回のシミュレーションの避難者数は、江戸川区に居住または区内で働いている人にアンケートを行い、3000人からの回答を基にして算出しました。その内容は、ニュースで「超巨大台風が翌日夜には関東地方に上陸すると予想される」と報道された時に、自宅以外の場所に避難しようと思うかを質問したものです。その結果は「必ず自宅以外に避難する」が4%、「周囲の状況や他の情報に注意を払い、その上で判断する」が34%、「自宅で様子をみる」が36%、「職場などに外出する」が6%、
「普段どおりの生活をする」が19%でした。
自治体が住民に避難を呼びかける基準はいくつかありますが、最大の根拠は河川の水位になります。その基準は区ごとに設けられており、避難の呼びかけの判断も区ごとに行います。3区とも防災計画上は大規模な浸水の恐れがある時は区外への広域避難を呼びかけますが、具体的な避難先は決まっていません。また荒川の氾濫を想定した避難勧告は出されたことがありません。このような状況で56万もの人々が区外への脱出するのは不可能です。そこで必要になってくるのが「広域避難」です。

3.広域避難への取り組み
2015年の鬼怒川決壊の水害を受けて、国土交通省は国が管理する109水系のおよそ400の河川について、最大規模の洪水を考慮した浸水想定を開始しました。またこのシミュレーション結果を受けて、足立区・江戸川区・江東区・葛飾区・墨田区の江東5区が「大規模水害対策協議会」を発足させました。これは大規模水害の恐れがある場合は、共同検討における判断に基づいて区民に対して大規模水害の可能性を伝えるとともに、全ての人を対象に自主的な広域避難の実施を呼びかけることで、早い段階で区民の主体的な避難行動を促します。またさらなる広域避難の実効性を高める為に、大規模水害が発生する概ね一日前に「広域避難勧告」を発表することを目指して、江東5区が連携して広域避難に関する具体化を図っていくものです。
気象災害は「リードタイム」、すなわち雨や風が強くなってから災害が発生するまでに時間があり、避難勧告のタイミングが難しい場合があります。しかし逆に考えれば、地震と異なり突然発生する災害ではないので、避難準備の時間を確保することができます。災害が起きる前から逆算して対策をとるという考え方を「タイムライン」といいます。台風の場合、発生してから上陸するまでの数日間を使うことができ、この間に各自のタイムラインに沿って行動します。しかし行政は、①避難勧告のタイミングをどうするか、②避難先と手段をどうするか、③現実的な対応策を打ちだせるか、という課題に直面しています。
江東5区が具体的に想定した避難の流れは
【災害発生3日前】
5区の職員が集まり検討を開始し、区民に大規模水害の発生や広域避難呼びかける可能性があることを伝える。そしてすべての区民を対象に「自主広域避難の呼びかけ」を行う。

【災害発生1日前】
5区の区長が合同で「広域避難勧告」を発表する。そして公共交通機関を利用した避難を呼びかける。

【災害発生12時間前】
「避難準備情報」を発表。広域避難が難しい要支援者に、ビルの上などに設けた避難所への避難を呼びかける。

【災害発生6時間前】
台風による暴風雨で公共交通機関が止まった場合は広域避難を止め、「避難勧告」を発表して区内にある高層建物の上の階への垂直避難をするように求める。

【災害発生数時間前】
「避難指示」を発表し、速やかに命を守るための行動を求める。
具体的に区外のどこへ避難するのかなど、実効性のある計画になるのはこれからですが、確かな一歩は踏み出しました。

葛飾区 江東5区大規模災害対策協議会の検討結果
  http://www.city.katsushika.lg.jp/kurashi/1000063/1004031/1012226.html
江東区 江東5区大規模水害避難等対応方針
  http://www.city.koto.lg.jp/057101/bosai/bosai-top/topics/topics_0072.html

江戸川区 江東5区大規模災害対策協議会~犠牲者ゼロの実現に向けて~
  https://www.city.edogawa.tokyo.jp/bousai/koto5_daikibo_suigai.html
荒川に面する埼玉県戸田市も、上流側・下流側のどちらで決壊が起きても全市が水に浸かる問題を抱えています。浸水の高さは最大4mにもなり、広域避難が必要になってきます。そこで戸田市に隣接するさいたま市浦和区や南区の高台にある小・中学校に戸田市民も避難できる取り決めがなされました。住民側も具体的な避難場所がわかることにより、安心感を持つことが出来ます。このように少しずつですが、各地で広域避難計画が具体化しつつあります。
戸田市 水害犠牲者ゼロのまちづくり
  http://dsel.ce.gunma-u.ac.jp/toda_ws/cont-30.html

先週日本に襲来した台風12号は、東日本から西日本へ向かうという初めてのコースを辿りました。現在の猛暑を始めとして、今まで経験したことのない気象になってきています。関東地方に台風が来る場合、これまでは次第に勢力が弱まりスピードも速くなった状態が殆どでした。今回の台風13号は勢力が970hPa、スピードも逆に遅くなるという、初めて体験する台風になります。近年は堤防も整備されて災害も減っているため、地域住民も水害に対しては実感がなく、その備えが殆ど行われていない地域もあります。避難訓練も地震を想定した訓練ばかりです。水害の経験がないため「荒川が切れても大丈夫」という意識を持っている住民もいます。今までの概念にとらわれず、台風情報をチェックして、危険になる前に避難するなどの行動をとって命を守っていただきたいと思います。



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全国地震動予測地図について

全国地震動予測地図について いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。6月26日に、2018年版の全国地震動予測地図が発表されました。今回は、この予測地図について取り上げてみたいと思います。地震調査研究推進本部 全国地震動予測地図 2018年版 https://www.jishin.go.jp/evaluation/seismic_hazard_map/shm_report/shm_report_2018/  1.全国地震動予測地図とは全国地震動予測地図は、将来日本で発生...

全国地震動予測地図について

 

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。

626日に、2018年版の全国地震動予測地図が発表されました。今回は、この予測地図について取り上げてみたいと思います。

地震調査研究推進本部 全国地震動予測地図 2018年版

 

https://www.jishin.go.jp/evaluation/seismic_hazard_map/shm_report/shm_report_2018/

 

1.全国地震動予測地図とは

全国地震動予測地図は、将来日本で発生する恐れのある地震による強い揺れを予測し、予測結果を地図として表したもので、国の地震調査研究推進本部により2005年に初めて公表されて以来、毎年評価を改定して結果が公表されています。

全国地震動予測地図は、地震発生の長期的な確率評価と強震動の評価を組み合わせた「確率論的地震動予測地図」と、特定の地震に対して、ある想定されたシナリオに対する強震動評価に基づく「震源断層を特定した地震動予測地図」の2種類の性質の異なる地図から構成されています。

①「確率論的地震動予測地図」

日本及びその周辺で起こり得るすべての地震に対して、その発生場所、発生可能性、規模を確率論的手法によって評価し、さらにそれら地震が発生した時に生じる地震動の強さをバラツキも含めて評価することにより、一定の期間内に、ある地点が、ある大きさ以上の揺れに見舞われる確率を計算することにより作成されています。地点ごとに地震ハザード評価を実施し、地震動の強さ・期間・確率のうち2つを固定して残る1つの値を求めた上で、それらの値を示したものになっています。

「確率論的地震動予測地図」には、いろいろな種類のものがありますが、代表的なものとしては、今後30年以内に各地点が震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を地図として示したものがあります。

②「震源断層を特定した地震動予測地図」

ある特定の断層帯で発生する地震について、その地震が起きた時に断層周辺で生じる揺れの大きさを予測し、地図で示したものです。断層破壊の物理モデルに基づき、複雑な地下構造を考慮した地震波動伝播のシミュレーションを実施することにより、断層近傍域で発生する強い揺れを精度よく予測することが可能となっています。この地図を活用した例として、ある震度以上の揺れにさらされる人口の分布を示すものがあります。

 

2.2018版の特徴

予測地図は、M89級の地震が起きている南海トラフなどのプレート境界や、主要な活断層、プレート内で起きる地震の履歴を反映して作られます。震度6弱は、耐震性の低い木造家屋やブロック塀などの構造物が壊れる目安とされています。

2017年版との違いは、北海道東部の釧路市が22ポイント増の69%、根室市が15ポイント増の78%と大幅に増加しています。これは北海道太平洋側の千島海溝で起きる地震の規模と確率が見直され、M8.8以上の巨大地震が30年以内に発生する確率が740%と推定されたためです。

都道府県庁の所在地では、首都直下地震が懸念される関東南部の千葉市が85%で最も高く、横浜市が82%、水戸市が81%となり、前回版に続いて高確率となっています。東京は48%でしたが、都庁付近の地盤が比較的固いためで、湾岸部などでは80%を超す地域が広がっています。

100150年程度の間隔で起きる南海トラフ地震の震源域周辺では、高知市が75%、静岡市が70%などで、前回版から1ポイント上昇しました。

各地の確率は、防災科学技術研究所のウェブサイトで公開されています。30年以内に震度6弱以上に見舞われる確率が3%以上の「高い」地域は、オレンジや赤で示されています。最も濃い赤は26%以上で、約100年に1度以上の頻度となります。6%は約500年に1度、3%は約1000年に1度の頻度になります。

防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション

  

http://www.j-shis.bosai.go.jp/map/

J-SHIS  Mapの使い方

  

http://www.j-shis.bosai.go.jp/usage

 

3.地震動予測地図を見る時の注意点

●「確率が低いから安全」ではない

日本は世界的にみると地震による大きな揺れに見舞われる危険性が非常に高く、過去200年間に国内で大きな被害を出した地震を調べると、平均して海溝型地震は20年に1回程度、陸域の浅い地震は10年に1回程度起きています。このため、自分の地域で最近地震が起きていないからといって安心はできません。

日本国内で相対的に確率が低い地域でも、1983年日本海中部地震(M7.7)2005年福岡県西方沖地震(M7.0)2007年能登半島沖地震(M6.9)のように、大きな地震が発生し、強い揺れに見舞われて大きな被害が生じました。1995年兵庫県南部地震(M7.3)2016年熊本地震(M7.3)は、確率としては比較的高い所でしたが、直近には大地震が起きていなかった場所で発生しました。

また予測地図の確率は、日本全国を250m四方のメッシュで区切り、算出されています。そのため県庁や市町村庁のある場所の地盤強度により、数値が影響されます。地盤が強い場所では確率が低くなりますが、その周辺地域の地盤は異なる可能性もあります。

●「地震動予測地図」には不確実さが含まれています

予測地図は最新の知見に基づいて作成されていますが、使用できるデータは限りがあるため、結果には不確実さが残ります。地震計が設置されたのは明治以降の100年少々で、近代的観測データがあるのは、地震が起きてきた長い歴史のうちのごく僅かの期間です。また国内には、活断層調査等がまだ十分でない地域があります。このような理由から、現時点では確率が低くても、今後の調査によってこれまで知られていなかった過去の地震や活断層の存在が明らかにされ、確率が上がる可能性があるなど、不確実性が含まれています。

 

4.いま、自分で出来ること

地震発生確率が「高い」「低い」に関係なく、まずは防災を「他人事」ではなく「自分事」にすることが必要です。

今回の大阪地震では、ブロック塀の倒壊や部屋の本棚が倒れることにより犠牲になられた方もおられました。まずは自分の家の中、その周囲、そして自分が住む地域がどのような所かを、この機会に是非確認してみることをお薦めします。

以下に、身近な地域の防災情報を確認できるサイトを紹介します。

 

産業技術総合研究所 活断層データベース

  

https://gbank.gsj.jp/activefault/index_gmap.html

国土地理院 都市圏活断層図

  

http://www.gsi.go.jp/bousaichiri/active_fault.html

国土交通省 ハザードマップポータルサイト

  

https://disaportal.gsi.go.jp/

国土交通省 地点別浸水シミュレーション検索システム

  

http://suiboumap.gsi.go.jp/ShinsuiMap/Map/

防災科学技術研究所 地震ハザードカルテ

  

http://www.j-shis.bosai.go.jp/labs/karte/

政府広報 災害時に命を守る一人一人の防災対策

  

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201108/6.html

内閣府 防災情報のページ 南海トラフ地震対策

   http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/index.html

 

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キラウエア火山の噴火について

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。2018年5月3日午後4時45分(日本時間4日午前11時45分)ころ、ハワイ島にあるキラウエア火山が噴火を始めました。今回はキラウエア火山について取り上げてみたいと思います。1.ハワイ諸島の形成日本からの海外旅行先で人気が高いハワイは、米国最南端の州で、世界で最も隔離された群島になります。このハワイ州はミッドウェイ珊瑚などを含む北西ハワイ諸島と、オアフ島など主要8...


いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
2018年5月3日午後4時45分(日本時間4日午前11時45分)ころ、ハワイ島にあるキラウエア火山が噴火を始めました。今回はキラウエア火山について取り上げてみたいと思います。

1.ハワイ諸島の形成
日本からの海外旅行先で人気が高いハワイは、米国最南端の州で、世界で最も隔離された群島になります。このハワイ州はミッドウェイ珊瑚などを含む北西ハワイ諸島と、オアフ島など主要8島からなるハワイ諸島で構成された、132の島、岩礁、砂洲で形成されています。主要8島は、ハワイ島、カホオラヴェ島、マウイ島、ラナイ島、モロカイ島、オアフ島、カウアイ島、ニイハウ島で、このうちニイハウ島とカホオラヴェ島は一般人の入島が制限されています。
ハワイ諸島は今から500万年前に海底火山で隆起。その後、プレートの移動で北西にずれて、各島が次々に造り出されたと言われています。カウアイ島では長年の浸食による起伏の激しい地形が見られます。そしてハワイは典型的なホットスポットで、マントル深部から物質が供給されており、南東端のハワイ島では現在も活発な火山活動が続いています。
ハワイを載せる太平洋プレートは北西方向へ年間10cm程度の速さで動いているので、ハワイ諸島は北西へ行くほど島の形成が古くなっています。ホノルルのあるオアフ島は、ハワイ島から約350km北西にあり、その年代は約350万年前になります。最も北西にあるカウアイ島より先は、浸食によって削られて海上には姿を現してはいませんが、海山列が連なっています。
そしてこのハワイ諸島周辺では、巨大な海底地滑りが数多く発生したことが1980年代後半の調査で明らかになりました。島の面積よりもずっと広い海底地滑り跡があり、地滑り堆積物で覆われる総面積はハワイ諸島の数倍にも達し、一つの地滑り堆積物の体積は、海上に出ている島の体積の数分の1にも及ぶほどです。
またハワイ諸島は太平洋の真ん中にあるため、太平洋の周囲の沈み込み帯で巨大地震が発生すると、その津波による被害を免れることが出来ません。特に1946年アリューシャン列島で発生したM8.1の地震では、津波により160名の死者、2600万ドルもの被害が発生しました。ハワイ島のヒロでは、津波の高さは10mにも上ったそうです。この津波被害を受けて、アメリカ合衆国は地震警戒システムをつくり、太平洋津波警報センター(Pacific Tsunami Waring Center)と命名しました。日本の気象庁も、南米などの地震に対する津波警報は、ここからの情報を基にしています。

■地球紀行 大陸形成と移動 
   http://www.geocities.jp/t_shimizu2003/earth_histry_3_2_m.html

■ホットスポットで島ができるまで (歯医者さんのブログ)
   http://www.midorino-dc.jp/app/Blogarticleview/index/ArticleId/83


2.キラウエア火山
ハワイ島にあるキラウエア火山は、ハワイ語で「吹き出す」または「多くまき散らす」を意味する盾状火山で、緩やかに傾斜する斜面を持ち、底面積が広く、粘性の低い玄武岩質のマグマを流出させます。
キラウエア火山が形成され始めた時期は30万年から60万年前と推定されており、5万年から1万年前に海上に現われたようです。キラウエア火山の噴火は、20世紀中に45回の噴火が記録されています。1983年から始まった噴火は、幾度かの不活発化の時期を含み現在まで約35年間継続しています。爆発的噴火はまれで、溶岩流の流れはゆっくりしていて比較的安全な火山とされ、ゆっくり流れるマグマをすぐ近くで見学できる人気の観光地になっていました。
しかし2017年に入ってからは、その活動が非常に活発になり、激しい溶岩の噴出が絶え間なく続き、海へマグマが流れ込む状態が恒常化していました。そして今年5月3日からは、今までにない激しい噴火が始まりました。今回のような複数の噴火が起きたのは、1951年以来になるそうです。
地震も頻繁にあり、噴火の前日にM5.0、そして噴火が始まってからはM5.4、M6.9が発生しました。震源はレイラニ・エステーツの南西16kmで、ハワイ島では過去24時間に119回の地震が発生しました。このM6.9の地震は1975年に起きたM7.1の地震以来の規模で、今回もほぼ同じ場所で発生しました。

■HUFFPOST NEWS
   https://www.huffingtonpost.jp/2017/02/07/kilauea_n_14633664.html


3.今後の見通し
3日から始まった噴火ですが、噴火から数時間後、ハワイ州は非常事態宣言を発令し、同時に噴火の影響のある住民に避難命令を出し人的被害はありませんが、これまでに倒壊した建物36棟、住民や観光客およそ2000人が避難を余儀なくされています。現在も活発な活動が続いており、8日現在では南東部のレイラニ地区で新たに2つの火孔が確認され、これまでに14個の火孔から溶岩と火山ガスの流出が続いています。
アメリカ地質調査所(USGS)やハワイ郡民間防衛局によると、レイラニ地区を南北に縦断する幹線道路ハイウェイ130号では、過去24時間で亀裂の幅が4cm広がり、深さは1m近くに達しました。周辺道路はおびただしく湧き上がる噴気によってアスファルトが波打ったように変形しているうえ、路肩に駐車しておくと、いつ車が溶岩流に呑み込まれるかわからない状態になっています。

■YouTube キラウエア火山噴火映像
  https://www.youtube.com/watch?v=nQQ1UaXesEo
  https://www.youtube.com/watch?v=IZZZgO48T98
  https://www.youtube.com/watch?v=z4XmY-m95FQ

山頂のハレマウマウ火口の溶岩湖は先月末からマグマ量が急速に減少し、頭位が220m下がりました。露出した火口壁からは地震のたびに岩石が崩れ落ち、ハワイ火山観測所(HVO)の研究者が警戒を高めています。専門家は「地下水がマグマに接触すると、1924年に起きた強力な爆発に繋がる恐れがある」と危惧しています。1924年5月の噴火では、今回と同じ東リフト地帯で巨大爆発が相次ぎ、噴火の回数は2週間あまりで50回以上にもなりました。この時もハレマウマウ溶岩湖はマグマの急激な流出が進み、マグマが上昇する火道に地下水が流れ込んで水蒸気爆発が発生。その噴煙は上空9,000mに達し、14トンもの巨大な噴石が飛び散り、観光客が死亡した記録が残っています。
USGS(アメリカ地質調査所) 1924年噴火について(英語)
  https://volcanoes.usgs.gov/volcanoes/kilauea/geo_hist_1924_halemaumau.html

9日午前には、ハレマウマウ火口で短い爆発が発生しました。この爆発は火口壁の岩が崩れ落ちた衝撃で引き起こされた可能性が高く、噴火継続時間は短いものでした。この噴火から1時間後に火山学者が溶岩湖を観測した際、底の方で煮えたぎる溶岩が見えたといいます。
この噴火を受けてUSGSとハワイ火山観測所では、今後数週間のうちに爆発的な噴火が起きる可能性があると発表しました。また有害なスモッグや酸性雨が発生する恐れもあるとして、警戒を呼びかけています。
東部の住宅地では地面の亀裂から溶岩が流れ出し、有毒ガスが放出しています。当局は、二酸化硫黄の濃度が危険な水準にあると警告しています。こうした有毒ガスなどが湿気や埃と混じって火山スモッグが発生し、硫酸の水滴によって呼吸器系の問題を生じさせる恐れがあります。
専門家は「現時点で、そうした爆発的な活動が起きるかどうかの確証はない。爆発が起きた時の規模や、爆発的な活動がどれくらい続くのかもわからない。現在の活動は、南東部レイラニ地区に集中しているが、噴火活動が長引くと、他の地域も危険にさらされる可能性がある」と警告しています。

■BBC Nature ハワイ諸島の山体崩壊による超巨大津波説について
  https://matome.naver.jp/odai/2139798174919065501/2144404318037212003





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