速報 草津白根山噴火

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。2018年1月23日午前9時59分頃、群馬県西部にある草津白根山の本白根山の鏡池周辺で噴火が発生しました。24日の時点で、1人が死亡、11人の負傷が確認されています。今回はこの噴火について、速報として紹介したいと思います。 1.これまでの経過草津白根山は、本白根山・白根山・逢ノ峰の三つの山の総称になります。もともと噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)の指定...
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2018123日午前959分頃、群馬県西部にある草津白根山の本白根山の鏡池周辺で噴火が発生しました。24日の時点で、1人が死亡、11人の負傷が確認されています。今回はこの噴火について、速報として紹介したいと思います。

 

1.これまでの経過

草津白根山は、本白根山・白根山・逢ノ峰の三つの山の総称になります。もともと噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)の指定を受けていましたが、20146月に小規模な噴火が発生する可能性があるとされ、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)に引き上げられました。この時は白根山にある「湯釜」で白濁が見られたりの現象が発生しました。しかし、その後は特に活動の活発化もなく、20176月に噴火警戒レベル13年ぶりに引き下げられました。

白根山は明治以降に噴火を繰り返しており、湯釜と呼ばれる火口湖周辺には、地震計や傾斜計などの観測網が整備され、気象庁が重点的に観測していました。しかし本白根山は過去一千年以上にわたり大きな噴火の記録がなく、監視カメラ等の観測網の整備も進んでいませんでした。近年になり溶岩流を伴った3000年前の噴火を含め、約5000年前~1500年前に比較的大きな噴火が6回起きたことが分ってきました。しかし限られた人や予算の中、白根山の方の観測を充実すべきとされていました。

今回の噴火では、振幅の大きな火山性微動が約8分間捉えられましたが、カメラ映像がないためすぐに噴火の確認をとることが出来ませんでした。また2014年の御嶽山噴火を受けて導入された、噴火をいち早く知らせる「噴火速報」も発表できませんでした。

 

2.噴火の特徴

今回の噴火は「マグマ水蒸気爆発」と言われています。これは地下から上がって来るマグマが地下水に接触して、爆発する現象です。その際、火山灰や噴石などを噴出させます。今回もかなり大きな噴石が飛んでおり、レストランの屋根を突き破ったり、犠牲者も出てしまいました。

事前に何度か火山性微動が発生している場合は、噴火警戒レベルの引き上げや、スキー場の休止などの対策もとれますが、今回は微動発生直後に噴火したため、多くの方が巻き込まれてしまいました。

特に現場の草津国際スキー場は人気が高く、スキー客は「火山に来ている」という認識はほとんどなかったと思います。またスキー場のゲレンデは木や岩などの障害物を取り除いて整備されているため、噴火が起きた場合は身を隠す場所がありません。今回の噴火に遭遇された方で、雪の中に身を隠すようにして避難した方もいらっしゃいましたが、やはり噴石でケガを負われました。ロープウェイも窓ガラスが割れたりしましたが、特にスキーリフトは身体を守る物が一切ないため、噴石に襲われたらひとたまりもありません。

 

3.今後の状況

今回の噴火は、一般的には規模の小さな噴火になります。顕著な地殻変動や火山性地震も減ってきて、すぐに噴火活動は小康状態になったようです。しかし「マグマ水蒸気爆発」の場合は噴火が続く可能性があり、このまま終息するかはまだ分かりません。

積雪時に噴火が起きると、溶岩などの熱で溶けた雪が火山灰と一緒に一気に下流に押し寄せる「火山泥流」が起きる場合があります。また雪崩の可能性もあり、今回も噴火の影響で雪崩が発生したようです。

地元の草津町では、未だに避難計画が策定されていません。噴火警戒レベル2の時は、人の出入りが規制されていたので、避難計画の策定は後でよいという甘えがあったと、町の担当者は話しています。特に本白根山の噴火は、誰一人想定していなかったようです。

 

噴火の翌日から、草津国際スキー場は安全な一部のゲレンデを再開しています。また草津温泉は噴火箇所から約7キロ離れているため、特に影響はありません。これから草津温泉やスキーへ行かれる方は、安全を第一に考え、必要な情報を確認した上で、出かけるようにしてください。自然は人間の思うようにならないことを、くれぐれも忘れることなく!


 

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2017年を振り返る

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。2017年の酉年は、善き流れは一層善き流れとして未来へきちんと繋ぎ、結ぶ。そして悪きものは酉年にてすべてを清め、改め、浄化して、明日へと繋ぐことがないようにしっかりと清め改めるという意味を持つ年でした。今回は2017年の自然災害を振り返ってみたいと思います。 1.地 震(1) 日本国内気象庁のまとめによると、2017年に国内で発生した震度1以上の地震は2,025回に...

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。

2017年の酉年は、善き流れは一層善き流れとして未来へきちんと繋ぎ、結ぶ。そして悪きものは酉年にてすべてを清め、改め、浄化して、明日へと繋ぐことがないようにしっかりと清め改めるという意味を持つ年でした。

今回は2017年の自然災害を振り返ってみたいと思います。

 

1.地 震

(1) 日本国内

気象庁のまとめによると、2017年に国内で発生した震度1以上の地震は2,025回にのぼりました。熊本地震があった2016年は6,500回を超えたので、その3割ほどになる少ない回数でした。また比較的大きな地震も少なかった一年で、震度4の地震は32回、震度5弱は228日の福島沖、71日の北海道胆振地方、72日の熊本県阿蘇地方、106日の福島県沖の4回、震度5強は620日の豊後水道、625日の長野県南部、711日の鹿児島湾、98日の秋田県内陸部の4回、震度6以上の地震はありませんでした。

地震の規模を示すマグニチュードで見ると、最大のものは59日に宮古島近海を震源としたM6.4106日に福島沖で発生したM6.3921日に三陸沖で発生したM6.3が挙げられます。

昨年で特筆すべき点は、東海地震の事前予知を基本にした防災計画が全面的に見直されたことです。これは地震の事前予測は不可能ということを認めたことになります。なおこの件については、次回に詳述します。

(2) 海 外

比較的静かだった日本国内に対して、海外ではM7を超える地震が12回も発生しました。そのうち2回はM8を超えています。昨年発生した最も大きな地震は、122日の南太平洋ソロモン諸島でのM8.4になります。しかし震源の深さが170kmと深かったため、特に被害はありませんでした。

98日にはメキシコ太平洋側チアパス州沖でM8.2の地震が発生し、102人の方が亡くなりました。そして20日後の919日には、今度はメキシコ中部を震源とするM7.1の地震が発生し、369人の方が亡くなりました。この時には首都のメキシコシティでも建物倒壊などかなりの被害が発生しました。地震の発生が日中だったため、幾つかの小学校が倒壊して、多くの児童が犠牲になりました。またこの919日は、32年前の1985年の同じ日にも1万人近くが亡くなった大地震が発生しており、午前中に各地で避難訓練が行われたその午後にまさかの大地震発生でした。メキシコシティは震源地から約90キロほど離れていますが、元々は湖を埋め立てた土地のため地盤が悪く、多くの建物の倒壊や一部損壊が発生してしまいました。筆者は地震発生2日後にメキシコヘ行きましたが、往復の飛行機で日本の緊急援助隊と一緒になりました。国内ではあまりニュースにも取り上げられませんでしたが、メキシコの空港ではそこに居合わせた一般のメキシコの人々から、救助に来てくれたという感謝の思いの拍手を受けていました。

1113日にはイランとイラクの国境付近でM7.3の地震が発生し、500人近くの方が亡くなりました。この地震が昨年では最も犠牲者が多く出た災害でした。

 

2.火山活動

2017年は環太平洋火山帯での噴火数が、近年では最高のレベルになってきました。同時に33もの火山が噴火していたり、コスタリカでは3つの火山が同時に爆発的噴火を起こしました。以前より噴火が続いているメキシコのポポカテペトル山では、9月の地震の後、その活動が一時的に活発になりました。またインドネシア・バリ島のアグン山では、噴火の兆候が現われて近隣住民が避難してから1ヶ月以上も経過してからの大噴火となりました。一時的に空港が閉鎖されたため、観光客が足止めになったりしましたが、事前避難のため人的な被害はありませんでした。

国内での火山活動は比較的静かでした。日光の男体山が新たに「活火山」に指定されましたが、現在のところ噴気活動は認められません。一方、20119月に噴火した新燃岳が6年ぶりに、201311月に活動が始まった西ノ島が201511月以来、15ヶ月ぶりに活動が再開しました。阿蘇山は20148月以来出されていた噴火警戒レベル2が、レベル1の「活火山であることに留意」に引き下げられました。

 

3.台風などの風水害

日本には毎年数個の台風が上陸しますが、2017年もいままでにはない動きをする台風が発生しました。

72日に発生した台風3号は、九州に上陸して日本列島を横断して行きましたが、台風通過後も福岡県と大分県では豪雨が続き、平成297月九州北部豪雨が発生し、甚大な被害が出ました。7月下旬頃になると熱帯低気圧が多発し、21日から30日の10日間で台風が6個も発生し、7月の台風発生数は8個となり史上最多タイ記録となりました。723日には4個の台風が同時に存在しました。これは1994年以来、23年ぶりのこととなります。

また20日に南鳥島付近で発生した台風5号は、台風として19日間も存在し、これまでで1位タイの長寿台風となりました。台風5号は日本のはるか東の太平洋上で大きな楕円を1周描くような進路をとり、小笠原諸島付近を迷走した後、31日には950hPaまで急速に発達して「非常に強い」台風へと勢力を強めて九州に接近しました。87日には室戸岬付近を通過し、和歌山県に上陸してから日本海側へ抜け、8日に温帯低気圧になりました。

1016日に発生した台風21号は、強風域が半径800km以上、中心付近の最大風速が44m/s以上の「超大型」台風になりました。静岡県掛川市付近に上陸した時の中心気圧は950hPa、最大風速は40m/sでした。「超大型」での日本への上陸は、台風の確実な記録が残る1991年以降初めてのことでした。

9月には大西洋でハリケーン「イルマ」が発生し、ハリケーンの等級として最大の「カテゴリー5」に発達しました。「カテゴリー5」は風速70m/s以上で、多くの建物が破壊され、幹線道路が切断される状態を指します。直撃されたカリブ海の島々では、建物の95%が何らかの被害を受けた島や、ほぼ居住不可能なまでに破壊された島もあり、甚大な被害が発生しました。「イルマ」は大西洋で発達したハリケーンの中で、過去最強のものでした。また直後にはハリケーン「マリア」が発生し、プエルトリコを直撃し、強風と豪雨に伴う「壊滅的」な洪水に襲われました。

 

2018年が始まったばかりの15日、富山県を震源とする地震と茨城沖を震源とする地震が3秒違いで発生し、緊急地震速報が流れるという出来事がありました。これは二つの地震を一つの地震と捉えた結果の誤報でした。また同日の夜中、日付としては翌日になりますが、千葉県北西部を震源とするM4.8の地震が発生し、東京23区や横浜市で震度4が観測されました。

比嘉良丸氏によると、これらの地震は啓示的には震度5強以上が発生し、その動きが関東の内陸部を中心に広がり、その後震度7クラスの地震へと繋がり、最終的には一気に地殻変動へ連鎖連動してゆく流れの地震であると伝えられていたそうです。幸いにも小さな震度で済みましたが、油断出来ない状況が続いているようです。イザという時には自分や家族を守るという強い意識を持ち、物事が起きた際の集合場所の取り決めや連絡方法など、すべての物事に意識を傾けきちんと決めておくことは大切なことになります。

110日には中米・コスタリカのカリブ海で、M7.6の大地震が発生しました。幸いにも津波は観測されず、また震源地が陸地から離れていたので、被害もありませんでした。

また現在夏になる南半球のオーストラリア・シドニーでは、観測史上2番目に高い47.3℃を記録、反対に冬の北半球のアメリカは大寒波に襲われ、ニューヨークのマンハッタンでは25cmもの降雪がありました。12月に大規模な山火事に襲われたカリフォルニアでは、大雨による洪水と土石流に襲われました。

新しい年が始まったばかりで、大地震、洪水、異常高温、寒波などに見舞われています。今年は戌年ですが、過去の戌年を振り返ると19589月の狩野川台風では犠牲者1,269人、都心の1日降水量が371.0mmで、この記録は半世紀以上たった現在でも最高記録です。19707月は関東南部で集中豪雨、19827月は長崎大水害で犠牲者299人、19949月は大阪北部で局地的大雨、そして前回の20067月は九州から本州にかけての記録的大雨で犠牲者30人と、戌年は豪雨災害が多い傾向にあるようです。果たして2018年はどのような一年になるでしょうか。
 


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インフルエンザについて

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。11月も半ばになり、インフルエンザが流行しやすい季節になってきました。今回は感染症の一つであるインフルエンザについて、改めて考えてみたいと思います。1.どんな感染症かインフルエンザは、インフルエンザウイルスによって起こるウイルス性呼吸器感染症です。インフルエンザウイルスがのどや気管支、肺で感染・増殖することによって発症します。世界中で全ての年齢の方が...

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
11月も半ばになり、インフルエンザが流行しやすい季節になってきました。今回は感染症の一つであるインフルエンザについて、改めて考えてみたいと思います。

1.どんな感染症か
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって起こるウイルス性呼吸器感染症です。インフルエンザウイルスがのどや気管支、肺で感染・増殖することによって発症します。世界中で全ての年齢の方が罹患しますが、特に小児と高齢者で重症化しやすいとされています。流行の規模は一定ではありませんが、毎年冬季に流行が見られ、学級閉鎖の原因や高齢者施設における施設内流行の原因にもなります。
インフルエンザウイルスはA, B, Cの3つの型があり、流行的な広がりを見せるのはA型とB型です。A型インフルエンザでは、数年から数十年ごとに世界的な大流行が見られますが、これは突然別の亜型ウイルスが出現して、従来のウイルスと代わることによって起こります。1918年のスペインかぜ(H1N1)は39年間、1957年にはアジアかぜ(H2N2)が11年間続き、1968年には香港型(H3N2)が、そして1977年にソ連型(H1N1)が加わり、現在はA型のH3N2とH1N1、及びB型の3種が世界中で流行しています。
インフルエンザは主に、インフルエンザに感染した人の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれるインフルエンザウイルスを吸い込むことによる飛沫感染によって感染します。

2.インフルエンザの症状
いずれの型のインフルエンザも1~3日の潜伏期を経て、普通のかぜとは異なり突然の悪寒を伴う38℃以上の高熱、全身倦怠感を伴って急激に発症します。鼻汁、咳、咽頭痛などの呼吸器症状や、吐き気、嘔吐、下痢などの消化器症状を伴うことが多く、頭痛、関節痛も現れます。筋炎を起こすと筋肉痛が生じ、下肢の場合は歩行困難になることがあります。
症状の程度、持続期間は、流行しているウイルスの種類、患者の年齢、過去の罹患状況などにより様々ですが、合併症がない場合は7日~10日以内に軽快します。発症した場合の重症度は、前回の流行からの期間やウイルスの変異の度合い、罹患した人の感染歴や免疫状態などによって決まります。
乳幼児は成人に比べて重症化しやすく、インフルエンザ脳炎を発症したり、高熱による熱性けいれんを起こすことがあります。また慢性呼吸器疾患、慢性心疾患、糖尿病などの代謝性疾患、腎機能障害などの持病がある方は、インフルエンザウイルスに感染すると重症化するリスクが高くなるので、手洗いやうがい、人混みを避けるなどの予防対策を積極的に行うように心がけましょう。
普通のかぜは1年を通してみられますが、インフルエンザは季節性があり、日本では11~12月頃に流行が始まり、1月~3月にピークを迎えます。発症後の経過も、普通のかぜは経過がゆるやかで、発熱も軽度であり、くしゃみ・のどの痛み・鼻水・鼻づまりなどの症状が現れます。これに対してインフルエンザの発症は高熱を伴って急激に発症し、全身倦怠感や食欲不振などの全身症状が強く現われます。
インフルエンザの予防接種を受ける方も多いと思いますが、実は感染を予防する効果はありません。ワクチンは、今年はこの型が流行するだろうと予想して製造しますが、ワクチンと違う型のインフルエンザには罹患してしまいます。厚生労働省の研究班の報告によれば、感染した場合もインフルエンザ発症と重症化を抑える効果はあるそうです。予防接種をしたからと過信をせず、身の回りを清潔に保ち、十分な睡眠とバランスのとれた食事や基礎的な体力をつける、規則正しい生活を送ることが基本になります。そして予防法としては、外出時のマスク着用、うがい、手洗いという基本的なものになります。
・正しいマスクの着用方法
  http://www.medicom-japan.com/special/mask.html
・正しい手の洗い方
  http://www.medicom-japan.com/special/hand-washing.html
・正しい手指消毒の方法
  http://www.medicom-japan.com/special/hand-hygiene.html

3.インフルエンザがパンデミックになる可能性
インフルエンザは、数十年おきに今までのインフルエンザウイルスとは全く異なる「新型インフルエンザ」に変異したウイルスが発生します。これまでに存在したことのない新しいウイルスのため誰も免疫を持っておらず、発生すると短い間に広がり、パンデミック(大流行)になる可能性があります。1918年のスペインかぜ、1957年のアジアかぜ、1968年の香港かぜと3回の新型インフルエンザが発生しました。
そして現在最も心配されているのが、鳥インフルエンザの人から人への感染です。2014年の時点で新型インフルエンザに変異する可能性が心配されていたのが、「H7N9型鳥インフルエンザ」と「H5N1型鳥インフルエンザ」でした。このH及びNというのは、その表面上の2つのタンパク質を指し、数字は特定のウイルスが有するタンパク質の型を指しています。この型の違いによりヒトが感染するものや、鳥だけが感染するもの、豚だけが感染するものなどに分けられます。
2013年3月、中国で鳥インフルエンザウイルスのヒトへの感染が初めて報告されました。H7ウイルスは鳥に感染し、ヒトへの感染はごく稀でしかありませんでした。しかし2013年に感染した135人のうち、およそ4分の1が死亡しました。それ以降、毎年H7N9の新しい流行がありましたが、鳥類と哺乳動物の両方でより効果的に増殖することを可能にする突然変異を獲得し、進化しました。2017年9月20日の時点で、中国でのH7N9の感染者数は1,589例となり、そのうちの39%が死亡しています。
新たな変異ウイルスの哺乳類への影響を確認するため、東京大学医科学研究所などのチームが、中国の患者からとったウイルスをマウスやフェレットに感染される実験を行いました。その結果、フェレットの実験では従来型のH7N9ウイルスを感染させても死にませんでしたが、変異型では4匹中2匹が死にました。更に周囲にいた3匹のフェレットにも飛沫感染し、そのうち2匹が死にました。
日本国内ではH7N9型にヒトへの感染例はありません。中国の症例では数例の家族内感染が発生していましたが、家族全員が直接H7N9に触れたのか、あるいは同じ鳥から感染したのかの証拠はありません。また感染したうちの多くの人々が家禽市場や車両、または自宅の鳥類と直接接触しているために、一般市民に対するリスクは非常に低いと考えられています。

4.治療法がないマールブルグ病流行の恐れ
世界保健機関(WHO)は、アフリカ東部ウガンダとケニアの国境地帯でマールブルグ病が発生し、これまでに医療関係者2名を含む5人が感染し、3人が死亡したと発表しました。マールブルグ病は発症が突発的で、自然界からヒトへの感染メカニズムは明らかになっていませんが、重症化するとエボラ出血熱によく似た症状を引き起こし、特異的な治療法がないため死亡率は最大88%になります。
ウイルスの宿主はルーセットオオコウモリだと考えられており、コウモリが住んでいる洞窟や鉱山に近寄った観光客が感染したというケースも確認されています。ヒトからヒトへは血液や体液、排せつ物で汚れた寝具や衣類に接したり、性的接触で感染する可能性も高いです。ウガンダで死亡した3人の診断に当たっていた医療関係者も感染した可能性が高く、先月末時点で患者に接した150人以上に感染リスクがあると言われています。

比嘉良丸氏の御神事の中には、感染症や伝染病を防ぐための御神事も含まれています。
アフリカで発生したマールブルグ病は、発症した人数こそまだ5人ですが、感染した可能性の高い人が入院を拒否して村へ帰るなど、アフリカ特有の習慣や考え方により、今後、患者数が急増する可能性があります。
鳥インフルエンザも、鳥からヒトへ感染しても直接接触したことが感染の原因なら、接触した個人のみしか発症しません。もしH9N7ウイルスがヒトからヒトへ感染する能力を獲得したら、その時が新たなパンデミックの始まりかもしれません。
人間が全ての生きとし生けるもの達や自然との共存、地球に生かされていることに気付かずに今の生き方を変えなければ、自然界は人間排除の方向へ動き出します。その時には既存のインフルエンザウイルスの変異や、新たな感染症や伝染病の大流行が待っているのかもしれません。



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緊急掲載(再掲)

「大避難」について  気象編いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。近年、集中豪雨や台風被害の激甚化が進んできています。地震や津波に対しても、これまでの想定を上回る規模の災害が起こる可能性が浮かんできています。2016年に栃木県と茨城県の鬼怒川で豪雨災害が発生しましたが、私達の暮らしを守る堤防などのインフラの強度を上回る災害が発生してきています。このような大災害が現代の都市でひとたび起きると...
「大避難」について  気象編

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
近年、集中豪雨や台風被害の激甚化が進んできています。地震や津波に対しても、これまでの想定を上回る規模の災害が起こる可能性が浮かんできています。2016年に栃木県と茨城県の鬼怒川で豪雨災害が発生しましたが、私達の暮らしを守る堤防などのインフラの強度を上回る災害が発生してきています。このような大災害が現代の都市でひとたび起きると、数十万人規模の人々が一斉に避難を迫られる事態が起こり得ます。これが「大避難」です。しかも最新の科学的分析から、もし現代の都市で大避難を必要とする災害が起きた場合、避難そのものが困難になったり、予期せぬ混乱が起こったりすることがわかってきました。今回からこの「大避難」について考えてみたいと思います。

1.災害情報について
避難を呼びかける前提には、各種の災害情報があります。近年は技術の進歩に伴い、その情報の質・量ともに豊富になり、更に新たな災害が起こるたびに情報の種類が増加しています。ここでは 気象分野における災害情報を紹介します。
(1) 天候関係
 注意報:大雨、洪水、強風、風雪、大雪、波浪、高潮、暴風、雷、乾燥、低温、その他
 警 報:大雨(土砂災害、浸水害)、洪水、暴風、暴風雪、洪水、大雪、波浪、高潮
 特別警報:大雨(土砂災害、浸水害)、暴風、暴風雪、洪水、大雪、高潮
特別警報は平成25年8月30日から施行され、「数十年に一度」のような災害に対し、すぐ命を守る行動をとることを呼びかけるものです。
気象庁 特別警報について
  http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/tokubetsu-keiho/index.html

(2) 洪水に関して
洪水には特別警報は導入されていませんが、河川の「洪水予報」が設定されています。水位ごとに「はん濫注意情報」「はん濫警戒情報」「はん濫危険情報」「はん濫発生情報」の4つがあります。
気象庁 指定河川洪水予報
  http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/flood.html

(3) 土砂災害警戒情報
大雨警報(土砂災害)が発表されている状況で、土砂災害発生の危険度がさらに高まった時に、避難勧告や住民の自主避難の判断を支援するよう、対象となる市町村を特定して都道府県と気象庁が共同で発表します。
気象庁 土砂災害情報
  http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/doshakeikai.html

2.これまでのスーパー台風
(1) 海外における台風
2005年にアメリカ・ニューオーリンズに上陸したハリケーン「カトリーナ」は、ピーク時の勢力は中心気圧が902hPa、最大風速78m(日本の基準では67m)というスーパー台風でした。街を襲った高潮は9m、堤防は8ヶ所で決壊、市内の8割が浸水して、1800人以上の方が犠牲になりました。
また2013年、フィリピンに上陸した台風「ハイエン」は、中心気圧896hPa、最大瞬間風速90mと観測史上例を見ない勢力となりました。この台風により6000人以上の死者、3万人近い負傷者が発生しました。通常、台風は上陸するとその勢力が弱まりますが、ハイエンはほとんど勢力が弱まらずに900hPaの勢力を約一日半維持し、フィリピン中部の島々では60m/s以上の竜巻に匹敵するような強風と、台風による局地的な高潮に長時間襲われました。台風が上陸したレイテ島では、台風の進路にあった住宅や構造物の70~80%が破壊されました。またレイテ島西部のオルモックでも建物の90%が全半壊するなどの甚大な被害が出ました。

(2) 日本における台風
日本では昭和34年(1959年)の伊勢湾台風で、5千人近い死者・行方不明者と4万人近い負傷者が発生しました。この台風も勢力が余り衰えることなく和歌山県潮岬に上陸し、暴風域も広かったため広範囲で強風が吹き、特に紀伊半島一帯と伊勢湾沿岸では高潮、強風、河川の氾濫により甚大な被害を受けました。
昭和36年(1961年)の第二室戸台風は、中心気圧が900hPa未満の猛烈な強さになり、室戸岬では最大瞬間風速84.5m/s以上、大阪で60.6m/sの暴風となりました。この暴風や高潮による被害が大きく、大阪では高潮により市の西部から中心部にかけて31平方kmが浸水しました。
昭和24年(1949年)に神奈川県小田原市の西に上陸したキティ台風も、関東地方では台風の通過が満潮時間と重なったために高潮となり、横浜港では積算潮位より1m以上高くなり、浸水や船舶の被害が多数発生しました。
これ以外にも、台風による最大瞬間風速79.8m/sや85.3m/sという強風が、宮古島で記録されています。近年では大雨による被害が多くなっています。

3.スーパー台風が上陸したら?
(1) 台風の変化
台風は、年間を通して暑い熱帯地方である北緯5度から20度くらいの海上で最も多く発生します。この付近の海は海水の温度も高く雲も多く、台風が渦を巻く力もあるためです。そして太平洋高気圧の風に乗り、台風の進路が決まってきます。台風の勢力が最も強い場所を「最強地点」として抽出すると、日本付近では、本州に上陸したり接近したりする台風の最強地点は平均すると1982年には北緯21度付近、台湾の南側の海上付近でした。それが2012年には台湾にかかるぐらいまで、約150kmも北上している事実が判明しました。そしてこの結果は現在進行形のもので、温暖化が進んだ将来は最強地点が更に北上する傾向が強まる可能性があります。そして最強地点が大きく北へ広がり、日本付近に達することも予想されています。
台風が強くなると大雨も予想されますが、更に心配になるのは高潮のリスクです。高潮とは、湾に向かって台風が進行してきた時に、暴風雨が同じ方向で長時間吹き続けることで生じる「吹き寄せ」と、台風の気圧が低いために海面が持ち上げられる「吸い上げ」が複合して起こる現象です。台風ハイエンでは、2階の天井近くまで水が押し寄せたという証言もあるように、7mの高潮が発生して被害が増大しました。また温暖化が続くと海面の水位自体も上昇します。堤防などハードの整備は進んでいますが、現状の防御レベルを上回るような高潮になる恐れもあります。
国土交通省 高潮発生のメカニズム
https://www.mlit.go.jp/river/pamphlet_jirei/kaigan/kaigandukuri/takashio/1mecha/01-2.htm

(2) スーパー台風上陸からの避難行動
日本ではまだスーパー台風の上陸はありませんが、その危険性が確実に増大してきている現在、もし日本にスーパー台風が上陸したら人々の避難行動はどうなるかのコンピューターシミュレーションを行いました。シミュレーションは台風の発達過程を高精度に表現する研究、高潮の予測の研究、河川の水位変化の研究、人々の避難情報の研究を行っている各研究者の協力の下に行われました。台風は関東に上陸、避難の対象としたのはゼロメートル地帯になる江戸川区・足立区・葛飾区のおよそ180万人です。そのシミュレーション結果は驚くようなものになりました。
①上陸48時間前
台風はまだ本州の1500km以上南の海上に位置し、勢力は940hPa、最大風速50mの「非常に強い台風」の状態
②上陸24時間前
上陸24時間前の夜、急速に発達した台風の気圧は897hPa、最大風速75m、さらに風速15m以上の風が吹く強風半径は900~1000kmの「超大型」台風になっています。超大型台風接近中のニュースが流れているが、台風の中心部は日本の南800kmに位置し、東京ではまだあまり風も強くありません。この時点で区の外へ自主的に避難する人は7万3000人程度。
③上陸半日前
関東地方は次第に暴風域に入り、交通も乱れ始めることが予想される頃です。台風上陸の8時間半ほど前には3つの区では避難勧告が発令され、およそ23%に当たる56万人が避難を開始する。動き出す車は17万台にもなり、道路の大渋滞、荒川・江戸川・隅田川にかかる橋は動きがとれない状態になる。公共交通機関も混乱が始まる。上陸のおよそ5時間前ごろには風の激しさも増し、電車やバスはほぼ全線で運転見合わせになる。この段階で3区の中にいる人は、避難しようとする人・しない人を含めて162万人。56万5000人が区外を目指しますが、わずか15万人しか脱出が出来ていません。
④上陸3時間前~上陸
この時点では、高層ビルに居住している人は上の階にとどまりますが、浸水の恐れがある区域の人は避難所へ向かいます。3区の避難場所は小学校などが指定されていますが、浸水の危険がない安全な場所は多くはありません。その結果、避難場所へ入ることが出来ず、別の場所を求めて歩き回らざるを得ない人が数多く出て来ますが、強風のために次第に身動きがとれなくなってきます。
そのような中、大雨の影響で水位が高くなっている荒川の水位が高潮の影響で上昇、水が堤防を乗り越える「越流」が始まります。浸水のスピードは速く、およそ2時間で3つの区の大半が浸水し、身動きがとれなくなっている人達に襲いかかります。シミュレーションでは最終的に20万人の人達が、命の危険に晒されている結果になりました。

今回のシミュレーションの避難者数は、江戸川区に居住または区内で働いている人にアンケートを行い、3000人からの回答を基にして算出しました。その内容は、ニュースで「超巨大台風が翌日夜には関東地方に上陸すると予想される」と報道された時に、自宅以外の場所に避難しようと思うかを質問したものです。その結果は「必ず自宅以外に避難する」が4%、「周囲の状況や他の情報に注意を払い、その上で判断する」が34%、「自宅で様子をみる」が36%、「職場などに外出する」が6%、「普段どおりの生活をする」が19%でした。
自治体が住民に避難を呼びかける基準はいくつかありますが、最大の根拠は河川の水位になります。その基準は区ごとに設けられており、避難の呼びかけの判断も区ごとに行います。3区とも防災計画上は大規模な浸水の恐れがある時は区外への広域避難を呼びかけますが、具体的な避難先は決まっていません。また荒川の氾濫を想定した避難勧告は出されたことがありません。このような状況で56万もの人々が区外への脱出するのは不可能です。では、どうするか?
次回は、広域避難について考えてみたいと思います。

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カルデラ噴火について その2

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。 前回は日本にあるカルデラについて紹介しました。今回は、実際にカルデラ噴火が起きたらどうなるか、過去の噴火事例から考えてみたいと思います。 1.超巨大噴火(カルデラ噴火)の発生の仕組み① マグマの蓄積超巨大噴火が発生するためには、地下に大量のマグマが蓄積されている必要があります。マグマ溜りの構造はまだ明らかになっていない場合もありますが、超巨大噴...
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。

前回は日本にあるカルデラについて紹介しました。今回は、実際にカルデラ噴火が起きたらどうなるか、過去の噴火事例から考えてみたいと思います。

 

1.超巨大噴火(カルデラ噴火)の発生の仕組み

① マグマの蓄積

超巨大噴火が発生するためには、地下に大量のマグマが蓄積されている必要があります。マグマ溜りの構造はまだ明らかになっていない場合もありますが、超巨大噴火が発生する場所では、地下10キロメートルほどの所に薄い円盤状に広がっている場合が多いと考えられています。

② 噴火の開始

超巨大噴火を引き起こせるほどのマグマを蓄積した状態となった後、例えばマグマの圧力によって岩盤の弱い所が破壊されてマグマが地表に達するなど、何らかのきっかけによって噴火が始まります。そして複数の火口が出来、これらはマグマ溜りを縁取るような円周上に出来る場合が多いです。

③ 火口が繋がって円周上に

噴火が継続することで火口が拡大し、円周上の火口同士が連結し、ひとつながりの火口となります。火口からは噴煙が激しく噴出し、高度数十キロメートルまで到達します。火砕流が全方位に発生し、周囲を呑み込みます。火口が円周上に繋がって支えを失った岩盤は、陥没を始めます。

④ カルデラを形成

噴火は数時間から数日継続し、終息します。円周上の火口の内側は大きく陥没し、巨大なカルデラが形成されます。カルデラの直径は数十キロメートルにもおよぶことがあります。マグマの供給が続いていれば、マグマの蓄積がまた始まり、数万年から数十万年後には再び超巨大噴火が発生します。

 
 理科ネットワーク 火山噴火シュミレータ

  http://rika-net.com/contents/cp0300a/contents/K241.html

 

2.喜界カルデラ噴火

最も直近の7300年前に噴火した喜界カルデラは、九州最南端、大隅半島佐多岬のさらに南西50キロに位置している25×15キロの規模の海底カルデラで、最深部は水深500mにも達しています。現在ある薩摩硫黄島、新硫黄島、竹島は、喜界カルデラの北縁にあたり、カルデラの北の縁がかろうじて海面に顔を出していた部分です。

この噴火によって発生した火砕流は、海を渡って50km先の鹿児島県南部を埋め尽くしました。火砕流は高温の火山ガスと混合一体化しているため地面との摩擦が少なく、100km/時を超えるスピードで一気に遠くまで流れます。またガス成分が多い場合は比重が小さいため、海面上を滑走することもあります。この時の噴火では、9500年も前から始まっていた独自に発達した日本最古の縄文定住集落が、火砕流により壊滅してしまいました。当時の人々は、沖合に突如湧き上がった巨大なキノコ雲に、「何だろう?」と思う間もなく襲われてしまったことでしょう。

この噴火で降り積もった火山灰は濃いオレンジ色が特徴の「アカホヤ火山灰」と呼ばれ、南九州では50cmを超える厚さの火山灰で覆われました。そして四国や紀伊半島は厚さ20cmを超える灰白色の火山灰で一面を覆われ、遠く離れた関東地方にも厚さ数センチの火山灰を降らせました。西日本の森林は枯れ果て、食料の大半を森林に頼っていた西日本の縄文人は飢餓に陥り、その上、有毒な火山灰による呼吸器障害に見舞われ、数週間のうちに多くが死滅しました。そして喜界カルデラからの超巨大噴火後、南九州では900年あまりもの間、豊かな照葉樹林の森は復活せず、人が住めない無人の地となっていたようです。

カルデラ噴火が研究され始めた現在、喜界カルデラの観測航海が行われました。その結果、高さ600mの巨大な溶岩ドームが海底に形成されており、熱水と共に火山性ガスが噴き出す、現在も活動している活火山ということが判明しました。

 
 産経ニュース  2017. 3.31

  http://www.sankei.com/photo/daily/news/170331/dly1703310015-n1.html

 

3.姶良カルデラ噴火

喜界カルデラ噴火より更に巨大な噴火だったのは、29000年前に噴火した姶良カルデラです。この時の噴火は、現在の桜島火山付近で生じた大規模なプリニー式噴火で始まりました。火山灰は九州で50cm以上、近畿地方や名古屋で20cm以上、関東地方でも10cm以上、東北地方の仙台でも5cm以上降り積もりました。マグマの噴出量は150立方キロで、1991年のフィリピン・ピナツボ火山の噴火5立方キロの30倍以上の規模になります。琵琶湖の貯水量が30立方キロ弱なので、琵琶湖5杯分のマグマが噴出したことになり、ちょっと想像力が追い付きません。

姶良カルデラ周辺には、軽石を含む真っ白な火山灰のシラス台地が発達しています。この台地は崩れやすく、集中豪雨などがあるとしばしば崖崩れ災害を起こします。シラス台地の厚さは100mを超える場合もまれではありません。この台地を生み出したのが、姶良カルデラから噴出した入戸火砕流です。火砕流は鹿児島県全域に広がっています。

神奈川県の丹沢山地では、大量の富士火山起源の黒色の降下スコリア堆積物が見られますが、その中に白色火山灰層が挟まっています。その厚さは13cm余りあり、それほど遠くない火山由来だと思われていました。ところが、その後の研究でこの火山灰層が1000kmあまりも離れた南九州の姶良カルデラ起源であることが判明し、「姶良丹沢火山灰」略して「AT火山灰」と命名されました。AT火山灰は入戸火砕流が噴出した際、成層圏まで噴き上がった巨大なキノコ雲からもたらされたものです。もし現在、当時の規模の火砕流が姶良カルデラから噴出したら、170万人近い鹿児島県の住人のほとんどが“瞬殺”になってしまいます。

 
 みんなの桜島

  http://www.sakurajima.gr.jp/sakurajima/001323.html

 

4.阿蘇カルデラ噴火

この姶良カルデラ噴火より更に巨大な噴火を起こしたのが、阿蘇カルデラです。このカルデラは約27万年前、14万年前、12万年前、9万年前の、4回の巨大噴火によって形成されてきたものです。その中で最大規模の噴火が、阿蘇4噴火と呼ばれる最も新しい噴火です。マグマ噴出総量は約1000立方キロで、阿蘇火山最大の噴火であるのみならず、第四紀と呼ばれる過去約260万年間に日本列島で起こった最大規模の噴火にもなります。

この噴火では2度の大規模な火砕流が発生し、200km以上の距離まで到達し、九州のほぼ全域から山口県、天草諸島に至る広大な範囲が一瞬にして焼き尽くされました。現在の人口でいうと1100万人近い人々が居住する地域が、火砕流によって覆われてしまったことになります。そして火砕流の噴出時には、巨大な噴煙が数万メートルの高さの成層圏にまで到達し、火山灰を降らす噴煙が日本列島全体を覆いました。火山灰の規模は姶良カルデラが噴火した際のAT火山灰を遥かに超えており、津軽海峡を越えて北海道でも15cm以上も降り積もりました。九州から北海道まで、日本列島全体が15cmを超える厚い火山灰で覆われてしまったわけで、完全なる「日本埋没」の規模でした。


  阿蘇火山博物館 阿蘇について

  http://www.asomuse.jp/aboutaso/

   阿蘇火砕流

  http://sakura1.higo.ed.jp/ws/kchigaku/hp/aso/zu/kasai.htm

 

5.もし巨大カルデラ噴火が起きたら

巨大カルデラ噴火は、途轍もないマグマが一気に噴出します。カルデラは北海道と九州に集中していますが、日本列島全体に大きな影響を及ぼすのは九州にあるカルデラが噴火した場合です。火山灰が偏西風で東へ運ばれ、日本列島全体を覆う可能性があるからです。

まず最初のプリニー式噴火によって、九州中部では場所によっては数メートルもの軽石が降り積もって壊滅的な状況に陥ります。そしてクライマックス噴火が始まると巨大な噴煙柱が崩落して火砕流が発生し、全方位へと広がって行きます。数百℃以上の高温の火砕流は全てのものを飲み込み、そして焼き尽くし、発生後2時間以内に700万人の人々が暮らす領域を覆い尽くしてしまいます。

九州が焼き尽くされた後、中国・四国一帯では大量の火山灰が降り注ぎます。そして降灰域はどんどん東へ広がり、噴火開始の翌日には近畿地方へ達します。大阪では火山灰の厚さは50cmを超え、木造家屋の半数近くは倒壊します。その後、首都圏でも20cm、青森でも10cmもの火山灰が積もり、北海道東部と沖縄を除く全国のライフラインは完全に停止します。


火山灰による影響

① 交 通 

 道 路:5cm以上で通行不能

 鉄 道:10cm以上で通行不能

 航 空:0.5cm以上で空港閉鎖

② ライフライン

 電 力:1cm以上で供給不能(停電)

 水 道:1cm以上で供給不能(断水)

③ 農 林

 農作物:2cm以上で収穫不能、10cmで回復に数十年

 森 林:1cm50%被害、10cmで破滅的被害

④ 生 活

 健 康:1cm以上で呼吸器障害

 家 屋:50cm(降雨時は30cm)30%以上全壊


巨大カルデラ噴火の発生による直接的な被害者は、火砕流と降灰合わせて1000万人程度と考えられます。しかし水道は給水不能、発電も不可能、国内ほぼ全ての交通網はストップし、生活不能に陥った人達に対する救援・復旧活動も絶望的になります。救援活動が殆ど不可能な状態では、1億人以上が命を落とすこともあり得ます。

 
 YAHOO
ニュース 巨大カルデラ噴火 神戸大学教授・巽 好幸

  https://news.yahoo.co.jp/byline/tatsumiyoshiyuki/20170511-00070808/


 
2014年に鹿児島県の川内原発の再稼働が決定した際、原子力規制委員会の委員長は、川内原発の安全性レベルについて「世界最高レベル」と評価しました。噴火についても事前に予測ができるため、燃料棒の取り出しが出来るから安全とも述べています。また噴火した際の火砕流も原発を避けるという不可解な予測になっていました。それに対して火山学者は「噴火の予測は不可能」と強く主張しています。このような背景で稼働再開になりましたが、実はこの時「もしカルデラ噴火が起きたら12000万人が亡くなるので、燃料棒を取り出していようがいまいが関係ない」という発言も委員長からありました・・・。

 
 日本火山の会 画像でたどる死都日本

  http://www.kazan-net.jp/shitowww/index.html







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